一軒家の購入にまつわるトラブル【鬼嫁エピソード③(後編)】
最初に「自己紹介」の記事をご覧いただいてから読んでいただくとより楽しめると思います!
前編はこちら↓
前述のとおり、義両親の説得に成功した(もしくは説得させられ、成功されられた)筆者ソリマチは無事に80坪、築40年の家を手に入れた。
ここから、この家を解体して新しく家を建てるフェーズに進んでいく。
嫁サツキ「さて、ここから役割分担をします」
私「役割分担?」
嫁サツキ「そう。あなたはどこの銀行でどういうローンを組むのが一番いいのかを調べて。情報を集めて私に報告をしてください。それから保険関係もお願いします」
私「わかった…サツキちゃんは?」
嫁サツキ「私と両親はどの住宅メ―カーにお願いするかを決めて、どんな間取りの家にするか考えていきます」
私「それには俺も入ることはできないの?」
嫁サツキ「あー。随時、意見はもらうようにするから大丈夫 」
当時の私は単身赴任で地方におり、仕事も忙しかったため、あまり家に帰ることができていなかった。
それでも家は住宅メーカーで建てるかは非常に重要な決めごとになるため、私にも相談が来ると思っていた。
それなのに・・・
私がいないうちに、いつの間にか義父の強い要望で、中堅クラスの××株式会社で建てることがあっという間に決まってしまっていた。
普通は各住宅メ―カーから色々と提案をもらって一番いいところにするというのが決め方だと思うが、なぜか先に住宅メ―カーを決めて、そっからゆっくり話し合いをしていくらしい。
しかも他の住宅メーカーには足を運ばずに決めていたようで…
別に知り合いがやっているとか全然そんなこともないのに、何故なのか…
未だにその理由はわかっていない。
土地を購入してから1か月くらい経った頃だろうか。契約を済ませた住宅メ―カーの担当者との打ち合わせが始まった。
打ち合わせといっても、先方から何か具体的な提案が出てくるわけではなく、こちらが要望を伝えて、住宅メ―カーが少しずつ形にしていくというやり方で進んでいく。
サツキ「2世帯住宅じゃなくて、キッチンもお風呂も一つで完全同居型の家でいいね」
義父カズオ「庭は広くしてほしい。大きなスペースが取れると野菜とか作れていいな」
義母ヨウコ「お風呂は広くしよう」
サツキ「子供もあと一人欲しいので、子供部屋を3つ作りたい」
カズオ「中庭みたいな場所があるといいかもしれない」
ヨウコ「パントリーは一階に設けたら便利かもね」
その間、ソリマチは家の間取りを決める打ち合わせに殆ど参加できていなかった。
再度お伝えしておくが、この家は100%私名義の家である。
たまに打ち合わせに参加をした時も、
サツキ「あんたは何か考えてきたことはないの?」
私「あるにはあるんだけど…」
嫁サツキ「まぁいいわ。この場ではなく、今度聞くわ。銀行との契約関連やっておいてね」
私「あ、この場で言うことはできないんだね…」
サツキや義両親の要望が次々と反映され、どんどん形になっていく。
そして、あっという間に家の骨子は出来上がった。
これまでのところ、殆ど私の意見は反映されていない。
サツキ「キッチンはこのメ―カーのものがよさそうね」
義父カズオ「太陽光パネルは付けたいな」
嫁サツキ「壁の色はこれがいいな」
義父カズオ「ドアは〇〇のほうがよさそうかな」
更に日にちが経過し、より具体的な話に進んでいく…
ここでなんとか私の要望を言わないと間に合わなくなる。
そう思って焦った私は…
私「そろそろさ、家の件でオレのリクエストを言ってもいい?」
嫁サツキ「今ちょっと待って。他の重要なことを考えないといけないから」
(おれの言うことは重要だと思っていないのかよ…)
私「聞いてください。お願いします」
嫁サツキ「わかったわよ。何?」
私「夫婦部屋だけじゃなくてさ、おれの部屋も作って欲しいな」
嫁サツキ「あんたの部屋?作る予定はなかったけど」
