勝手に往時を偲ぶ
今年に入ってから部外者の立ち入りを禁じる「小区」が増えている。勝手に入ると守衛さんにめっちゃ怒られるんですよ。老房子ファンにはなかなかつらい時代である。
ここはゆるそうだったのでズンズン入ってみた。
モップと赤パンに誘われて
整備が行き届いている
アーチが素晴らしい
中の状態もよい
手すりに往年を感じる
ドアも渋い
レンガが立派。ここだけ見るとヨーロッパみたい
場所は南昌路x思南路の近く。淮海路のH&MやNikeの巨大店舗の真裏である。戦前からレイアウトは変わっていないみたいだ。
フランス租界のど真ん中であることから、建築当初はおそらくフランス高級官僚のアパートだったと思われる。華やかな生活だったのだろう。その後日本に占領されたり、国民党に占拠されたり、共産党が接収したり、60年代の革命を乗り越えたり、さぞやいろいろなドラマが… と勝手に妄想するのが老房子の正しい楽しみ方である。そうでもしないとただの古い建築なので。
いちおう調べてみたら、1925年に創刊された、当時の上海で最高発行部数だった「生活」という週刊誌があり、1933年に発禁処分を受けて多数の逮捕者が出たときの編集部があった場所が、ここだったらしい。
発禁理由は、1931年に発生した満州事変に対して、蒋介石国民政府の態度が抗日か融和かはっきりしないことを痛烈に批判し続けたから、ということである。
むーん。こういう、受け止め方が微妙に困る情報に遭遇してしまうのも、上海の老房子ならでは。
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