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Fukuoka Research Club年間活動報告


本記事について

Fukuoka Research Club(フリクラ)の1年間の活動内容をまとめたもの。

Fukuoka Research Club(フリクラ)とは?

Fukuoka Research Club(フリクラ)は福岡でUXリサーチについて悩む人達が集い会話するゆるコミュニティ。参加条件は「UXリサーチが気になる」ことのみ。UXリサーチに詳しい必要はなく、 UXリサーチの悩みや始め方などを手探りで会話し行動しながら答えを探究していこう、というゆるい集いである。

なぜ始めたのか?

UXリサーチにまつわるイベントやコミュニティが周囲にあまりなく、未経験の人が気軽に行ける場所があまりない、メガベンチャーでは推奨する環境や役割があるかもしれない。これから始める人の相談会だったり、UXリサーチをはじめるまでのヒント・アドバイス、事業会社で始めていくきっかけ・アドバイス、やってみた系、こんな失敗した、成功した、事業においてどのような価値があるかを説明するにはどうした良いかなどゆるく話せる場所を作りたいと言う思いから生まれた。

誰がやっているのか?

運営メンバー:土岐さん、馬場さん、寺倉さん、うえだりさん、川島さん、難波
参加者の業種:Webサービス、アプリなど
職種:デザイナー、PdM、ファシリテーター、リサーチャー
2023年9月に開催されたRESEARCH Conference Pop-up in Fukuokaをきっかけに、当日登壇したメンバーや来場時にコンタクトをとったことがきっかけで福岡でも何かやろう!と共感したメンバーで構成されている。

どのように運営しているのか?

正直、無計画に進めている。運営のつながりや参加者からの声などから毎回どんな面白いことができそうかヒントを得ながらフリクラの企画を作っている。「参加者が0人でも運営全員が楽しいと思えるか」「常識にとらわれず難しすぎず誰もが楽しめる内容か」ということを大切にしている。

どんな人が参加しているか?

デザイナー、エンジニア、リサーチャーはもちろん、マーケターや営業、人事(その他に含む)などさまざまな属性の方が参加している。

第1回~第6回のフリクラに参加した方の属性(フリクラ調べ)

1年間の活動

第1回 Bukatsu 「UXリサーチのはじめ方について悩む会」

2023年12月21日に開催された、第1回 Bukatsu UXリサーチのはじめ方について悩む会のMV

第1回目はリサーチにまつわるLT会をやってみた。当日は大雪にもかかわらず、満席となり、会場も登壇者も熱く盛り上がった。参加者からは等身大で距離感が近く、その場で話せたのがとても良かった、色々なUXリサーチャーの話を聞けて満足などの声が上がっていた。一方で、運営メンバーと行ったリフレクションでは、コンセプトである部活っぽさが足りない、もっと参加者を巻き込むイベントにするには?全員参加型のコーナーがあると良いのでは?などの意見が出ていた。

第2回 練習試合 「インタビューしてインサイトを探ってみよう」

2024年2月22日に開催された、第2回練習試合 「インタビューしてインサイトを探ってみよう」のMV

第2回は第1回の振り返りを生かし、ワークショップ形式の会を企画・開催した。当日はインタビュー経験のある運営メンバーがライブインタビューを行い、参加者がそのインタビューから得られる「インサイト」を探るというワークを行った。その場で会話をしながら、他の方がどんな視点を持っているのか、そこからどのような仮説やインサイトを得られるか。参加者で構成されたチームの中でインサイトを突き合わせていった。参加者からは、様々なバックグラウンドの方と一緒に学習すると得られるインサイトが広くて学びが多かった、カジュアルな雰囲気で楽しく「練習」ができたなど、ポジティブな意見が出ていた。フリクラの現在のワークショップ形式は第2回からだんだんと確立されていった気がする。

第3回 練習試合 「何だかわからない」を皆で考える、「多感覚リサーチ」へのいざない

2024年4月26日に開催された第3回 練習試合 「何だかわからない」を皆で考える、「多感覚リサーチ」へのいざないのMV

第3回は「多感覚リサーチ」をテーマに参加者に「多感覚写真」をプリントアウトして題材として持ち込んでもらい、 視覚ではなく、「他の感覚」(聴覚・嗅覚・触覚・味覚)が思わず働いてしまうと思った写真を株式会社KESIKI プロジェクトリード/サービスデザイナー牛丸 維人さんと一緒に、映像人類学の視点から言語以外のリサーチの可能性について考えるワークショップを行った。参加者からは「写真から受けた印象を他人と共有したことがなかったし、いろんな視点で見て言葉にしたことがなかったので、新鮮だった」「上級者向けかとも思って心配していましたが初心者でも楽しく参加できた」「部屋の中にいながらにして、フィールドワーク的な身体性や感性を呼び覚ます可能性について考えられてよかった」などの声をもらえ、リサーチを部活的にワイワイ楽しくやってみる、が実現できた回となった。

