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富山市めぐる水、「いたち川」
とにかく水がすごいと聞いていたので、初めての富山旅は水めぐりから。
降り立った富山駅から約3kmを歩きながらの散策です。市内を走る小さないたち川は、古来よりこの地域に住まう人々の日常生活に欠かせない川。川沿いに数多くの地蔵堂があり、その多くは「延命地蔵」と名付けられています。
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富山県には大きく分けて岐阜の飛騨山地水系と立山連峰水系があり、富山市内を流れる神通川は岐阜より、そしてこの神通川に合流しているいたち川は立山から流れ出る常願寺川の支流で、この2つの異なる山々の水が富山湾の手前で合流して海へと流れ出ています。
小さないたち川で何より驚いたのが水量。
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流れも早く、道を歩いていても下を流れる水音が各所で聞かれるほど水の気配が深かった。地面の下を水がごうごう流れているといった印象です。
泉橋を挟んで川の両側に「泉町延命地蔵」と「石倉町延命地蔵」の湧水ポイントがあり、この日も水汲みの人が途切れることなく訪れていました。
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水はキリッと涼やかな芯のある印象の軟水で、遠くに見える立山から連なるものがたりに想いを馳せながらの散歩道。
私の故郷奈良県の小さな町の川沿いでも、同じように地蔵堂が10メートルおきに並んでいるのですが、先人たちが「水」への恩恵と同時に幾度となく繰り返されてきたであろう水害からの畏怖、命をなくした人たちへの慰霊や感謝が「祈り」としてかたちに残されているのを感じます。
生命のみなもと。
立山からつらなる「土地」のものがたり、
水を身体に入れてじっくり聴いてみる。