秋田のポケふたに選ばれたポケモンの理由を考える
秋田県にとうとう「ポケふた」が設置されました!!! 秋田魁新報で「秋田県にポケふた設置予定」と報じられてから1年半…諦めかけていた…。
↓ポケふたの公式サイト、秋田県のページはここ
嬉しすぎたため、それぞれのマンホールに描かれたポケモンと、その土地のつながりを想像してみました。現地で情報を確認したり、写真を撮ったりしたら、その都度このページを更新してゆきます。
仙北市「田沢湖クニマス未来館」のポケふた
ハクリューは「田沢湖(たざわこ)」の竜伝説、ワシボンは仙北市の鳥であるイヌワシと思われます。そして、シルエットで登場のサシカマスは「クニマス」のイメージかもしれません。
ハクリュー
ハクリューは、海や湖に棲み、天候を操るパワーを持つドラゴンポケモン。
田沢湖のほとりに、「雨乞石(あまごいいし)」という石があります。
「この石を動かすと湖が荒れ、雷、風、雨になると言われ、昔から湖神を祀った石といわれています。」というもの。
また、「御座石神社(ござのいしじんじゃ)」には龍神が持つ珠をイメージしたようなお守りが売っており、ハクリューの天気を変える力や、首元、尻尾の玉を彷彿とさせます。
さらに田沢湖にまつわる有名な伝説に「辰子伝説」というものがあります。
こちらにも「龍」が出てきて、最後は湖の深くに沈んでいく。
田沢湖は日本一深い湖とされ、その湖面は瑠璃色です。
ハクリューの青い体色とリンクさせているのかもしれません。
ワシボン
ワシボンは鷲の雛のようなポケモン。
仙北市には、絶滅危惧種のイヌワシが巣を作る場所があると聞きます。
また、合併されて仙北市に吸収される前の、旧田沢湖町の鳥もイヌワシでした。
サシカマス
ポケふたの設置場所が「クニマス未来館」のすぐそばであることを考えても、クニマスをイメージしたポケモンの選出と考えて間違いないかと思います。名前も「マス」だし。
クニマスは秋田県田沢湖のみに生息していたが、いちど絶滅してしまった魚。今は、山梨県でわずかに生息が確認され絶滅から「復活」したクニマスを、繁殖し、田沢湖でふたたび生きられるようにしようという活動がおこなわれているようです。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/senseki/article_63.html
鹿角市「道の駅かづの あんとらあ」のポケふた
カラカラとガラルデスマス。そして名前の記載はないものの、シルエットのイシヘンジン。鹿角市にある「大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)」を表現した3匹と思われます。
カラカラ
カラカラはじめんタイプのポケモンで、手にホネを持ち、亡くなった母親の頭蓋骨をかぶって泣くといわれています。
鹿角市にある大湯環状列石は、縄文時代の「集団墓」だそうで、土や死を感じさせるカラカラは遺跡のイメージにぴったりだと思います。
デスマス(ガラルのすがた)
通常のデスマスではなく、あえてガラルすがたが選ばれた理由は、「粘土版」を身につけているからでしょうか。
大湯環状列石の出土品を展示・解説する「大湯ストーンサークル館」で、人体を模した不思議なデザインの土版を見ることができます。
この土版、顔ハメパネルが設置されているくらいの推し展示品でした。
また、大湯環状列石は墓地であるだけでなく、祭事の場でもあったらしく、ミステリアスなデスマスが選ばれたのも納得です。
イシヘンジン
イシヘンジンは、ストーンヘンジのような形をした「きょせきポケモン」。1年に一度きまった日時にどこからともなく集まり、輪になって並ぶ習性があるといわれており、大湯環状列石(大湯ストーンサークル館)そのものをイメージした選出で間違いないと思います。
館内にはイギリスのストーンヘンジと、鹿角市の大湯環状列石を比較したような展示もありました。
男鹿市「道の駅おが オガーレ」のポケふた
3匹とも、男鹿市の伝統行事である「なまはげ」を表現した選出と思われます。さらに「男鹿ナマハゲロックフェスティバル」を意識したような、クールなデザインになっていることにも着目していきます。
オニゴーリ
オニゴーリは、鬼のような顔をしたこおりタイプのポケモン。
なまはげは通常、「青」と「赤」のセット。そして、普通のオニゴーリは「青」、色違いでは「赤」になるところが似ています。
さらに、男鹿市の主要ななまはげ行事(※)は、どちらも雪深い時期に開催されますので、こおりタイプのオニゴーリはまさにイメージにピッタリ。
(※ 大晦日のなまはげ来訪、2月のなまはげ柴灯まつり)
吹雪の中、山から降りてくるなまはげと、氷を自在に操るオニゴーリ。雪山で仲良くやっていけそうな組み合わせですね。
ヘルガー
地獄の番犬を思わせるヘルガー。「なまはげ」要素と「男鹿ナマハゲロックフェスティバル」の両方を意識した選出ではないでしょうか。
