ClusterでサイケDJ用ワールドを作った話
挨拶
こんにちは、ClusterでDJイベントを運営しているWakkyと申します。
本記事は「VRDJ Advent Calendar 2023」の11日目の記事となります。
記事のテーマ
今回はゴアトランスやサイケデリックトランスのDJイベント専用のワールドとして作成した「Mandala Space」の紹介をいたします。
下のXの投稿動画を見ていただくとワールドの雰囲気が分かると思います
サイケデリックトランスやゴアトランスのようなクラブミュージックを流すイベントの舞台を探していたのですが、Clusterには当時代表的なサイケディックなDJワールドが見当たりませんでした。「無いものは造る」のポリシーで挑んでみました。
ワールドコンセプト
自分なりのサイケデリクスを表現するために以下のコンセプトを元に制作しています。
暗い洞窟の中で蠢くサイケデリックアートを表現する
非現実感を表現しつつ、リアリティのある質感があること
基本構造について
これは自論なのですが、ワールドのベースとなる部分をしっかりと丁寧に作りこむことで、初めて派手なパーティクル等の特殊演出の効果が発揮されると考えています。シンプルな構造のワールドですがこの部分はしっかりと作っています。
ワールドの構造
スポーン地点から狭い洞窟を抜けて、ギラギラとした広間に出る構造にしています。洞窟部分はとにかく暗くして抜けた先のメインフロアの輝きを際立たせるようにしています。
ベーステクスチャ
リアリティを出すために基本的にPBRテクスチャセットを使用しています。特に光の反射に影響するラフネスマップとノーマルマップは容量を抑えつつも解像度を失わないクオリティに調整しています。(画像1枚目)
また、ベースモデル用に強めのAOマップを作成することで立体感と洞窟特有の不気味さを演出しました。(画像2枚目)
特殊演出について
サイケデリックな世界を表現するために様々な演出を入れています。
揺れて動いて光る演出
壁、タペストリー、DJブース等にサイケデリックな演出を施すために、専用のシェーダーを作成して以下の制御をしています。
・EmissionMapに光るアートを適用して回転や拡大縮小等の周期アニメーションをさせる
・EmissionMapにマスクマップを当ててマスクレベルを周期的に変化させる
・PBRテクスチャをDistortionMapで歪ませる
・色相を周期的に変化させて派手な色効果を出す
写真ではちょっと伝わりにくいかも。。
ブラックホールのようなもの
クラブの定番といえばミラーボールですが、Mandala Spaceでは代わりにブラックホールのような球体を置いています。
球体メッシュにRefrectionProbeの画像を張り付けて、法線強度を動かすことで光が歪んだ感じを出しています
サンスクリット文字のミラーボールライト
単純なミラーボールライトではなく、サンスクリット文字と曼荼羅の形をしたクッキーをPointLightにあてています
ダークモード
AOマップの強度を最大にして全体が暗くなるモードを作りました。
各演出のバリエーション
DJブース側からは制御パネルが見えるようになっています。これを使って各種演出のパターンを制御しています。
興味ある方は実際にワールドに入って弄ってみてください
テクスチャセット:6種
テクスチャアニメーション:2種
Hueシフト:2種
Dissolve(タペストリー溶解):2種
歪みパターン:2種
ブラックホールOnOff
ミラーボールライトOnOff
ダークモードOnOff
パーティクルOnOff※ブレイクの演出の一連のアニメーションが可能
長々と解説しましたが、実際にワールドに入って観ていただくのが早いと思います
ワールドのリンクはこちら
苦労したこと
ワールドで表現したいことをClusterの仕様に合わせるのに、今回特に苦労しました。話が長くなるので詳細は省きますが、特に以下の2点は特にワールド作成中に頭を悩ませました
リアルタイムシャドウが反映されない
リアルタイムライトの制限は2つまで
おまけ
毎月第3土曜の23時から 「Goa Session」(Xのタグは #GoaSession)というイベントを開催しています。今月の開催は12月16日(土)です。音楽ジャンルはゴアトランスを中心としてサイケデリックトランス系の音楽が幅広く流れます。
ご興味のある方は是非遊びに来てください。