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珠洲滞在レポートvol.4(2024.08.10-08.13)
私は石川県珠洲市で行われている「奥能登国際芸術祭」に2021年作家として参加し、それがきっかけで珠洲に心を奪われた1人です。数年前から続いた余震、2023年の地震、そして今回の2024年1月1日の能登半島地震。これは、3月から珠洲に向かい、滞在した記録を細々と残した私的なレポートです。現地に行くハードルが少しでも低くなったり、現状を知るきっかけになれば嬉しいです。
8月のお盆に珠洲に少し滞在したのでそのレポートです。
朝イチで秋田を出て、夕方に珠洲に到着したのですが、、、。
作品「あかるい家」に蜂の巣ができていました。前回滞在時にも2つ発見して、どうにか嫌がらせしてたんですが、そのうちのひとつが残っていたようです。家の中ではなく、室内と外壁との間の隙間に入り込み巣ができていて(私がたくさん穴も開けちゃってるので)
室内からも大量の羽音が聞こえることから、巣はかなり大きい、、、、。
実は、滞在時はいつも「あかるい家」の中でテントを立てて生活しているので、まさに蜂との同居です。夜になって来たし、今晩はこのまま寝ようか?とも思ったのですが、今がチャンスかも!となり、長距離ドライブ後の蜂退治が始まりました。
蜂の出入り口をビニールで覆い、急いでドラッグストアで買ったスプレー(珠洲のドラッグストアは9時まで営業!!)を反対側の穴から発射。
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朝に外板を外してみたら、まさかの巨大二世帯住宅。蜂には最高の環境だよね、、。刺されなくてよかった。皆さんもお気をつけて。
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①気候と持ち物
7月の滞在が本当に暑くて、大変だったので今回は暑さ対策万全で臨みました。クーラーボックスも持って来たし、寝る時用の扇風機とうちわ、冷感マットなどなど。でも、8月は少し暑さも和らいだ感じでした。
昼間は暑いのですが、夕方になれば涼しい風も吹いて来て心地よく、朝晩はひんやりしてくるぐらい。結局夜は扇風機使いませんでした。
9月になれば夜は肌寒いくらいかもしれません。虫は変わらずなので、虫除けなど必要です。
【今回の持ち物】
夏用作業着、帽子、虫除け、着替え、手ぬぐい、赤ちゃんのお尻ふき(便利!)やウェットティッシュ、水、カセットコンロ、ヤカン、紙コップ、ゴミ袋(GENKIだとビニール袋無料)、日持ちする食料、手洗い用の100きんの水タンク、充電式ライト、充電式扇風機、音楽聴くやつ、モバイルバッテリー、寝袋、マイまくら、折りたたみテント、洗面具
【追加で買った物】
蜂退治用のスプレー
風呂桶、環境に優しい石鹸
(銭湯行くお金をケチるため、タンクの水をヤカンでお湯にして、家の裏で頭と体を洗いました。夜はほとんど車も通らないし、家の裏が空き地なので夜にジャバジャバ。夏だからできる荒技)
②道路状況
③珠洲のお店、に関してはあまり見れてないけど大きな変化はなかったかと。
④スズズカの避難所が解体されたよ!
私がお世話になっている正院地域の避難所が、利用者が仮設住宅に入ったことで解体となりました。8月11日がお掃除の日だったので、みんなで片付けをして来ました。何度も貸してもらった仮設シャワールームもすでに撤去され、野外にあった薪風呂、ダンボールベッドや畳、テントなどを解体し倉庫へ。支援物資も賞味期限をチェックして、配ってしまうものと保管しておくものに分け倉庫へ。畳や水の入った段ボールなんかは重たいから、手伝いに行けてよかったなーと感じました(高齢の方が多いからね)。私たちの他にも、「災害NGO結( yui)」の人たちがボランティアに来ていたり、その中で知ってる顔もあったりして、なんだか嬉しかったです。
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避難所は解体だけど、スズズカの建物は地域の人の集会所として使われるようです。建物のトイレはまだ使えないので、外の仮説トイレはそのまま。
スズズカ(元保育園の建物)のグラウンドには、立派な仮設住宅が並んでいます。避難所でよくしてくれた人も住んでいたり、私は知らない人もいたり、新しい生活が始まっています。
スズズカの避難所にいた人がみんな隣の仮設住宅に入るわけじゃないので、前みたいに、スズズカに行けばみんなに会える環境ではなくなったけど、また、それぞれの場所に挨拶にいけるといいなと思います。
「好きな時間にお風呂に入れるのが幸せ」
仮設に入った人の言葉です。銭湯も自衛隊風呂も9時までだし、高齢者の多い避難所では9時には寝ちゃう人も多い。仕事で遅くなるときも多いから、気を使うよね。
1月からずっと気を使って来たんだなと。仮設住宅や自分の家で、リラックスできる時間を過ごしてほしいです。
⑤キリコを見て来たよ!
