2024年10月に読んだ本
今月は4冊、全部Kindle、なんやかや恩恵にあずかっている。
他に読み始めてすぐにやめた小説数冊。
⒈ 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。/川上弘美
(10月8日)
Kindle、アシストリーダー併用で。
読み上げの速度をゆっくりめにするのがちょうどな感じの本。
ただの日記と日記文学は違うものだと意識させられた。
日常の一瞬を切り取ってふくらませてある。
とはいえそれは小さなシャボン玉くらいで、大きくしすぎないのがかわいい。
⒉ 昨日なに食べた?23/よしながふみ
(10月12日)
Kindle
マンガはiPad一択、もう少し画面が大きいといいな。
このシリーズは新刊が出るとつい買ってしまう。
シロさんが還暦とは…感慨深い。
レシピがちょうど等身大の真似しやすそうなものが多く、作ってみようと思うけど、本を閉じたら忘れてしまうのも毎度のこと。
でも、今回はバースデーパーティーの登場人物大集合のシーンが忘れられない巻だった。
シロさんと年齢が同じなら、親も同年代ということで。
3. 村上春樹、河合隼雄に会いにいく/河合隼雄・村上春樹
(10月26日)
Kindle だいたいアシストリーダーで音声読書
自分ごとと他人ごとのスレスレのところを行ったり来たりすることで、気持ちが落ち着いてくる実感ができた。
どちらかのエッセイでも、別の人との対談でもなくて、このふたりの対談だからこその効果だったと思う。
文庫で何度か、Kindleで買い直して1回読んだ記憶があった。けれど、ハイライトで足跡をつけているのは違うところばかりだったのは面白い。
というか、私らしいいい加減さ。
時期としては『ねじまき鳥クロニクル』の直後のようで、何度も話題に上る。
しかし、河合隼雄はベタ褒めしてるけど、あの小説は今読む気にならないな。
と思ったら前にも同じこと書いていた。
4. 青が散る 上・下/宮本輝
Kindle
音声で読み始めたけれど、ノッてきて文字で読みたくなり、Kindle端末で残りを読んだ。フォントや色合いがカスタマイズできるって素敵。
小説読みに復帰するには読み慣れた本が効くらしい、とどこで読んだのだったか。
読み慣れた、と言うほどではないけど、2回は読んだ。
1回目は図書館で宮本輝を次々借りていた頃の一冊として。
数年後、いちばん印象に残ったこの作品を、手元において読み返したいと思って文庫本を買った時がたぶん2回目。
当時、テニスをやっていた息子に読んでほしいとの下心は叶ったのかどうだったか。
このKindle本はセールだったかで買い、そのうち読もうと積んでいた。
文庫本は読むのが辛くなってしまったので、また読みたい本が電子書籍になったのがうれしくて、つい買ったのだったな。
結果は…細部は忘れているものの、イメージには違和感はなかった。
意外だったのは、以前はスポコン要素あり、恋愛ありの青春群像劇として読んだのが、今は人生の影の面というようなところにばかり目が行き、そして誰かの面影と重なる。
業病に倒れた才能ある青年のこと、人間関係の遂げられない思いや取り返しのつかない行動は確かにあるということ、などなど。
亡くなった教授とのエピソードもハイライトを付けたセリフだらけで忘れられない。
歳のせい?きっとそうだな、でもちょっと人が死にすぎだ。
あちこちの場面で、ここ今ならスマホ出して連絡だよな、と思う部分があり、時代ですなと言えばそれまでだけど、遠くに来てしまったなとも思う。
今の自分にはなかなか重い内容、次また読むことがあるかどうかと思い、ひとつだけ引いておく。
「人間は何の為に生まれてくるんやろ。この病気にかかってから、そのことを考えへんかった日はないよ。病気、貧乏、 挫折、他にもどうしようもない不幸が世の中には渦を巻いてるやないか。もし俺が、本当に祖父さんや兄貴みたいに、自殺するようなことがあったら、俺はいったい何の為に生まれて来たんやろ。なあ、燎平、お前、そんなこと考えたことないか?」