高校生の食費はどれだけかかる?〜シュタイナー学校の悩み
12年生クラス旅行
12年生(高校3年生)の息子。今週はクラス旅行へ。
このご時世で、旅行や大きな学校イベントはことごとく中止になった彼の高校生活。卒業を前にして、普通よりは小規模のクラス旅行が行われることになりました。
いつもだったら海外2週間くらいの、結構大きな旅になります。でも、今回は、間際まで予定が立てられず、結局、国内1週間アウトドアの旅。
イギリス南西部のコーンウォールで、サーフィンしたりハイキングしたりするらしい。
クラス旅行の食費
旅行に先立ち、クラス担任から予算の内訳が送られてきました。
そこには、食費200ポンド(3万円くらい)とあります。3食x7日間x思春期男女9人で200ポンドです。単純計算して一人当たり7日間で22ポンドですね。どう思います?? (ちなみにイギリスの物価は高いです)
速攻で、保護者の1人が返信しました。
「うちの息子は大食いだから1週間で100ポンドは食べるのよ。その予算ではひもじい思いをしてしまうわ。1人あたり100ポンドの予算を追加してはどうかしら?」
価値観、経済観念が根本的に違うんでしょうね。
シュタイナー学校に子どもを通わせている保護者は、お金持ちばかりではないけれど、それなりに潤っている。食の意識も高い人が多いから、いい食材、オーガニック、バイオダイナミックを好んで購入する人が多い。
となると、週に思春期男子ひとり100ポンドって「そのくらいはかかって当然だよねー」という金額です。
でも、食品といってもいろいろで、安売りスーパーの激安食品をまとめ買いすれば、とんでもなく安い。多分、食品よりは化学調味料とかの塊。まともな食品ならこの金額で売れるわけがないという金額です。
シュタイナー教師は低収入、そのうえロンドンは物価が恐ろしく高く、生活費がとんでもない。たいていは、ちゃんと稼いでくれるパートナーがいるので、普通に暮らしていけるのですが、そうではない場合、切り詰めた暮らしをしています。だから、担任教師の感覚でいったら、1週間9人200ポンドくらいだったのでしょう。
別のシュタイナー教師もつぶやいていた。
「シュタイナー教師って、食に対して意識も高くて、オーガニックとかを買いたいし、環境にいいものを使いたい。でも、シュタイナー教師をしているとお金がないから、そういうのが買えないのが現実。理不尽だわー。」
シュタイナー学校の問題点
このつぶやきは笑っていられない。深刻な問題です。
ドイツやフィンランドのように、政府からの助成金がたくさんあるようなシュタイナー学校や、日本でも学校法人になっているシュタイナー学校はともかく、世界の多くのシュタイナー学校に蔓延する低所得問題。
だって、家族に体にいいものを食べさせたいと思っている親が、添加物だらけの食品を選んでまでシュタイナー教師になりたい??
シュタイナー教師の低所得では、治安が悪くて、犯罪も多いようなエリアしか住めない。子どもに悪い住環境に住んでまで、シュタイナー教師をしていたい?
それでも、シュタイナー教師を続けることを選ぶ教師がいる。シュタイナー教育への熱意ありき。その熱意には敬意しかない。そして、そういう熱意のある教師たちの多大な労力によってシュタイナー学校はまわっている。
それだけシュタイナー教育に熱意があるということ、本当に素晴らしいこと。
でも、一方で、その状況ではシュタイナー教師の仕事を諦めなければいけない人がたくさんいる。その中には、能力があって、シュタイナー教師としても素晴らしい人材もたくさんいる。能力ある人材であればあるほど、他の仕事もあるのだし。
教育の一番の財産は人材。いい教師がいること。
シュタイナー教育は素晴らしい。
でも、運営に関してはもっともっと改善していかないと。
シュタイナー教育が素晴らしいことがわかっているからこそ、この運営の理不尽さに心をいため、なんとかせねばと頭を悩ませるのです・・・。