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REAPER で歌詞プロンプターを実現
自分がやろうとしている世界観を先に書いておきます。
ライブにおいて DAW を用いたマニピュレーター業務(オケ出しのみを含む)があるのが大前提
現場で歌詞のプロンプターを手動でめくる人員をなくしたい
曲の途中であっても勝手に追従して、常に適切な歌詞を演者に見せたい
当日の「歌詞間違いに気づいたから直したい」「ここだけ歌詞出すタイミング早くしたい」「ラスサビもう1周増やしたい」というワガママに極力対応したい
1 じゃないケースや、2 が苦じゃないケース(バンド メンバーの誰かが譜めくりペダルを踏めばいい等)は、今までどおりでいいと思います。Good Luck!
3 の実現方法として、プロンプ情報を動画にして DAW と連携、というケースもあると思います。4 さえなければそれでもいいと思いますし、10 分もらえれば動画編集ソフトで書き出し直せるからいいや、という割り切りもあると思います。自分もそういう現場は少なくないです。Video Sync とかマジで神!Good Luck!
そうじゃねぇんだよ!!
楽がしたいんだよ!!
そういう想いを共感できる人向けの記事です。(ここまでが長い)
なお、私は別途 VSTi プラグインで Promptan というプロンプター専用アプリも作っており、普段はそれを使っています。ただ、これはこれでクセが強く、もう少し DAW の機能だけで何とかできないかな、と思ってのチャレンジとなります。
あと先に言うと、Studio One Pro 6 にも歌詞表示の機能がつきました。こちらも使い勝手にクセはありますが、これでいいや、という人は是非そちらもご検討ください。
そもそも REAPER とは
REAPER についての詳細な紹介は割愛しますが、Cubase や Studio One、Pro Tools などと並ぶ DAW (Digital Audio Workstation) のひとつです。海外では人気が高く、日本でも利用者が増えつつあります。60 ドルと、それほど高額ではないです。
すでに手慣れた DAW を使っている人が全面的にこれに乗り換える必要はないと思っています。ライブでの同期出しにはこれを使おうかな、くらいで使い分けの一つで向き合うといいのではないでしょうか。自分も制作のメインは Cubase です。
プロンプを出すのに REAPER を選んだもっとも特徴的な点は、簡易的な動画編集機能があるところです。もしかすると古い PC では重くて現実的じゃないこともあるかもしれません。その点はご理解いただいた上で試してください。
REAPER には日本語化パッチもあります。賛否ありますが、ここでは分かりやすく日本語メニュー化した状態の REAPER で説明します。この記事を書いている時点での REAPER のバージョンは 7.24 です。後の世では色々と変わると思います。macOS でやっているので Windows や Linux ではちょっと違うところもあるかもしれません。
どんな感じか見てみましょう
まずは動画を見ていただくのが分かりよいと思います。
ちなみに、ここでは動画再生エリアが REAPER のメイン ウィンドウにドッキングしていますが、実際には切り離したり、セカンド ディスプレイに全画面表示することができます。そういうイメージで眺めていただければ。
一番上が曲のデータのトラックですが、そのあとから 1st line 〜 8th line とトラックがあって、時系列にズレて MIDI アイテムが並んでいます。そして動画を見てお気づきのとおり、カーソルがそのアイテムを通過しているときだけその行に対応する歌詞が出たり消えたりしています。何となく雰囲気は掴めそうですかね。
なんだかいける気がするさ〜 (はーなーもー)
やり方
お膳立て
まずは同期再生のためのお膳立てをしてください。単にカラオケを流すだけの現場想定であれば、流したい WAV 用のトラックをひとつ用意しましょうか。
それに加えてプロンプとして出すための新規トラックを追加します。ひとまず名前を 1st line くらいにしておきましょうか。
歌詞情報の入力
そしてさっそく最初の歌詞を出したいポイントに「新規 MIDI イベント」でイベントを追加し、アイテム プロパティを開きます。
![](https://assets.st-note.com/img/1728192003-oJy2XMFr5cSZW9nNQTqGbOsE.png?width=1200)
そして「テイク名」に歌詞の内容を入れます。え?テイク名?と思いますが、ここがミソなので、割り切ってください。入れたら [OK] で閉じます。
なお、現在の REAPER は日本語入力がとても苦手なので、メモ アプリなどで入力済みの歌詞テキストをコピペして入力してください。ほんと、ここはなんとかしてもらいたい。
この先も、歌詞はひたすらこのアイテム プロパティ画面で管理します。慣れてください。標準では F2 で開きます。
![](https://assets.st-note.com/img/1728192079-hEKVk896Go7jvZtSB5IQgJAi.png?width=1200)
