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成し遂げられないキャラクターに愛を

「未だ達成せざる者」がキャラクターであって、「何かを成し遂げた者」はキャラクターではない。たとえ完成者という設定がそのキャラクターに付与されていたとしても、必ず未達成の何かがあって、しかもそれは心から望んでいるものであるべきだ。その望みを持って行動する。自覚的でも、無自覚でもいい。しかし少なくとも、そのキャラクターを応援したくなるための「未達成」と「必死さ」が、キャラクターにはなければならない。
 なぜならば現実ではそうそう、そのような人をお目にかかれないからである。何かを必死に成し遂げたという自覚のある者は少ないし、そうまでして情熱を傾ける何かに出会うこともまた、稀であると誰もが考えている。
 だから人は、そうであることを羨むのだ。
 未だ達成せざる者であることは同じでも、少なくともキャラクターは、それを達成するためにあがき、あえぎ、進もうとしている。現実では中々にそういうことは簡単ではないからこそ、そんなキャラクター達を応援してしまうのだ。

 よって、キャラクターとは「未だ達成せざる者」であるべきなのである。そしてもちろん、「何かを成し遂げた者」はキャラクターではない。
 必ず。
 絶対的にキャラクターに必要なのは、可愛さとか格好良さとかチート能力などではなく、まだ達成できない何かを抱え、しかしそれを切望する心の状態である。

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