山から戻ったらポストに本がやってきていました。
旅には必ず本をバックパックに入れてゆくのですが
本とともに読みながら旅をする時と、
どうしても開くことができないまま帰る時があります。
本を開かずにいた旅。
旅がことばにならない深みを与えてくるとき、
ことばを置いて、「聴かれる」ものにゆだねる旅。
旅から戻ってしばらくした日
ふと開いた本の中に、
旅で出会った「ことばにできずにいたあの感覚」がまるで描かれていたかのような鮮明さでリンクし、
ああそうだったのかとはっとすることがある。
詩人の管啓次郎さんの本は、わたしに何度もそんな体験をもたらしてくれました。
この本は管さんが明治大学の学生さんと制作されたもので、
こういった「出版」とは別のかたちで生み出されたものならではのあじわいがあり、小さな「日常に溢れる」言葉を大切に紡ぐものに憧れます。