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海外でニーハオと言われると心がざわつく理由について
こんにちは、オーストリアの研究機関で勤務しているKayと申します。
先日、バスに乗っていると、先生引率で地元の小学生たちがわらわらと団体で乗り込んできました。校外活動か何かで外出してきた雰囲気でした。
特に気にせず座っていると、どこからともなくこどもが「ニーハオ」と連呼する声が。
え、これって私に向けられている?
なかなか止まないニーハオ。
ああ、もう面倒くさいなあ…と思っていると、たまたま同僚の日本人も乗り込んできました。
数学者の彼は、日本人とは言え、アメリカやカナダで主に教育を受け、すでに国籍もアメリカに変えていて、ただ日本語も話せるので、あるきっかけで職場で知り合ってからちょくちょく話す仲に。
「なんか、小学生多いっすね〜なんかイベントですかねえ〜」
と、いつものようにラフな雰囲気で乗り込んできました。彼の中国人の同僚も一緒で、簡単に挨拶をしてから近くに座り、雑談をしていると、またまた「ニーハオ」の声が。
すると、友人は日本語で「あはは、なんかにぎやかっすね〜。ニーハオとか言ってるし」というので、「もうほんと、ニーハオはやめてほしいですよねえ、アジア人は全員中国人じゃないって教えてあげようかなあ」と私が返すと、
「えーなんでですかー、僕はいつもニーハオって返しちゃいますけどねえ〜」
と。
確かに、なんで、ニーハオって言われると苛ついていたんだ、私は…?
私が固まっている間にも、友人はその小学生と絡み続け、隣に座っている同僚を指し「こっちは本物の中国人だよ!中国語わかるよ!」と英語で伝え、「僕、中国人〜!」といっている明らかに中国人じゃない子どもに対して、「えーおまえ絶対違うだろ〜!」とふざけ合っている…
なんで、私は自分が中国人じゃないって主張したいんだ?
それって、結局どこかで「中国人と一緒にしないで欲しい」という意識があったからなのではないか?
僕はいつもニーハオって返しちゃいますけどねえ〜
別に私を諭すつもりでもなく、ただ彼は、普段自分がしてる事実を述べただけなのだと思います。しかもどうしていつもそうするか理由も聞きませんでした。それ以上このことについて語ることもなく、他の話題に切り替わりましたが、この一言が頭から離れない。
確かに、全く知らない、今までも今後も自分の人生に関係ない、通りすがりの人に、間違いを訂正にして自分が日本人だって主張したところで何になるんだろう。
さらにこの「一緒にしないで欲しい」心理が潜んでいる事実、恥ずかしすぎるし、ナイーブすぎるし、何よりも、中国語話者たちになんて失礼なことしてたんだ、と。
中国語を母国語とする中国、香港、台湾の友人、同僚やママ友、お隣さんだっていて、この知人たち対して間接的にでも「あなたたちと一緒にしないで」と無意識に感じていたのかと思うと、自分に対して愕然とせざるを得ません。人種差別する人なんて最悪、と他者に対して顔をしかめている場合じゃなかった。
また、明らかな悪意、小馬鹿にした感じで「ニーハオ」言われたとしたら、そのイラつきの原因は中国語話者と間違われたことではなく、その発言の意図であるので、ここをしっかり切り分けることを忘れずにしたいです。
そして、この友人の一言は「人生において、そんな些細なこと、全く大したことじゃない」と、言われている気もしました。
ふとした時に、表面化する無意識バイアス。少しでも減らしていきたいです。