執事
「執事ってさ」
「あん?」
「いや、執事っているだろ」
「ああ、セバスチャンとかそう言う感じの、な」
「そう、そう言う感じ」
「それがどした」
「ああ言うのってどう思う?」
「ぁあ?」
「いやだから、ああ言うなんか、話の中に出て来るような、主の為に忠義を果たします、みたいなさ」
「くっだらねぇ」
「馬鹿げてる?」
「だってそうだろ。仕事だぜ仕事。単なる仕事。何が主の為に、だ。金で雇われてるだけで命まで懸けられるかっての」
「話の舞台設定によったら、雇われてるんじゃない場合もなきにしもあらずだけど」
「っせぇ~な。どう思うか聞いて来たから答えてやってんだよこっちは。なんでそれにチャチャ入れられなきゃなんねンだ」
「確かに。すまない」
「で」
「?」
「だァから、なんでンな事聞いてくんだよ、って話だよ。なんかあったんならハッキリ言えよ面倒くせぇ」
「あぁ…そう言う。すまない。いや、大した事じゃないんだけどさ」
「ならとっとと言え」
「友達にさ。お前んとこの執事って執事っぽくないよな、って言われて」
「俺の事か?」
「そう」
「そりゃお前、こんな俺を10年以上雇い続けてるお前の方が変人なんだよ」
「それは確かに」