今日18歳を迎えたキミへ
今日は長女の18歳の誕生日。
照れくさいから面と向かって言うことは無いだろう。たぶんこれをキミが見ることもないだろう。18年間父親として過ごしてきたただの親父の自己満足と自分の気持ちを再確認するためここに書き記しておこうと思う。
日本がワールドカップ熱に侵されていた2002年にキミは生まれた。パパはサッカーが大好きで地元日本で開催されているW杯を見ながら、同時に初めての子供の誕生を前にオロオロしていた。
2002年6月12日。この日は実は記憶があいまいになっている。忘れっぽい性格がそうさせているのか、あの時のオロオロがそうさせたのか。
確か朝に一度「生まれそうかも」と言ったママを病院に連れて行った気がするがその時はまだだと帰らされた気がする。そしてそのままパパは仕事に行き、終わらせると、ママは再度病院にいた。
すると看護婦さんに「これから生まれる。立ち会いますか?」と言われた。
怖がりなのでそれまで全く立ち会う気が無かったのに、何を言われたのかハッキリ分からないまま「はい」と返事してしまった。
「立ち会いますか」と聞かれたのかと気づいたのは後のこと。自分の意志とは無関係に分娩室の中で立ち会うことになった記憶がある。とは言え、立ち会って本当に良かった。
長丁場なのでと看護婦さんに少し寝ておきなさいと言われ、分娩室の前で寝落ちした。看護婦さんに起こしてもらい、頭がボヤけているうちに分娩室に入ると、そこはママの戦場だった。パパにできることなどあろうはずもなく、ただ頑張れと言うしかできなかったがしばらくして雨の降る中、キミは生まれた。
夜が明け、会社に行く時間となったのでパパは病院を出るとすがすがしい気持ちと自分の中で親父として何が何でも家族を守るという強い覚悟が芽生えた事だけはハッキリ覚えている。
とは言え、あれからパパは親として大したことをするでもなく、あっという間に18年という月日が経った。でも18年はとにかく楽しかった。キミとママ、途中から一緒に過ごしたキミの妹と過ごす時間は本当に楽しかった。
ただ子供はもちろん女の子の育て方など分かるはずもなく、ママと二人、パパは自分が子供の頃に感じた想いを思い起こしながら育てた。必死だった。
時に声を荒げ、その後言い過ぎたと反省しながらパパは意地っ張りだから素直にそれを言えないことも何度もあった。楽しくて調子に乗ってしまい、キミを泣かせてしまう事も何度もあった。ママに怒られてもやっぱりパパは意地っ張りだからゴメンが言えなかった(笑)。時にケンカし、じゃれ合いながら二つ下のキミの妹とともに育ててきた。
親としてのエゴはできるだけ捨ててきたつもりだけど、キミがどう思っているかは分からない。ただ、自分が親として与えてきた以上のものをパパはキミからもらってきたように思う。たくさん教えてもらったし、自分の力不足を思い知らされてきた事も多い。そのたびにもっと成長しなくてはと頑張る力をもらえた。だから子育ては持ちつ持たれつだと思ってる。と、カッコよく言いながら、ついつい親のエゴが勝ってしまい、思い通りにしようと思っちゃうけど(笑)。
パパとは違い、小さな頃からなりたいものが決まっていたキミは今年、その夢に向かって大学受験という一つ目の大きなハードルを迎える。新型コロナの影響で受験どころか学校生活すらもぐちゃぐちゃになってしまったけど、おそらくもっと大きな試練がこの先いくつも待っているだろう。父親としてはできる限りキミの思い通りの人生を歩ませてやりたいが、そんなことは不可能だし、むしろ思い通りにいかないことの方が多いだろう。
「人生には無限の選択肢がある」
ひとつ、上手くいかなかったとしてもそれ以外の方法、手段なんて無限にある。今いる場所だけでなく、その場所以外にも居場所は無限にある。問題はそれに気付けるかどうか。当事者になるとそれが見えなくなる。自分が今いる場所が世界の中心だと思ってしまいがちだし、レールは一本しかないと思ってしまう。でもそうじゃない。
「人生には無限の選択肢がある」
だからそれだけは覚えておいてほしい。
なかなか口だけで言うのは難しいから、パパが父親としてキミに与えたかったものが「何があっても最後にはここにパパがいるという安心感」だった。
それさえパパがキミに与える事ができれば、何があっても大丈夫だろうと。安心して色んな場所に行けるだろうと。誰とでも会えるだろうと思って。それだけは父親としての責任だと思ってる。
ほとんどふざけてばっかりだし、キミがパパの存在にどれだけ安心感を持ってるかは分からないけど、これからもパパはここにいる。だからこれから思う存分、色んな場所に行けばいい。色んなものを見て、色んな人と会ってほしい。その中には見るべきものでないものもあるだろう。そんな時はまたこちらを見ればいい。必ずパパはここにいる。大したことはできないかもしれない。ふざけてばっかりだから笑わせることぐらいしかできないかもしれない。でも絶対にここにいる。それだけは約束する。
長くなったけど、18歳おめでとう。