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黒板







私は高校の教師だ。
ひとつ奇妙な事がある。
それをご紹介したいと思う。

2-6のクラスの黒板だけ、いやにチョークの乗りが良いのだ。チョークが良く走ると言うか、ついつい力がこもってしまってもチョークが折れない。私はチョークを折りがちなのだが、不思議と2-6で授業をした時には折れた事がない。

また、チョークだけではなく授業の進行自体もスムーズなのだ。いや、2-6の不名誉の為に言っておくが、2-6は決して扱いやすいクラスではない。他の先生方も2-6には手を焼いていると言う話をよく耳にする。だが、私が授業をする時に限っては、2-6はどういう訳だか大人しい。それはついつい、『私の授業が面白いからなのか?』と自惚れてしまうほどだ。確かに、チョークがよく走るから授業のテンポも悪くない。テンポの良い授業と言うのは、教える側も教わる側も良いものなのかもしれない。

とは言え、それがなぜなのかはまったく分からない。私は2-6の黒板と相性が良いのだ。2-6の黒板は外と何が違うのか。チョークは変わらない。私はマイチョークを持ち歩いているから教室によってチョークが変わる事はない。2-6の黒板側の問題なのだと思うの…だが。

黒板と言うか、2-6は教室の構造上、他と違うところがある。それは2-6教室の黒板側、隣に謎の空間があると言う事だ。部屋がある訳ではない。だが、教室がまるまるひとつ入りそうなスペースがある。そこは四方を壁に覆われているだけなので、中を見る事は出来ない。中身はただのコンクリなのだろうか。一体何のためにそんなスペースの無駄遣いをしているのだろうか。もうひとつくらいそこに教室を作っても良さそうなものだが。










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