第4回 練習試合 このわがままいつまで続けるのか

2024年9月17日に開催された第4回 練習試合 このわがままいつまで続けるのかのMV

第四戦目(4回目から「戦」になっていた)のテーマは、「オープンソースソフトウェア」(OSS)。案内人は株式会社ディーゼロフロントエンドテックリード兼アクセシビリティスペシャリストであり、MarkuplintというOSSのオーナー兼開発者、ゆうてんさん。OSSオーナーが自ら登場するというスペシャル会となった。当日はゆうてんさんからMarkuplintについて解説後、事前アンケートで集めたユーザーからの声を元に皆でMarkuplintの未来を考えるため、アンケートからどのような事実が読み取れるか?どんな仮説が考えられるか定性調査のフレームワークを使ってワークショップを行った。参加者からは「ユーザーの意見(事実)に対する仮説の深堀りが面白かった」などの声があり、OSSをUXリサーチで考える世界的にも貴重な機会になったと思う。

裏話

ゆうてんさんは第1回 Bukatsu 「UXリサーチのはじめ方について悩む会」の後、登壇してみたい、と登壇内容の骨子とともにメッセージをくれた。「ふと、やりたいと思う気持ちをしゃべらせてもらってもいいのでは?と思った。そういう人も増えるといいなあと思って。」というメッセージをもらいとても嬉しい気持ちになったのを覚えている。フリクラの活動で大切にしている「UXリサーチに詳しい必要はなく、 UXリサーチの悩みや始め方などを手探りで会話し行動しながら答えを探究していく」の1つの活動につながると思った。

第5回 練習試合 ユーザーリサーチの結果を共有・活用していく仕組みを考えてみる

2024年10月23日に開催された第5回ユーザーリサーチの結果を共有・活用していく仕組みを考えてみるのMV

第5回は「ユーザーリサーチのすべて」の著者である菅原大介さんが案内人となり、リサーチのアウトプットをどのように効果的に残し、伝えていくか、そしてリサーチ情報を広げて活かすための様々な方法について一緒に考えるワークショップを行った。参加者からは「普段考えることの少ないリサーチのアウトプットについて、考える良い機会になった」「具体的に業務に活かせそうな内容で有難い」などの声が上がっていた。フリクラのために来福された菅原さん、つないでくださった寺倉さんにはとてつもなく感謝している。(本当にありがとうございます)

第6回 練習試合 チャリチャリと行く、都市モビリティ体験フィールドワーク

2024年12月8日に開催された第6回 練習試合 チャリチャリと行く、都市モビリティ体験フィールドワークのMV 

第6回は福岡のデザインコミュニティで出会ったチャリチャリ株式会社のデザイナー、dandanさんを案内人にチャリチャリに乗って出掛けて、利用者の行動パターン、アプリの使用状況、ポートでの人々の動きなど、エスノグラフィックな視点から新たなチャリチャリの一面や福岡の街の一面を発見するというワークショップを行った。日曜にも関わらず、満席の申し込みをいただき、参加者からは「自分がユーザーになるフィールドワークと分析ワークショップが楽しかった」「普段やることのない、観察、発散、まとめのフローを体験し、リサーチの手法を少し学ぶことができた」という声や案内人のdandanさんからも「今後のサービスの改善などを考える材料がいただけた。多様な視点でチャリチャリのサービスを分析して、新鮮な意見をもらえた。普段自分たちが伝わっていると思っていたものが伝わっていなかったり、不便だったり、意外なインサイトをいくつか知ることができて興味深いものになった」という声をもらうことができた。

第7回 練習試合 『UXリサーチの活かし方』から学ぶ、リサーチ一歩目の踏み出し方&忘年会

第7回 練習試合 『UXリサーチの活かし方』から学ぶ、リサーチ一歩目の踏み出し方&忘年会のMV

24年最後のフリクラは、『UXリサーチの活かし方 ユーザーの声を意思決定につなげるためにできること』を今秋出版された、株式会社スマートバンク 瀧本はろかさんが来福&ご登壇のスペシャル回。参加者からは「個人に目が向きがちなリサーチを事業視点で考えることで沢山気づきがあった」などの声が上がり、忘年会も兼ねてわいわいがやがや盛り上がりました。

1年間の活動を振り返って

ここまでフリクラの良いところを書いたが、参加者からは「ゴール設定がわからなかった」「手法論をもっと説明してほしい」などの意見をもらうこともある。フリクラはあえてゴールや設定は説明していないところがある。UXリサーチの経験に関わらず、参加者が自分たちで自由に発想しながら練習試合(ワークショップ)に臨んで欲しいという思いがあるためだ。手法についても大枠は説明するが、ユーザーとしての視点やフレームに囚われすぎない、自由な発想の中で気づきを得て欲しいと考えてあまり伝えていない。ゴールや方法が「わからない」という状態はネガティブかもしれない。けれど「わからなさ」を大切に「わからなさ」の中にある立ち止まったり、振り返ったりしながら得られる価値をフリクラの練習試合を通じてこれからも提供していきたい。




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