動画との連携 (FX の設定)
いよいよここからが動画連携です。
テイク名に歌詞情報を入れた MIDI アイテム の右上にある小さな [FX] ボタンを押し、エフェクト追加をします。[全プラグイン] - [Cockos] の中に [動画プロセッサ] というのがあります(英語だと [VideoProcessor])。これを選んで [追加] します。
![](https://assets.st-note.com/img/1728192642-HcTF9spRiJZrouOQYjdKhN6V.png?width=1200)
さらにその中で [オーバーレイ:テキスト/タイムコード] ([Text/timecode overlay]) というものを選択します。この FX アイテムが画面にアイテムのタイトル (テイク名) を表示してくれる、という仕掛けになっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1728192911-VDSsOcBkwQLdG0T2YFbpgmJU.png?width=1200)
ひとまず表示してみる
ここで、REAPER の [表示] メニューの [動画] を開いてください。別ウィンドウで出る場合もあると思います。ひとまずどこでもいいです。
そしてカーソル(再生位置を示す縦棒)を歌詞を入れた MIDI アイテムに掛かるように置いてみてください。どうでしょう?画面下部に歌詞がでましたかね?でなければもう一度ここまでの作業を振り返ってみてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1728193336-dRz0MvNycqLE8U5AOVtkSBGD.png?width=1200)
表示位置の調整
ここから先は完全に好みの世界です。このままでもいいです。
私がやっていることはこうだよ、というのを書いておきます。
text height
文字の大きさが決まります。全部で 8 行並べて、横に日本語文字で 10 数文字出したいな、と思うと 0.12 くらいでしょうか?
x/y position
表示位置になります。x を 0 にすると完全に左寄せ、0.5 でセンタリング。y は縦位置で、複数行並べる時はそれぞれのトラック用の設定で変更してください。0.14 ずつ増やしていくと、なんとなく 8 行並びました。
bg pad
余白の管理です。眺めながら決めてください。0 でいいかな。
text bright/alpha
テキスト文字の明るさと透明度です。明るさは 1 だと眩しすぎる時は 0.8 とかにするといいです(裏方であるプロンプは明るければいいってものではない)。透明度はひとまず 1 (不透明)。
bg bright/alpha
背景色の明るさと透明度です。もし背景に別のものを写したい、などが今後あるかもしれないので、bright 1、alpha 0 で、必要に応じて alpha を上げていけばいいでしょう。
その他
ひとまず 0 (オフ) でいいでしょう。
本当は右側の怪しげなスクリプトのところをいじってテンプレ化していくといいのだと思っていますが、それはまた別の場で。
2〜8 行目、次の歌詞のための複製
基本、ここまでやってきた 1 行目と同じことを繰り返せばよいです。
が面倒くさいと思うので、1 行目のトラックを複製して、アイテムのテイク名を 2 行目の歌詞にして、FX を押して [y position] の値を変更してみてください。
また、歌詞用の MIDI アイテムも、毎回新規の MIDI アイテムから作ると、最初から FX 設定をすることになるので、同じトラックで一度設定をしたアイテムをコピーして、テイク名だけ変更する、というのがお勧めです。慣れればそんなもの!となります。
ただし!
一度複製すると、その後で FX の設定を変更する場合、全トラックの全アイテムを変更する必要がでてきます。まずは 1 行目のひとつめのアイテムで十分に練ってから複製・コピペをすることを強くお勧めします。
ま、このあたりはやっていれば感覚は分かってくると思います。
歌詞の位置調整
ざっと入力をしたら、あとは MIDI アイテムの開始位置と終了位置の微調整です。
実際にプロンプを眺める側の好みもありますが、一般のカラオケよりも、先の情報を早めに見せてあげたほうが安心できる場合が多いです。リハーサルで詰められれば好みを確認しておくといいです。
なお、基本はプロンプは緊急時のためのもの(グサっ!)。凝視する前提で作らないようにしたいところです。
最後に
ここまで書きましたが、やっぱ自分でやるのは大変!って人も多いかと思います。そうだと思います。
オケ出しとプロンプ出し、いっぺんにお願いしたいな、というご要望がありましたら承っておりますので、ご用命ください。笑
とはいえ、独占的に稼ぎたいつもりはサラサラないので、こういうのやりたいんだけど教えてください!情報交換したいです!みたいなのは大歓迎です!個別にご連絡ください!励ましてあげます!
なお、REAPER 使いはじめて 3 日目でこれを書いています。もっと根本的に便利な使い方があるのかもしれないので、気がついたらこっそり記事をアップデートします。間違いなどあったらこっそり教えてくださいませ!