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人は「生活して」いる。「生きて」いるのではなく

 きっと、生きることと生活することはイコールではない。「生きている」と思うことは少ないからだ。それよりも私達が意識しているの、いつも「日常を過ごす」ことである。生きている、なんて最後に思ったのはいつだろうか。そんな大層なことはそうそう考えない。それよりも日常をこそ、私達は過ごしているのだ。水槽の中の生き物を観察して「生きているなあ」と思うのとはわけが違うのである。

 つまり、私達は自分の人生を自分のものだと完全に思っている。なので「生きている」とは言わない。人生を歩んでいることと、生命があることは違う。もし、自分のことを単に生きているのだと感じ始めたのなら要注意である。なぜならそれは、人生から外側に立ち始めてしまっているからだ。人生の外側とは「自分以外」である。そして自分を客観的に、他人事に見る。そういう視点が強くなりすぎると、その人の人生はその人から離れていく。やがて死に至る。

 だから、生きることと生活することを混同してはならない。
 それらは異なる考えのものだ。違う視点のものだ。交わっているようでそうでないものである。むしろ、似ているから事注意が必要なのである。「生きている」などと思わない方がいい。自分の生活に1番に寄り添うのは、自分以外に誰がいるというのか。
「生きる」と「生活」の切り分けられない交わりが、私達を死に追いやる。これらはイコールではない。あってはならない。その観念を忘れないことが、人生を我がものとし、手放さない1つの考えである。

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