最強キャラはなにゆえ “最強” か
最も強いの定義は難しい。しかし「キャラ」ならそれは実現できる。古今東西様々な作品には「最強キャラ」がいる。その世界の中で語り継がれ、時に恐れられ、時に称えられ、時に挑まれ、その力を振るう。
昨今では主人公としても人気だ。最強。その世界における唯一無二の力を宿し、必ずの勝利を保証し作中世界を闊歩する。その絶対的な存在感が求められている。
しかし最強キャラとは、つまり強ければ良いということではない。それでは不十分であり、最強とはそういう意味ではない。例えば武力や知力や特殊能力その他の力が、他のキャラクターより著しく秀でていることは、言うなれば当たり前だからだ。
それよりも大切なのは、その精神力である。最強キャラは誰よりも大人でなければならない。
つまり彼らは、慌ててはならないし計画的であり、うろたえない。孤高ではあるが他のキャラに頼りにされ、しかしなびかない。媚びることもなく、常にクールだ。
そういう精神面での最強こそ、最強キャラと呼ぶに相応しいステータスと言える。
精神が大人でなければ最強キャラではない。なぜならそれ以外の「最強」など、いくらでも作り出せてしまうからだ。武力や知力といったスキルとして身につけられる強さは、結局のところ、キャラとして誰にでも手に入れられる能力にすぎない。
そうではなく、精神面で誰よりも大人であるというのはキャラクターという枠組みを越えて、いわば作者自身であるからだ。いわゆるメタ的な視点に立てるという意味で、つまり作品における神にも等しい立場にいることこそが、即ち最強なのである。
キャラはキャラのままではまだ、最強とは言えない。その立場を越えて神の視点を持ち得てこそ、比べられない最強となる。その納得感がある。だから最強キャラはそこまでの精神性を手に入れていなければならない。
即ち、他のキャラとの関係性において対等な態度ではなく一歩でも二歩でも大人でなければいけない。
それが最強だ。精神的な強さ。誰よりも大人であること。その余裕と態度、神の視点にも等しい不遜さこそ、求められる最強の所以である。
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