柚子も母なり
友人の自宅にある柚子の木に今年は沢山実がついた、ということで、先日柚子の実をたくさん頂いた。
販売用の柚子と比べると随分と小振りだけれど、味の濃さを感じさせる香りのパンチがあって、1個切っただけで、柚子の心地よい香りが部屋中に広がった。
ちょっと手間はかかるけれど、柚子茶にも使える柚子ジャムはやっぱり作っておきたい!と思い、柚子ジャム作りにとりかかった。
果汁を絞って、種を選り分け、果実部分は皮から取り除く。
これからジャムの主役となる、残った柚子の皮の部分。皮の表面は傷も無く、きれいに見えるのに、実の皮の裏側にゴツゴツとコブのような部分があることに気付いた。
エグミを少なくするために、白皮部分をスプーンでこそぎ取っていくのだけれど、スプーンを滑らせてもゴツゴツと当たる違和感があって、上手く取りきれない。
ちょっと心の中で葛藤しつつも、ふとこんなことを思った。
柚子も自分の子供である種を残すために、皮を犠牲にしても必死に種を守ろうとしていたんだろうなぁ、と。
表面上は何も問題ないように見せ掛けて、でも、本当はストレスを感じながら一生懸命に命を繋ごうとしていたのかもしれない。
そう考えると、母のような強さがこの柚子にも宿っていることを感じずにはいられなかった。
柚子の一つ一つの実に個性があって、種を残すためにそれぞれの物語があったのだろう。
それはあたかも、私たち人間一人一人と何も変わらないようにも思えた。
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