【私をつくる音楽】#7 Electricity
先週末、家族で井の頭公園へ行った。車で行った。
私は車に乗るとき、助手席でいつもやることがない。
本を読もうと思ったこともあるのだけど、どうしても車酔いしてしまう。
そのため、結局はダラダラとTwitter(もうXって呼ばないといけないかな…)をスクロールしてしまうことが多い。なぜかスマホは見ていて酔わない。
でも、この日は珍しく、もう少し生産的な時間の使い方をしようと思った。
たまたまその時に車とBluetooth接続していた私のプレイリストから宇多田ヒカルのElectricityが流れてきた。
「アインシュタインが娘に宛てた手紙を読んでほしい」
宇多田さんが私にそう言ってきた。そういえば、まだ読んでいなかったな、と思い、検索してみることにした。
結果。読み終わるころには、目から滝のように涙が流れていた。
自分でも少し引くくらいに。隣で運転している旦那さんは引いていた。
でも、それほど感動的な手紙なのだ。
手紙の全文は以下の方のnoteに載っているので是非読んでみて欲しい。
ちなみにこの手紙、実はアインシュタインが書いたのではなく、スペインの小説家が書いたものなのではないか、とされる説もあるらしい。しかし、真偽に関しては依然、不明なままなのだ。
恐らく、宇多田ヒカルはこのこと(アインシュタインが書いていない可能性があること)も分かったうえで、敢えて今回の歌詞に織り交ぜているのではないかと感じた。というのも、彼女が今回「Science Fiction」というアルバムタイトルをつけるに至った経緯を説明している記事で、彼女は自分が作詞作曲をするときのことを次のように語っている:
つまり、嘘か本当かが大事なのではなく、自分にとってそれがどれだけリアルかどうか、すなわち自分がそれを信じたいかどうかが問題だと言っているのではないかと思った。そう考えたら、この「Electricity」という曲が彼女のベストアルバムである「Science Fiction」にのみ、唯一含まれている曲である理由がなんだかしっくりきた。
アインシュタインが娘へ宛てた手紙が本物かは誰にもわからない。けれど、その手紙がもしわたしの心に刺さって、「愛は光、愛は真髄」と思えたのであれば、「それを信じたいと思った」という気持ちは、わたしの中において紛れもない真実なのだ。
私は今までも、「非科学的」とされるものを愛し、信じてきた。信じたいと思ってきた。
妖精は存在していると信じたいし、お天道様は見ていると信じたい。水に「ありがとう」と言うと綺麗な結晶を作るのだと信じたい。アインシュタインが「愛こそはこの宇宙に存在する最大の力である」と発見し、それを愛する娘に伝えたのだと信じたい。世界は愛で溢れていると信じたいし、性善説を信じたい。それが科学的に解明できないとしても、関係ない。私は信じたい。なぜなら、信じることでこの世界が、もう少しだけ、美しく感じられるから。
そんなことを考えながら到着した井の頭公園は、とても美しかった。
◆本日引用した曲
宇多田ヒカル「Electricity」