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1000字でまとめる『世界標準の経営理論』~ 2-3 知の探索・知の深化の理論② (第2部 第13章) ~

2019年12月に早稲田大学の入山教授が出版した『世界標準の経営理論』。出版早々に購入するも、面白そうな章だけつまみ食いした以降は、3年ほど本棚の肥やしとなっていた。しかし、2022年10月にマネジメントへの一歩へを踏み出す中で【経営】への関心が再び高まり、この機会に丁寧に読み直すことにした。

本noteは自身の咀嚼を主な目的として、各章の概要を各noteで "1000字程度" で整理すると共に、読む中で感じたことを記録する備忘録である。なお、今の自分にとって目に留まった章から順番に触れていく。

(導入説明 300字、各章概要 1000字、振り返り 500~1000字 構成である📣)


1.本文概要:知の探索・知の深化の理論②

✄『世界標準の経営理論』該当ページ:P235~P250 ✄

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人・組織の認知には限界があり、「知の探索」にはコストや負担を伴う。しかも、探索は不確実性が高い (=失敗が多い) ため、組織は本質的に「知の深化」に偏る傾向がある。この傾向をコンピテンシー・トラップ (competency trap) という。そのため、「知の探索」を促し、両利きのバランスを取り戻す必要があるが、そのレベルには大きく2つある。


■レベル①:戦略レベル
代表的な取り組みはオープンイノベーション戦略とcvc(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)投資である。オープンイノベーション戦略は、「企業が、他社やスタートアップと連携して、新しい知を生み出す試みの総称」であり、cvc投資とは「既存の事業会社が新興のスタートアップ企業に投資をしながら、時に連携を図る」ことを指す。

■レベル②:組織レベル
1つは組織レベルで、代表的な取り組みは「組織を知の深化部門と知の探索部門に分ける」ことである。その際に大事はことは2つある。
①新しい部署に必要な機能をすべて持たせて、独立性を保たせること
②トップレベルでは、その新規部署が既存の部署から孤立しないように、両者が互いに知見や資源を活用し合えるよう交流を促すこと。

組織レベルにおいてもう1つ重要な観点は「人材の多様化」である。そもそも「知」は、人が持っている。したがって、組織内に多様な人がいれば、離れた知と知の新しい組み合わせが組織内で多く起こり、新しい知が生まれやすくなる。

この「多様化」は実は一人でも出来る。「一人の人間が多様な、幅広い知識を持っている」なら、その人の中で離れた知と知の組み合わせが進み、新しい知を創造できる。これは「個人内多様性」もしくは「イントラパーソナル・ダイバーシティ(intrapersonal diversity)」と呼ばれる。


「知の探索」において、「適切な知の探索はどこか?」という問いに対して、はトロント大学のサラ・カプランが2015年が発表した実証研究が一つの視座を与える。その研究では、ほどほどの探索では「技術的なブレークスルーなアイデア」、広範な探索では「価値を生み出すアイデア」を生み得るという結果が得られた。

いずれにしても、知の探索は続けなければ意味がない。だとすればまず今日からできることは、個人で小さな仕掛けからでも始めて、それを続けていくことではないだろうか?なお、ゴーゴーカレーの創業者社長 宮森宏和氏の座右の銘は「創造性は移動距離に比例する」である。まさに広範な知の探索の行動を示している。

~メモ( ..)φ:時間軸で変化する両利き(temporal ambidexterity) ~
「両利きを長い時間持続させることに成功している企業は、vacillationを実現している」。vacillationとは、極端に「知の探索」に振る期間と極端に「知の深化」に振る期間を繰り返すことである。

2.本章に対する振り返り

「知の探索」に対して「知の深化」に偏りやすい傾向は、職場における人間関係においても似た様な状況を感じる。例えば、1つの側面で接点を得た人に対して、以降も "その接点" に基づく関係性ばかりを深めていき、他側面に目が向かなくなることはないだろうか? 自分は心当たりがある。「既存」を深めていく方が総じてリスクも少なく楽であるが、そこに罠がある。

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どこでもかしこでも『多様性』という言葉が聞かれる様になり、徐々にバズワードの様な装いになっていると感じるが、「個人内多様性」という言葉に改めて触れる中で、それぞれの個人間での差異に目を向ける前に、1人の個人が内側に持つ複数の姿にしっかり目を向けることが組織のポテンシャルを引き出す上では必要なのだろうと感じる次第だった。

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本文中では「 (知の) 探索はまずは小さな仕掛けからで良い」という言葉があったが、例えばチームメンバーにおいては、マネジャーからの1on1などでの働き掛けによって、本人すらも気づいていない様な内面に気付かせてあげることが出来たなら、それは「個人内多様性」の探索に向けた1つの仕掛けになるかもしれない。

【参考資料】


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「知恵はかい出さんとあかん、井戸から水を汲み上げる様に」を大事にしながら、日々のマネジメントに対する振り返りをツイートしています👇


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