No.50 気付き
彼と別れてから数日後、彼はホスト店を
黙って辞めたらしい。
売上の要である私が離れたから。と周りは言うが
そんなことはもうどうでも良かった。
前みたく、「私が支えてあげなければ…!!」
という感情もその時にはもう既になくなっていて、
彼が黙って辞めたことに対しての
申し訳なさと情けなさが何故か
私からお店に対してあった。
彼がお店を飛んだ次の日、
後輩くんからも心配のメッセージを
頻繁にくれていたのもあって
後輩くん指名でお店に行き、
彼と一緒に働いていた従業員に謝りにいった。
が、何故かみんなの顔を見ると涙が溢れて
ごめんなさいごめんなさいと言って、
それは彼の代わりになのかはわからないが、
何故だか永遠と謝っては泣いていた。
その日から私はお酒に溺れた。
お店で毎日潰れるまで飲み、
伝票は10万円近く。
それが約1週間続いた。
彼に対しての未練はなかったが、
どこかにポッカリ穴が空いたような気がして
それを何かで埋めたかったのかもしれない。
風俗のお仕事も何のために働いているのか
だんだんわからなくなってきていて、
次第に仕事に対してのやる気も
どんどん消失していった。
そんな中、
後輩くんのビジュアルと口説き文句にやられ
私は彼にどハマりしていた。
彼が辞める3月までは彼指名でお店に通ったが、
彼が辞めてからはパタっと行かなくなった。
推しがいなかったどうこうではなく、
ただこの生活が良くないとやっと気づいたからだ。
ホストに貢ぐために身体を売ってお金を稼ぎ、
その稼いだお金をお酒を飲むということで
ホストの売り上げに貢献する。
このサイクルをずっと続けていくのは
自分を弱くすると思ったので、
風俗で働くのもその年の6月には
在籍していた店舗を全て辞め、完全に上がった。
後輩くんとは4月以降、音信不通だ。
ホストを辞めてから遊ぶ約束はしていたのだが
全部キャンセルされ、
それ以降、どこで何をしているのかわからない。
後輩くんの物の見方や考え方がすごく好きで
今後も何かの形で一緒に居たいと思ったが、
惜しくもその願いはまだ叶わずだ。
どこかのタイミングで叶えられれば、と
今もずっと思っている。
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