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ロシア観光ビザを上海で個人申請してみたらマジで大変だった (後編・手続き地獄)

前回のつづき。ロシア+中国の悪魔合体による手続き地獄めぐり。
(3年前のお話です)

ビザセンター

まずは最初のつまづきだ。ビザ申請書の提出先はロシア領事館ではなかった。四川路の「久事商務大厦・多国籍まとめてビザセンター」に集約されてしまっていたのである。ガーン。

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内部は無駄にだだっぴろい。ロシアセクションはエレベータで上がった5階にある。

一丁目

申請書と家族分のパスポートを提示する。係員(中国人・女性)は書類をじーっと見ている。

彼女が発した第一声は「この人たちがあなたの家族であることを証明して下さい」だった。

は?

私:家族だからパスポートを持ってきたんですが
係:代理店だってパスポートは持ってきます
私:名字が全員同じでしょ
係:名字は証明にはなりません
私:ここ見て下さい。「中国居留許可証番号」が自分に紐づいてます

「むっ」と相手はひるんだ。よし効いてる。

しかしすぐに立て直してきた。

係:居留許可は中国政府のものです。ロシア領事館とは関係ありません
私:じゃあどうすればいいんですか
係:結婚証と出生証を持ってきてください

結婚証・出生証というのは、中国政府が発行するパスポートサイズの冊子で、不動産購入時など各種証明に使われる。

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我が家は全員日本人で、こんなもの持っているわけない。

私:お言葉を返しますが、結婚証も出生証も中国政府のものです。ロシア領事館とは関係がないのでは?
係:絶対にこれとはいいませんが、客観的に家族関係を証明することは必須です

先方のロジックは破綻している気もするが、相手はお役所、ケンカするわけにもいかない。

では日本の戸籍謄本ではどうか?日本で家族婚姻関係を証明するものといえばこれしかない。

では次回それを持ってきてください、ということで一次ラウンドは敗退。

二丁目

戸籍謄本(運よく持ってた)を翌日持ち込んで、いざ参る!

係:これはダメです
私:なぜですか
係:日本語だからです
私:でもほとんど漢字だから読めるでしょう
係:ロシア領事は漢字を読みません
私:結婚証も漢字では…
係:日本語はダメです

ちくしょう、、、

私:どうにかなりませんか
係:英訳か露訳して、日本領事の承認印を押してきてください

無理ゲーか。絶望している中、代理店と思われる女性がやってきて隣に座った。係員とは顔見知りのようで、仲良くおしゃべりをしながらドサドサと机の上にパスポートをぶちまける。そして申請書とパスポートだけであっさり受理しているではないか。おいちょっと待て!結婚証とかいるんじゃないのかよ。

私:あのー… 本当に家族の証明が必要なんですか
係:(無視)

このときはっきり理解した。これはいやがらせである。「教習所を卒業していない一発合格狙いは必ず落とされる」という鮫洲試験場伝説にまさかこんなところで遭遇するとは。

わたしは焦っていた。フライトは購入済みなのである。万が一ビザを取り損ねたらどれだけの災いが降りかかるか。

三丁目

溺れる者は藁をもつかむ。はっとひらめいた。以前中国ビザを申請したときに、戸籍謄本に日本の公証役場の公証印と中国大使館による裏書公証印を押してもらったことがあったではないか。

英語版ではないし、コピーしか残ってないけれど、中国大使館のお墨付きである。これは絶対にいけるよ!

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翌日、三度目のお参りをする。

係:原本はないんですか
私:中国公安局に提出済みなんです。なんとかお願いしますよ。

係員は考えている。行け!受理しろ!

係:子供の出生証明が必要です
私:は?
係:偽装家族で入国して不法就労する子供がいるんです。未成年は必ず出生証明の提出が義務付けられています

。。。。

なんじゃそれ

もはやイチャモンとしか言いようのない理由に脱力する。

終わったか。

四丁目

あまりの理不尽さに、もうロシアなんて行かねーよ!と思ったけれども、不法就労呼ばわりされて敗退するのはくやしい。こちらにもメンツというものがある。最後の一手、母子手帳を持参し、四回目のお参り。頼れるのは市長印だけだ。

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係:これはなんですか
私:日本の出生証明書です
係:英語版はないのですか
私:ありません (キッパリ)
係:日本語ではダメです
私:「出生届出済証明」って漢字で書いてあるだろ!あんた中国人のくせに漢字も読めないのか!?

ああ、、、やってしまった。

係員は顔をひきつらせている。終わったな。まあいいや。

*

と思ったら、意外なことに係員は奥の部屋に入っていく。しばらくして、スーツをビシッと着た金髪ロシア女性を伴って出てきた。上役だ。係員は書類を指さしながらロシア語で何かを訴えている。

上役が英語で話しかけてきた。

上:英語版はありますか
私:ありません
上:公的な証明ですか
私:はい

すると上役は係員に何か目配せをし、奥の部屋に戻っていった。

ん?

係:受理します。但し、最終判断は領事によります。ビザが下りない可能性もあります。

な、なんと、、通った!

***

4日後。ビザが下りていた。

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間一髪だった気がする。なぜ受理されたのかはいまでもよくわからないけれど、とにかくわたしは悪魔的な手続きバトルに勝ったのである。中国サラリーマン生活で培った忍耐力は無駄ではなかった。

*

モスクワは、想像していたとおり少し寂しくて、でもどこか懐かしい感じのする美しい街だった。旅行記はまた別の機会にアップしたいと思います。


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