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1000字でまとめる『世界標準の経営理論』~ 1-9 ゲーム理論② (第1部 第9章) ~

2019年12月に早稲田大学の入山教授が出版した『世界標準の経営理論』。出版早々に購入するも、面白そうな章だけつまみ食いした以降は、3年ほど本棚の肥やしとなっていた。しかし、2022年10月にマネジメントへの一歩へを踏み出す中で【経営】への関心が再び高まり、この機会に丁寧に読み直すことにした。

本noteは自身の咀嚼を主な目的として、各章の概要を各noteで "1000字程度" で整理すると共に、読む中で感じたことを記録する備忘録である。なお、今の自分にとって目に留まった章から順番に触れていく。

(導入説明 300字、各章概要 1000字、振り返り 500~1000字 構成である📣)


1.本文概要:ゲーム理論②

✄『世界標準の経営理論』該当ページ:P167~P179 ✄

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本章ではゲーム理論における「逐次ゲーム (Sequential game)」を解説する。逐次ゲームは2社が順番に意思決定するゲームであり、先手をリーダーと呼び、後手をフォロワーと呼ぶ。先手は「自分の打ち手に後手がどう反応するか」を予測した上で先に駒を動かせるということであり、後手は先手プレーヤーの駒の動きを知った上で自分の手を打てる。逐次ゲームとなる場合、同じペイオフ・マトリックスを使ってもナッシュ均衡となるシナリオは異なる。

例えば、「お互いに相手の生産計画が分かるのは 202*年になってから」という設定であったとしても、「当社は202*年は絶対増産する!」と先に宣言することで「同時ゲーム」を「逐次ゲーム」に変え、自社に有利な状況を生み出すことができる。ゲームのルールは変えられる。

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「先に宣言することで逐次ゲームの状況を生み出す」戦略には、重要なポイントが2つある。

■その①:その宣言が信用できるものであること
自分がリーダーの逐次ゲームの状況の状況をつくり出したい時には、「この宣言は口から出任せではない」ことを、相手に徹底して分からせる必要がある。例えば、設備投資のための大規模な銀行借り入れをすれば、それを持って相手に「不退転の決意」であることを示せるかもしれない。相手に「自分は絶対に引かない」ことを分からせることを「戦略的コミットメント」という。

■その②:宣言する戦略は「増産」と「現状維持」のどちらがいいか
結論から言えば「増産」の方であるべきだ。一般的な「数量」を軸に競争する時は、現状維持よりも増産のような「強気の戦略」の方が自社の有利になりやすい。なぜなら、先に増産という強気な手を打たれると、フォロワーであるライバル企業は「自社も増産してしまうと市場が過剰供給になる」ために強気な戦略で返せないのだ。

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リーダーとなる自社が取る選択に対して、フォロワーとなる相手が逆の選択肢を取る時、「両社の戦略は代替的」という。一方でフォロワーもリーダーと同じ方向の手を打つことが予測される時、「両社の戦略は補完的」という。この場合には、強気の戦略は裏目に出やすい。この関係をまとめたものが「フーデンバーグ=ティロールの分類法」と呼ばれるものである。

現実はこれらのゲームが1回きりのゲームではなく、「無限繰り返しゲーム」として行われているが、その点を踏まえながら経営学のゲーム理論では、人の信頼は「無限繰り返しゲームをする人々が、自身と相手の損得を考えた上での合理的な判断の帰結として起きている」と捉える。

2.本章に対する振り返り

ここでは「逐次ゲーム」をキーワードに、「宣言」を交えることによって、ゲームのルールを変えながら、相手と駆け引きを交える観点が主には紹介されていたが、実際の状況のおいては『駆け引きの仕方を決める上での前提となる "予測のマトリクス" を適切に描けるか?』が非常に重要であると改めて考えさせられた。

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影響を及ぼす相手がいる様な判断の場面においても、まずは簡潔ながら網羅的に整理された "予測のマトリクス" を丁寧に描き、その上で「どの様なゲームの形を目指すか?」を考えながら、必要な「戦略的コミットメント」を打ち込みながら最終的な判断を下していくことが大切であると考える。

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また、経営学の観点から見た際における「信頼とは何か?」への言及が非常に興味深かった。マネジメントでは度々『チームメンバーとの信頼の構築』という観点が議題に挙がるが、様々な学問から見た「信頼とは何か?」を理解することによって、思わぬ形でマネジメントへの気付きが得られるのではないかと思わされる次第であった。この点はまた深掘りを行っていきたい。

【参考資料】



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