私「別に広い部屋が欲しいってわけじゃないんだ。勉強部屋っていうか、仕事部屋っていうか。2畳でいいから」
嫁サツキ「いらないでしょ」
私「そこをなんとか」
嫁サツキ「いえ、あなたの部屋はいらない。家族の共有スペースで仕事をすれば十分です。あんたに部屋を与えたら、そこに閉じ込もってしまうかもしれない。それは迷惑です」
私「別に閉じこもらないよ」
嫁サツキ「ならば、余計にいりませんね。その部屋で何をされるかわかったもんじゃない。却下です」
私「これだけ広い家なのに、もう少し検討もしてくれないの?」
嫁サツキ「はい」
…あぁ、マイホームにリラックスできる場所はないのか。
嫁サツキ「他にも何かありますか?」
私「しいていえば、くらいのことが2つ程」
嫁サツキ「一応聞いておきます」
私「2階の洗面台を少し個室スペースっぽくしたらどうかな?今のままだと剥き出しになってしまっていて使い難そうだなと思って」
嫁サツキ「どうしてそう思う?」
私「洗面台で髪をセットしている時とか髭を剃っている時に普通に見られちゃうじゃん。子供達も成長してきたら嫌って思うこともあるかなと思って。少し個室感があった方がいいと思うんだけど。」
嫁サツキ「そう?私は嫌じゃないよ」
私「そもそもサツキは二階の洗面台は使わないよね?俺の嫌だという気持ちは採用されないの?」
嫁サツキ「あんたの髭や髪のセッティングなんて誰も気にしません。我慢してください。ここに壁をつけると光が通らなくなります。壁がなければ電気代の節約にもなるので、こちらを優先します」
私「・・・・却下ですか…?」
嫁サツキ「はい、却下です。他は?」
私「トイレなんだけどさ…」
嫁サツキ「トイレはもう決まっていて検討の余地はなしですが…」
私「お店とか公園とかに小便器あるじゃん。立ちションするやつ。あれをつけるのはどうだろうか」
※ ソリマチ家はおしっこが跳ねないように全員必ず便器に座って用を済ませているため。
嫁サツキ「あんたはどこまでバカなの?そんなのつけてる家、見たことありますか?」
私「まぁそれはそうなんだけど」
嫁サツキ「その小便器つけても間違いなく飛び散るよね。つける意味ないよね。それをあんたが毎日掃除するのか?できるのか?できないだろ」
私「…」
嫁サツキ「くだらないことを言うな。聞いて損したわ。親と細かいところを詰めながら話を進めておく。あんたは火災保険をどうするか検討しておいてください。そしてちゃんと私に途中経過をしっかりと報告すること」
私「…はい…」
数か月後、私の意見は殆ど採用されないまま、家は完成した。
人生で一番高い買い物をしたのだが、なんだか実感がない。
そりゃそうだ。
俺は何も決めていないのだから。
1ミリも所有感のない家…。
嫁サツキ「これで念願のあなたの家が建ったわね!」
私「そう…だね…」
嫁サツキ「どうしたの?嬉しくないの?」
私「おれさ、ほとんど家作りに携わっていない気がしてて…。意見もほとんど採用されなかったし」
嫁サツキ「えっ?そう?夫婦の部屋のあの壁紙を選らんでくれたじゃない!」
私「まぁ、確かに、AとBどちらがいい?と聞かれて、Aがいいんじゃない?と答えた記憶があるけど…」
嫁サツキ「あの壁紙、すごくいいよね!!意見をくれてありがとう!!
私「あ、はい…。こちらこそありがとうございます」
相変わらず、何を言おうとも跳ね返してくる鬼妻サツキであった。
家が建って5年以上が経つ。
今でも月に20万近い支払いを続けている。
あとローンは30年…
完済までは気が遠くなる時間を歩まなければいけない。
問題なのは約1億円の購入というそんな大きな重い決断をした自覚はないということ。
ローンを返済する時間だけが過ぎていく…
なお、本当に義理親から援助は全くないのかと聞かれるためコメントしておくが、社会人になって実家から通っている人が、毎月家に1万とか2万とかお金を入れるケースがあると思う。
そんな感じで義理親から頂いていると捉えていただけたらと思う。