No.20 半年記念の妊娠
3ヶ月を過ぎた頃、私たちはしょっちゅう
喧嘩をしていた。
それも決まって、特定の女の子との距離が近い、
仲良い男友達と話しすぎる、といった
お互いの嫉妬からだった。
嫉妬からの喧嘩は徐々に周囲の人達までに影響し、
ついに私の男友達VS彼氏の殴り合いの喧嘩になり
私は周りの人たちを傷つけるのが怖くなったのと
彼氏に嫌われたくない一心で
仲良くしていた男友達と距離を置き、
疎遠状態を作った。
彼はよく、私の家にしょっちゅう
遊びに来ていた。
両親も一緒に住んでいたのだが、
家族も彼の存在を知っていて
彼のことをよくしてくれていた。
家族と彼氏が仲良く食事をする。
彼女の私はそれがすごく嬉しかった。
祖母と同居するために
家族みんなで祖母の家に引っ越した後も、
従兄弟や祖母とも仲良く食事を共にしていた。
家族公認の彼氏。なんて幸せなんだろう。
そんな喜びを噛み締めていたのも束の間、
私は妊娠した。
それは彼と付き合って
ちょうど半年経った12月頃だった。
もともと生理周期が安定しておらず
毎月生理が来ないのはいつもの事だと
軽く思っていた。
だけどいつもの生理前症状とは全く違っていた。
起立!と立つと、目まいに襲われ
頭がふらふらして上手く立つ事ができなかったり
胸がパンパンに張って、
机や壁などに少し当たっただけで
ズキズキとした痛みが走ったり、
今まで良い匂いだと思ってた匂いを
体が受け付けなくなり餌付いたり、
好きだったご飯が食べられなくなり
食べても吐いて戻してしまったりと
経験した事のない症状が次から次へと現れた。
これらの症状をネットで調べると
どれも【妊娠初期症状】に当てはまったが、
大丈夫これは嘘だ。何かの間違いだ。
と自分に言い聞かせ、焦りや不安を
必死に押し凝らしていた。
妊娠検査薬で陽性と出るのは分かっていたが
実際にそれを目にするのが怖く、
セルフ検査をできずにいた。
この頃には部活動も途中で辞めていたので
部活メンバーにもクラスにも
迷惑はかける事はなかったが、
体のしんどさと妊娠疑惑が広まる心配とで
学校に行くのが辛くなった。
彼には、体がおかしいと思った時点で
妊娠しているかも、と話をし、
期末テストが終わったら検査薬をして
病院に行こうと2人で約束していた。
妊娠初期で陣痛が激しい中、徹夜で勉強し
テストを全科目やり終えた帰りに
2人で検査薬を確認して病院に行った。
検査薬はくっきり陽性、
病院でのエコー写真でも
ばっちり胎児が映っていた。
私たちの赤ちゃんがいる!!嬉しい!
と、こういう場合は普通喜ばないといけないのだが
私たちは全く喜べなかった。
気づけば自然流産ができる方法はないのか、
医療処置を行わずに赤ちゃんを降ろせないのかと、
ひどい内容ばかり先生に聞いていた。
婦人科の先生には叱責され
2人は渋々産婦人科を後にしたが
産むかどうかを決めなければいけない。
高校生2人で解決できる問題ではないことも
十分理解していたが、
家族を悲しませ迷惑をかける事は
目に見えてわかっていたので
すぐに話すことができなかったし、
赤ちゃんを産むのかおろすのかを
決めることができなかったが、
妊娠がちゃんとわかってから
5日が経った後、ついに決断した。
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