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学びをもっと自由に-スタディカフェ(自習室)とフリースクールの挑戦

いまの時代、学生だけでなく社会に出てからも学び続けることが求められている。時代の変化に対応しながら、自身のスキルを更新する「Reskilling(学び直し)」が必要不可欠だ。

それにもかかわらず、大人が集中して勉強できる場所は意外と少ないように感じた。子どもがいる家で勉強するのはほぼ不可能だし、働き盛りの1人暮らしの家は休む場所としての機能を優先していることが多い。図書館に行けば、読書専用の注意書きが目に入り、休日は学生で溢れかえる。美味しいコーヒーでも飲みながら…と、カフェに足を運ぶも、勉強するのに、あのまあるい机は小さすぎたり、隣の席のおしゃべりやお店の混雑が気になったりする。最近では、社会人向けの自習室もあり、やはり勉強する場所を必要とする大人が増えている。

自習室というワードを聞くと、頭に浮かぶのは独特の静けさ、机と椅子があって隣とは仕切りがある空間。パイプ椅子じゃない少しふかふかした椅子だとラッキーで、各机にライトが付いていたらさらに嬉しい。ただ、学生にとっては完璧な空間も、仕事帰りの疲れた大人には合わないことがある。せっかくの休日を勉強や仕事に費やすのなら、少しでも心が弾む空間で作業がしたい。学び続けることが求められるのなら、その場所は快適な方が心にも体にもヘルシーだ。ないなら作ろうと決めた場所が「スタディカフェ」だった。

スタディカフェとは、心地よいBGMが流れるカフェのような雰囲気の自習室

現在、友人や知人の協力を得ながら、夫が中心となってこのスタディカフェを運営している。実のところ、当初は不登校の児童生徒を対象としたフリースクールを自習室と同時に開始する予定だった。ところがどっこい、子育ての大変さと、自営業であるために早生まれの子どもが保育園に入る難しさに直面した。私は慌てることをやめ、フリースクールのオープンに向けて着実に準備を進めることにした。

スタディカフェとフリースクール。この二つを同じ空間で行うことについて、夫婦で何度も話し合いを重ねた。まず、併設は可能なのか。可能にするためには、どのくらいの広さが必要なのか。場所はどんなところが適しているのか。お客の立場として不安なことは何か。自習室としてもフリースクールとしても通いやすい、安全な場所を探し求め、多くの物件を内覧し、その都度、夫が店内のイメージをデザインしていった。

いまの店舗と出あったのは、まさに偶然で、夫の人柄と運のおかげだと思っている。初めてお店に足を運んだとき、そこは一面グレーのカーペットが敷かれ、窓にはアルミのブラインドが付いている、どこにでもある事務所だった。夫はメジャーを持ってお店に通い、店内のあらゆる箇所を計測しながらイメージをデザインしていった。ちなみに、夫の前職は会社員で、そういったデザインや設計の経験はない。それにも関わらず、あの無機質だった事務所を今のようなお店に仕上げた夫のことを、私は密かに“ただものではない”と思っている。夫は常に前を向く、現実派の楽天家だ。

理想とする広さと、JR茨木駅から徒歩8分の立地。大通りに面していて警察署も近く、安全面もクリアできた。最後にお客の立場として、スタディカフェとフリースクールの併設は可能かという問いだが、この答えは早々に出ていた。できる。私たちの結論は「この二つは一緒にやっていける」というものだった。

「教育とは、いい刺激を与えること」という言葉を聞いたことがある。スタディカフェでは、大人たちが次の目標に向けて資格の勉強や転職の準備をしている。浪人生が受験勉強に励んでいる。大人が努力し、挑戦している姿。子どもにとってこれ以上ないほどの良い刺激になるだろう。また、努力し挑戦している人たちは、その価値の偉大さを深く理解している。学校に行けないけれど、なんとか頑張ろうとこの場所にくる子どもたちの勇気に、元気をもらったり励まされる大人もきっといるに違いない。幼さゆえのマナー違反があれば、それは私たちの責任であり仕事である。“集中とリラックスができる快適な空間の提供”が私たちが目指すものなのだから。

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私たち夫婦にとって大切なこの場所が、たくさんの人から必要とされ、「この場所があってよかった」と思ってもらえるよう、これからも努力を続けてまいります。今後とも、SEIKAスタディカフェとフリースクールSEIKAをよろしくお願いいたします。

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