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唐臼の音を聞きながら、楽しく廻れる小鹿田の里

先日星野リゾート界別府に宿泊した際、部屋のお湯呑みが小鹿田(おんた)焼きでとても素敵だった。

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小鹿田焼は、大分県日田市の皿山地区で作られている陶器だ。日田の焼き物であることは知っていたが、今まで個人的にはあまり注目してはいなかった。


星野リゾート界別府では、とにかく大分県のことがよく研究されており、小鹿田焼をはじめ、食事処でも日田のお酒が出されていたり、別府を代表する竹工芸品が随所に見られた。

コロナ禍で県外への旅行ができず、別府市内で宿泊したことで、改めて地元の素晴らしさを感じて、地元民として知っておくべきことがたくさんあるなと考えさせられた。

小鹿田焼は、地元の百貨店でも数多く取扱いされている。有田焼きなどに比べて、価格も手頃。てんてんの模様が可愛らしい。今までじっくり見ていなかったけれど、あれからつい見てしまうようになった。

会社のとなりの席に座る同期。
私達は、勤続20年を迎え、なぜか今年から隣の席で働くことになった。

仕事だけでなく、プライベートでも仲が良いので、2人で一緒にいると、仕事をしているのになぜか「楽しそうやなー!!」と言われてしまう。事実楽しいのだが。

私達の勤務する会社では、勤続20年になると旅行券がもらえる。星野リゾート界別府へ宿泊したのも、記念の旅行券を使って一緒に出かけた。

彼女が言った。「小鹿田焼きさー。星野リゾートで改めて良いなと思って。お茶碗気になってたの買ってしまった。お湯呑みも欲しいなー。」

さすが、我が同期。20年もいると気になるものも一緒!

「小鹿田の里に直接行ったらさ、こっちで買うのと値段がぜんぜん違うらしいんよ。」

20周年旅行第三弾だ!と理由をつけて、私達は、日田へ出かけることにした。
※第1弾星野リゾート界別府、第2弾御宿ゑびす屋、第3弾で初の別府市外へ。

宿泊した日田市内の三隈川沿いのホテルをチェックアウトする際に、フロントの人から「これからどちらにお出掛けですか?」と聞かれた。「小鹿田の里に行きます。」と答えると、「良いところですよ。水車があってね。ゴンと音がして。」と教えてくれた。

水車でゴン?私のイメージの中では、水車とは丸くて、ゴロゴロと回っているイメージだ。

はてなを浮かべながらホテルを出て、車で小鹿田の里を目指す。ナビ様にお願いして、車を進めていると、ふと。あの言葉が気にかかった。

「今からどちらにお出掛けですか?」

妄想が始まった。

が、今回は、相棒同期に声にして聞いてみる。

「私達の足取りを追ってきた刑事が、あのホテルでフロントの人に事情聴取をして、私達の行き先を知るんやな。」

同期が答える。

「10時頃にあのホテルを出たのならば、10時半には小鹿田の里に到着しているはずが、空白の30分にいったい何があったんでしょう?それさえわかれば、アリバイがくずれますね。」

流石、わが同期!!笑笑

そんなこんなでふざけている間に、小鹿田の里へ到着。

まず最初に目に飛び込んで来たのは、「小鹿田焼陶芸館」。こちらへ行けば小鹿田焼の歴史など、知りたいことがわかりそうだ。

本来であれば、陶芸館から攻めるべきところだが、我々の小鹿田欲は上り調子であり、一刻も早く、とにかく現物を見たいという衝動をおさえることができなかった。

陶芸館をスルーし、駐車場に車を止めるとすぐに、1軒目の窯元が見えた。

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わぁあわぁあわぁ

よくわからない言葉を発しながら、焼き物に近づく。

「おはようございます。」お店の方にご挨拶をして、見せていただく。

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湯呑みが、1つ千円以下!!お値段にも驚いたが、この模様にも興味深々だ。模様の大きさとか間隔とかが、窯によって違うのかな?厚み?全部の窯を見てみないとわからないね。と話しながら、ひとつひとつ見ていく楽しさにワクワクした。

その時「ゴン」「ゴン」と音が聞こえてくる。

これって噂の水車の音???

と音がする方に2人で駆け寄った。

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こっ。これは!!!

巨大ししおどし!!!!

水がたまると、ギギギギーゴン!と音を立てて巨大ししおどしが動く。

綺麗な川と、せせらぎの音。そこに響く巨大ししおどし。

あー。良いところ来たなぁ。

そう感じた瞬間だった。ゆっくりとした巨大ししおどしの音が、時の流れをゆったりとさせる。ずーっと見ていてもいいなー。

窯元巡りを再開。小鹿田の里には、9つの窯元がある。

やはり窯ごとに模様の入り方や感覚に違いを感じるが、苗字が同じ窯元が多い。坂本さん窯、柳瀬さん窯。

同じ苗字の窯元でもまた陶器には違いがあった。男性的に見えたり、シュッとしていたり。

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こちらは、黒木さんの窯↓

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先ほどの坂本さんの窯の模様と比べると、細かい。

どちらも素敵でどちらもそこにしかない美しさがある。

里を歩いていると、あれ?これ?!韓国時代劇で見たような登り窯!!

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ここは各窯が共用で使用をしているそうだ。

するとまた聞こえてくる。ギーゴンっ!

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出たっ!巨大ししおどし!

どうも里のあちこににこの巨大ししおどしある様子。もしかして、1窯元1ししおどし制度なのかな?

もうこれは!行くしかないでしょう。

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この陶芸館で私達の多くの謎が解明された。

まずは巨大ししおどし。

あれは、唐臼というもので、原料の土を細かく砕く為に、水の力を利用しているそうだ。

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小鹿田の里で使われている陶土は、この里の近郊でとれ、この唐臼で20日から30日かけて、細かく砕かれる。

次に、器の模様。あの点々は、「飛びカンナ」という技法で削られて作られていた。その技は、約300年間一子相伝で守られてきたそうだ。だから同じ苗字!!

そして、小鹿田焼きというのは、福岡の「小石原焼き」が伝えられたもので、「小石原焼き」の陶工は、黒田長政が朝鮮から招いたというではないか。どおりで、登り窯が韓流時代劇でみたような風なんだ。

なるほどなー。まだまだ掘り下げて勉強したいところだが、夕方から台風が近づく予報も出てるので、急いで陶器選びに戻ることにした。

そして、こちらの窯元でついに出会った。

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星野リゾートで出会ったあのお湯呑み。

結果、同じものは買わなかったけれど、こちらのこぶくろ窯さんと、いくつかの窯元で、素敵な陶器を何点か購入した。

特に、飛びカンナの模様が比べたくて。

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とても楽しい小鹿田の里だった。

事前勉強して、またゆっくり訪れたい。小石原焼きにも行ってみたいな。

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