お盆に珠洲に向かったのは、キリコが出るって話を聞いたからなんです。奥能登は無形文化財が多く、祭りへの愛が強いことで有名です。私も2021年からずっと「祭りを見たほうがいい」「キリコがすごい」と言われ続けていたのに、なんやかんや行けなくて。
夜中に倉庫の中にしまわれたキリコを見せてもらったことはあったんですが(泥酔しててあまり覚えてないんだけど)、動いてるキリコを見るのは今回が初めてでした。
キリコは各地域にそれぞれ自慢のものがあり、夏になると各地域で祭が開催されます。
今回の正院のキリコは、本来の祭りではないんだけど、この地域の若い人たちが、キリコを出すことで楽しい空気を作りたい!!と企画したそうです。祭への愛が伝わりますよね。
朝の5時から準備するそう。立てるのも一苦労だ。。
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漆塗りのキリコ。慎重に組み立てていました。めちゃ重くて、かつては30人くらいで担いで動かしていたそうです。キリコの上に子供達が乗せられて、笛と太鼓も乗り込み演奏します。今は人がいないからタイヤで移動。
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キリコが電線より高いので、専用の竹の棒で電線を寄せたり持ち上げたりしながら進みます。笛と太鼓の調子は、京都を思い出すような雅な雰囲気。家から家に移動し、家の玄関では止まって移動時とは違う激しい太鼓と笛の演奏が披露されます。その時下にいる大人がキリコをガンガンに揺らします。
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なんと「あかるい家」にもキリコがきてくれました。感動。
本来であれば女の人はキリコにも触れないマジであれな伝統ですが、今は時代もあり過疎化もあり、私も一緒にキリコを動かして太鼓も叩かせてもらいました。
キリコは神社ごとにエリアが細分化されていて、スズズカの仮設住宅に住む人みんながこのキリコのエリア出身ではなかったこともあり、当初は複雑な心境の人もいたようですが、太鼓と笛の音色が響き始めると人も集まって来て、楽しそうに笑うおばあちゃんの姿が印象的でした。
⑥本町ステーションにも遊びに行ったよ
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すっかり私の憩いの場になっている本町ステーション。いつでも遊びにいける場所があるのは嬉しい。
「本町ステーション」紹介記事⬇︎
https://www.chunichi.co.jp/article/888203
「本町ステーション」インスタ⬇︎
https://www.instagram.com/honmachi_station?igsh=MTd6aGs5ZjBla3VlZQ==
鵜飼地域の様子も少しずつ変化しています。解体が進む家やすでに更地になった場所も。
早く解体作業が進んで欲しい、という気持ちと、変わってしまう景色(もう既に大きく変わってしまったんだけど)更地になって消えてしまう景色になんだか気持ちがざわざわしてしまいます。
ここに住んでいた地域の人は、どんな気持ちで毎日見ているんだろう。
更地になった後に、私はどれくらい町並みを思い出せるんだろう。
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仮設住宅も見せてもらって来ました。
有名建築家がデザインした仮設住宅もあれば、プレハブ型のもあって、スズズカのように長期居住を想定した仮設住宅もあったり、規模や形、入れる時期も本当に様々。住んでる場所やタイミング、被災状況などで何が当たるのかが決まるそう。補助金や仮設住宅が「あたる」という言い方をみんながするように、運の要素が強いんだろうな。
⑦「オリンピックやってたらしいね」
知り合いにホームセンターで偶然会って、いろんな話をする中でこの一言があった。
その人は、まだ仮設住宅に入れなくて避難所生活が続いていて、体育館の中の小さいテントを個室にして生活してる。共有スペースにはテレビもあるけどほとんど見てないらしい。避難所生活にも慣れたと教えてくれた。
奥能登の現場で頑張っている人がたくさんいて、解体も少しずつ進んでいる。現場はたくさんの人の努力で変化してる。
でも、国は奥能登の復興を最優先にしているのかな。まだ避難所生活してる人もいるのを、どれくらいの人が知ってるんだろう?
「オリンピックやってたらしいね」
私はなんて返事したらよかったんだろ
⑧今回も野菜をたくさんいただいてしまいました!
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秋田のお菓子を持って行ったら、大量の野菜をもらいました。夏野菜ももう少しでお終いです。次はさつまいもだって。おじさんは栗林の草刈りしてました。秋になってくるんだなあ。
ここのお家ではやっとお風呂が使えるようになるみたい。よかった。
次回は9月末に滞在予定。
◯ふるさと納税 (返礼品ありません)
https://www.furusato-tax.jp/saigai/detail/1677
◯義援金
ボランティアの入り口いろいろ↓↓
「石川県災害ボランティアセンター」
「ボランティアキャンプサイト⬇︎ボラキャン珠洲」
「災害NGO結( yui)」
「 NRN 能登復興ネットワーク いやさか」