
【保育とボードゲーム】 〜③その力は育っているのか?〜
【保育とボードゲーム】シリーズ連載、3回目になります。前回はこちらになります↓
前回では“どんな力が育つのか?“という点から、以下の4つを挙げました。
①社会性を育む
②感情のコントロール
③現実とファンタジーの線引き力
④客観視する力
では、これらが実際に育っているなぁ〜と実感する瞬間はあるのか?今回は現場(年長クラス)での実際について書いていきたいと思います。
ですが、その前に。前回記事でも書いていますが、私はボードゲーム自体が子どもの能力を飛躍的に育てる特別なものではないと思っています。位置付けは、積み木、ブロック、おままごとなどの遊びと同じと捉えています。したがって、上記した4つの力は、ボードゲーム以外でも当然同じように育っている可能性はあります。
①社会性
遊びの特性上、人数が限定される遊びなので、遊びのコミュニティは小さくなります。広い部屋の中で仕切りもないのに、そこに小部屋ができたように遊びの空間が出来上がります。ルールを説明したり、順番を決めたりと必要な会話を自然と行なっているように思います。言葉が乱暴になることもありますが、言われた側が言い返すことや、それはそれとサッと受け流すような姿も見られ、相手の気持ちを受け入れることだけでなく、自分の気持ちの扱い方(嫌な気持ちの逃し方)も学んでいるように思います。非言語面で言えば、相手の表情を読んで戦略を立てるゲームもあるので、目線、手の動き、話し方などを注視しているなと一緒に遊んでいて感じています。
②感情のコントロール
勝敗がつくゲームもあるので、負けて悔しいと「もうおしまいにする」と言う子は少なくないです。ただ、負けていてもたまに勝てるタイミングがあり、その時は特に嬉しそうです。(特に大人に勝てた時。笑)
感心するのは、さっきまで負け続けてべそかいてた子が、一度勝てると今度は同じように負け続けている子に前向きな言葉をかけてあげていることです。そして、その子がまた同じようなことして…と素敵な循環が生まれています。
③現実とファンタジーの線引き力
ゲームはゲームと割り切っている子が多いのか、ゲームに勝っても負けてもそれが終わるとどこ吹く風、って感じの子が多いです。気持ちの切り替えは上手だなと思います。負けたことをグチグチ言う子もいません。納得いかない場合はゲームでやり返すという、現実とファンタジーの線引きをしっかりしようとしています。
④客観視する力
ボードゲームをしていると、「次は私もやりたい」と遊んでいるテーブルの周りに人だかりが出来ることがあります。この様子に対して、「見ちゃダメ」とか「向こうで遊んでおいで」は避けるべきと研修会で教わりました。遊びを見ている子の中には、自分もそこで遊んでいると思いながら見ている子がいるからだそうです。ミラーニューロン効果ですね。また、あえて参加せずに見ている子もいて、そういう子はたいてい「あぁっ、それは…」とか「僕ならこうするけどね」とわざと言ってるのか、無意識に言葉が出てしまっているのか定かではないですが、相手を客観的に見ている姿があります。そこである程度勝ち筋を把握し、次は実際に挑戦してみるといった感じです。
まとめ
保育にボードゲームを持ち込むことで、現場では今回書かせてもらったような姿が見られるようになりました。ボードゲームで身についた力が他の遊びでも発揮されることもあるし、その逆もまた然りです。
サイコロ、カップ、カードなど手に取りたくなるようなアイテムは子どもたちの興味を引きやすく、遊びに迷っている中で、「一緒にやろう」と誘われるとすぐに遊べるのも魅力です。遊びのゴールが見えているのもいいのかもしれません。(「お〜わり」とか、「ゲーム抜けるね」が言いやすい)
手に取りたくなるとはどういうことなのか?次回は、クラスで遊ばれているボードゲーム(アナログゲーム)を紹介したいと思います。