別府を楽しむ ②
別府の温泉で、「むし湯」をしている施設はいくつかある。サウナのような感じとか、箱の中に入って首だけだして蒸されたりとか。
ここ鉄輪(かんなわ)の「むし湯」は他とは異なる。
温泉で蒸された石室の中に入ると、床には「石菖」(せきしょう)という草が敷かれており、その上に横たわる。
菖の柔らかさと匂いがなんとも心地が良いのだ。
520円でこの心地よさが味わえるので、時間に余裕のある週末はちょこちょこ通っている。
浴衣のレンタルもできるけど、家から短パンとTシャツを持参すればそれでも入れる。
88湯巡りを始めてからは、初だったので張り切って入口でスパポートを取り出す。
初めてですか?受付の女性が声をかけてくれる。
スパポートを取り出すと「地元の人ではない。」そんな雰囲気に変わる。確かに。地元の人は、お気に入り温泉に入るから、巡らないよなあ。
これは、初めてだという妄想をして入ってみたらどうだろうか。
私は旅人。別府にやってきて、初めて蒸し湯に入るのだ。わくわく。
今日は、短パン、Tシャツも持ってないし。浴衣も借りることでもあるし。
「はいっ。初めてです。」
我ながらかなり嘘くさい感じはしたが、違う世界が見えるかもしれないではないか。
初めての割には、迷わず女湯の入り口へ体を向ける。
初めてでないのがバレるのではないか。
しまった。こんな余計なことを考えないといけなくなるなら、正直に言えば良かった。
中に入ると、中で待っている案内の女性が、優しく話しかけてくれる。
「お客さんわかるねぇ?」
「はい。わかります。内湯行ってきます。」
やっぱり。正直が1番。妄想ごっこはやめるとしよう。
むし湯に入る時は、先に体を綺麗に洗う。(特にお尻を)
湯船につかると案内のお母さんに怒られるから要注意。
湯船は、むし湯のあとなのだ。
浴衣を着てむし湯に入れてもらう。
小さい入り口をくぐって、石菖の上に仰向けに横たわる。
初めて入ったとき、仰向けと言われたのにしっかりうつ伏せてしまっていた私を、あわてて案内のお母さんが叱った。
仰向け!!
笑っては怒られそうだが、あれも楽しい思い出だ。
おかげで私は忘れない。湯船は後から、石室内仰向け。
初めて入った時に理由は聞いたが、確か心臓への負担を考えてのことだと言っていた記憶がある。
あっという間に8分。
もうちょっとだけと、3分ぐらい延長してもらって、外にでる。
あーー!!爽快!!スッキリ。
体についている菖を、ござの上に落とす。
大切な菖だ。
そして再び内湯へ。かけ湯をして浴槽へ。
今まで気にしていなかったが、88湯巡りのおかげで成分を見るようになった。
温泉師匠(温泉本のこと)によると、ここのお湯は中性。
しかしなんと!メタケイさん685mg!!
めちゃくちゃ高い!
通りで、お肌に気持ちが良いわけだ。
泥湯にはいつ行こうかなあ。温泉巡りって楽しいなあ。
そういえば、すぐ近くにもスタンプがある地元温泉があった。
ついでに行こうか。いやいや。洗面器と石鹸持ってないし今日はやめておこう。
蒸し湯からでてすぐにあるのは、足むし。
友人と一緒に来るとここや、すぐ近くの足湯に入りながらおしゃべりをするところだ。
近くの足湯は、コロナの関係か締められていた。
早く通常に戻ることを願うばかりだ。
鉄輪の坂道を心地よい気持ちで、歩いて帰る。
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