No.49 決別
バースデーイベント後もソープとデリの掛け持ちで
毎日休みなく働き、空いた時間で
彼の売り上げに貢献していくという日々が続いた。
好きでもない男の人に身体を売って
恋愛ごっこのようなことをし、
辛い気持ちを押し堪え毎日笑顔で接客することに
私はもう心も身体も疲れ切っていた。
すごく大変な思いをして稼いだお金が
一夜にして全て消えるなんてことは
日常茶飯事で、自分の好きな事に使えるお金は
ほとんどなく、毎日毎日仕事をする意味を
考え込んでは抑うつ状態になっていた。
彼が好きで支えたいと思うからこそ
必死になって働いているが、
彼は私以外の女の子にも
私と同じように優しくしているのだろうかと思うと
どこか悔しくて涙が溢れて止まらなかった。
その気持ちが前面に出て彼に八つ当たりし
毎日のように喧嘩をしていた。
仲良くできない事にまた私の中で
負の感情が生まれ、道頓堀川を見る度に
涙を流して死にたいと叫んでいたことも
よくあった。
そんな時、話を聞いて助けてくれたのが
彼よりも歳が3つか4つ上の後輩だった。
顔がどタイプだったのもあり
店内でもすごく仲が良く、
彼と3人で遊んだこともよくあった。
何故だか後輩くんの考え方が好きで、
何かあればよく相談していた。
実はあの詐欺事件以来、
彼には内緒で頻繁に連絡を取るようになっていた。
というのも、ホストの世界では
担当以外と連絡を取ったり
店外で会ったりすることはタブーだった。
それがバレればそのホストは首。
なので私たち2人はバレないように連絡を取り合い、
基本的には私がずっと後輩に相談して
慰めてもらったり
背中を押してもらったりしていた。
そんなある時、年明けすぐに彼と大げんかをした。
彼に何も言わずに、私が地元で仲良かった女友達と
飲み遊んでいたのがどうやら尺に触ったらしく
怒りのメッセージが何度も何度も飛んできていた。
どうして私が遊びに行ってはいけないのか、
別にそこに男の人がいるわけではあるまいし
何がそんなに不満なのか?
そう思いその意見を伝えたが彼は聞く耳を持たず
連絡してくるなと私を突き放した。
そんな状況が理不尽で耐えられなくなり
私は彼と別れることを決意したのだった。