先ほど、なまはげ行事は冬に行われると言いましたが、加えて「夜」であることと、なまはげは「松明」を持ってやってくるという側面もあります。
2月に行われる行事「なまはげ柴灯(せど)まつり」では、大きな篝火が焚かれ、大量のなまはげが燃え盛る松明を持って、大きな声をあげながら練り歩く。
夜中に不気味な声で「地獄の使い」と恐れられ、炎を吐くヘルガーで、なまはげの恐ろしいイメージを表現したのかもしれません。
よくみるとマンホールにも「炎」があしらわれています。
さらに言えば、「男鹿ナマハゲロックフェスティバル」を意識した可能性も感じられます。ヘルガーの首元には、シルバーアクセサリーのスカルを下げているようなデザインがあしらわれ、全体的にロックテイストですよね。
グランブル
さらにグランブル。
グランブルは、怖い顔をしているが性格は繊細で、そのギャップが人気というポケモン。
怖い鬼の姿をしているが、実際は神様として敬われてきた、なまはげの内面をあらわしているのかもしれません。
また、グランブルも「男鹿ナマハゲロックフェスティバル」を意識していそうです。グランブルの首周りは、トゲトゲの首輪(スタッズつきのチョーカー)をイメージさせるし、怖い顔のブルドッグというのもどことなくロックテイスト。
横手市「秋田ふるさと村」のポケふた
ユキワラシ、パピモッチの、全体的に白・黄色でまとまった可愛らしいデザイン。犬は喜び庭駆け回り…という感じ。シルエットでイシツブテがゲスト出演しています。
ユキワラシ
横手市は盆地で、秋田県のなかでも特に雪深い地域。
また、横手市では、毎年2月に「雪まつり」が開催され、大小さまざまな「かまくら」が作られます。マンホールに描かれているかまくらはこれを指したものでしょう。
また、この雪まつりには、ユキワラシによく似た「雪ん子」の格好をした地元の子どもたちが参加します。
イシツブテ
シルエットのイシツブテは自分で考えてもよくわからなかったのですが、岩手県二戸市のデザインと似ており、この絵を反対側から見た構図なのでは? という意見を見かけました。
岩手県二戸市のポケふた:
https://local.pokemon.jp/manhole/desc/261/
パピモッチ
パピモッチは、吐息に酵母が含まれており、昔から料理づくりに役立てられてきたというポケモン。
横手市で発酵文化が盛んなことを表現した選出かもしれません。
また、雪の中をこいぬポケモンのパピモッチが楽しそうに走り回っている様子は、動揺『雪やこんこ』の「♩犬は喜び 庭駆け回り…」というフレーズを思い起こさせますね。
秋田市「道の駅あきた港」のポケふた
今度は全体的にオレンジっぽくまとまっています。イワンコ、ガーディ、バウッツェルの犬だらけマンホール。背景には竿燈があしらわれていますね。
ガーディ
こいぬポケモンのガーディ。「秋田犬」のイメージと思われます。
数多くいる犬ポケモンの中から選ばれたのは、ほのおタイプでオレンジ色というところが、ろうそくの火で提灯がオレンジに輝く「竿燈まつり」にイメージが合っているから…でしょうか?
余談ですが、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」DLCの「碧の仮面」で、ヒスイガーディとガチグマのエピソードが描かれるのですが、秋田犬が主役のジャンプ漫画『銀牙 -流れ星 銀-』のオマージュと思われる描写がいくつかあり、秋田犬をポケモンで表現するならガーディだな…と思われているフシがあるのは間違いなさそうです。
バウッツェル
※ポケモンGOに未実装につき写真なし。
いぬポケモンのバウッツェル。ガーディと同じく「秋田犬」かと思いますが、バウッツェルにはもうひとつ意味がありそうです。
ポケふたの背景に描かれている、竿燈まつりの「五穀豊穣を祈って大きな稲穂のような竿燈を上げる」という趣旨が、バウッツェルの図鑑説明文「体から放つ良い香りが小麦の成長を助けるため農村で大切にされてきた」という、豊穣の力を持つ面とマッチしているせいじゃないでしょうか。
体の色も竿燈のオレンジに似合うし…。小麦と米の違いには、まあ、目を瞑ったのでしょう。
また、秋田市の姉妹都市、ドイツのパッサウ市(のプレッツェル)をイメージしたものでは?という説も。
イワンコ
こいぬポケモンのイワンコ。イワンコも「秋田犬」のイメージ…と思われます。
また、イワンコは自分より強い相手にしつこく立ち向かっていき、根負けさせて勝利をおさめるという面を持っている。
マタギの相棒として大きなクマにも果敢に挑んだという、秋田犬の猟犬としての面をイメージしているのかもしれません。
以上です。ちゃんと考えたポケモンが選出されており、由来を考えるのが楽しかったです。
秋田の前市町村にポケふた設置されないかなぁ〜。