第三章:マイクロマネジメント上司体験記①着任
営業企画部門でしばらく続いた平穏な日々。
それはある日突然、終わりを迎える。上司から、異動の内示が出た事を知らされる。部署の仕事に慣れてようやく半年。これからって時なのに。
次の言葉が、より一層私に衝撃を与えた。
「次の部長はDさんだから。」
・・・言葉が出なかった。
Dさん。
人事にいた頃から、業務上での関わり合いはなかったが、何故か彼の下では部下が病んで何人も去って行ってしまうという、ちょっとした問題児だ。
しかし何故か気質が社長に似ていて、厳しいことを言いながらも重用されている存在である。
自分の中の危機感が募った。
さらに、タイミングの悪いことに私が最も関わっていた部下の異動も同時に決定。
人材不足の中で、残された仕事を残された人たちでどうにか分けながら、新しい上司を迎えることとなる。
どこで何を突っ込まれるのかが全く見えない中、例年にも増して少ない人員配置の中で、何故か大型の業務が春先立て続けに3案件も発生した。
それを準備する一方で、日ごろのルーチンに追われる。
当然、これまでギリギリのスケジュールで出していたようなものは少し遅れが出る。
すると必ず「呼び出し」が行われる。
「なんで遅れるの?必要ってわかる事だよね?」
この事だけで小一時間は詰問される。
いつも思っていた。「こんな話聞く暇あるなら仕事を進めたい・・・」
その説教に付き合わされている間に仕事は止まってしまう。
しかし、かねてから自信を失っている私には、自信たっぷりに振る舞うDの姿に何も言い返す事ができなかった。
Dが着任し、初めての全社合同会議を迎えることとなった。
それにあたって何が発生したかというと、ずばり「会議」である。
そう、「会議のための会議」。合同会議で何を話すかの対策会議に召集される。
一人ひとりが持ち回りの案件の資料を作成し、その対策会議で発表する。
そこでDは、諸々ダメ出し。そして手直し。
さらに実際の合同会議でも対策会議では指摘されなかった事をダメ出しをされるのである。
さらに、会議が終了すると「反省会」という名のお仕置きがある。
こんなことばかりに時間が割かれるのでルーチンは自然と遅れる。
そしてまた今月も言われるのだ。
「どうして遅れるの?しっかりやれよ!」
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