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函南町に関わるみんなのチームワークで生まれた!あみにょん焼き2024年度グッドデザイン賞を受賞しました

こんにちは!静岡県三島市で「まちの元気」をつくっています!加和太建設 広報担当の村上です。

函南町農泊推進協議会が発起人となり、製造・販売をスタートした、静岡県函南町の文化的な継承と環境配慮を同時に実現した焼き菓子「あみにょん焼き」が2024年度グッドデザイン賞(応募カテゴリー:地域の取り組み・活動)を受賞しました!

私たち、加和太建設では運営する道の駅 伊豆ゲートウェイ函南としてこの企画に携わり、函南町を盛り上げようと、まちの皆さんと共にこのチャレンジをしてきました。

今回は、この「あみにょん焼き」プロジェクトに携わった皆さんの声からどんなプロジェクトだったのか、改めて紹介します!


人と思い・地域の課題をつなぎ、あみにょん焼きを実現|酪農王国オラッチェ 伊藤さん

まずご紹介するのは、このプロジェクトを牽引してくださった 伊藤 嘉一さん。
函南町農泊推進協議会のメンバーとして地域横断のディレクションをしてくださっただけでなく、函南町の誇る酪農体験施設・酪農王国オラッチェとしてこの「あみにょん焼き」製造を手掛けてくださっています。

函南町農泊推進協議会として、地域の新しい名産品開発を目指したのがこのプロジェクトのきっかけでした。単なる商品開発をするのではなく、地域全体を巻き込んだ取り組みにしたいと考えました。

一般的には、使用する原材料である乳製品から、牛のかたちや牛の模様のお菓子を作ろう!となってしまうところ、今回はかんなみ仏の里美術館にある、国指定重要文化財「阿弥陀如来像」をモチーフにしてはどうかという案が生まれました。

元々、私自身も美術館と関係がある中で、「もっとたくさんの人に美術館を知ってほしい」という思いも聞いていました。でも、公共施設ですし、限られた予算の中で単独でPR活動をすることの難しさもよく知っていました。今回のプロジェクトで、一緒に新しい取り組みができたのは大きな一歩ですね。

また、このあみにょん焼きの大きな特徴は、通常は廃棄されてしまうバターミルクを使用していることです。バターミルクとは、バターの製造工程で生まれる液体です。丹那牛乳では、月間で約1200kgのバターミルクが廃棄されていました。これを何とか活用できないかと考えました。

バターミルクは雑菌が繁殖しやすく、通常はどの乳製品メーカーでも廃棄することが殆どで、商品化が難しいんです。でも、私たちの場合は、バター製造工場とあみにょん焼きの製造場所が近いので、この活用を実現できました。

また、美味しさと製造のしやすさのバランスについてもたくさんの課題がありました。美味しいものを作ろうとすると糖分や油分が多くなり、型から抜けにくくなるんです。逆に簡単に抜けるようにすると味が落ちる。その調整に本当に苦労しましたが、無事、皆さんに安定した品質で提供ができるまでに至りました。

やっぱり、自分たちだけが中心じゃなくて、いろんな人が地域づくりに参加してもらうことが大切です。観光が良くなれば、自分たちの事業所にもチャンスが生まれる。そんな好循環をこれからも作っていきたいです。

地域の思いと文化財を後世へつなぐ|かんなみ仏の里美術館 矢田さん・函南町 佐藤さん


続いてお話をお聞きしたのは、かんなみ仏の里美術館の館長である矢田 長春さんと、函南町生涯学習課の佐藤 祐子さんです。

◼︎ かんなみ仏の里美術館 館長 矢田 長春さん

かんなみ仏の里美術館は国指定重要文化財・阿弥陀如来及両脇侍像を含む24体の仏像を展示しています。これらの仏像は平成20年に函南町桑原区から函南町へと寄付されました。当館は桑原区の皆さんが大切にしてきた仏像への想いと厚い信仰心を後世に引き継ぎ伝えていきます。

当館が所蔵する木造阿弥陀如来及両脇侍像は、鎌倉時代初期の作品。奈良仏師の集団「慶派」の實慶によるつくられたもので、国指定重要文化財に認定されています。

かんなみ仏の里美術館に展示される、あみにょんのモデルとなった阿弥陀如来像

美術館は単なる展示施設ではなく、地域の観光資源としても重要な役割を果たしています。町の産業振興課とも連携し、観光資源としてPRする取り組みも数多く行なっています。しかし、地域産業である酪農と文化財を掛け合わせて新しい商品開発を行う今回のような取り組みははじめてのことでした。

本当に教科書に載るような一流の作品がここで見られることを、今回の取り組みを通じてより多くの方に知っていただき、美術館にも足を運んでもらえたら嬉しいです。

◼︎ 函南町 生涯学習課 佐藤 祐子さん

プロジェクト構想当初は、正直なところ心配もありました。元々信仰の対象であるものを食べるということや、ネーミングについても大丈夫なのか悩みましたね。全国の実例なども踏まえて、今回の商品化を町としても応援させていただくこととなりました。せっかくできた、あみにょんというキャラクター。今後あみにょん焼きをたくさんの方に手に取っていただきたいですし、キャラクターを他のかたちでもPRに活かしていきたいですね。

そして、かんなみ仏の里美術館の魅力をより多くの人に知ってもらいたいです。所蔵される阿弥陀如来像は非常に端正な顔立ちで、實慶という中央の仏師作らしい整った特徴があります。そんな素晴らしい文化財が函南町にあることを知っていただけたら嬉しいです。

大学生のアイデアで多くのひとの手に届くように|静岡県立大学 小倉さん・秋本さん


続いてお話をお聞きしたのは、静岡県立大学 経営情報学部の小倉 薫人さんと秋本 航さんです。大学のフィールドワークを通じて、このあみにょん焼きプロジェクトに参加してくれたお二人は、神奈川県の出身で函南町を詳しく知らなかったからこその新鮮な視点と、学生らしいキャッチーなアイデアで企画を盛り上げてくれました。

函南町でのフィールドワークに参加した静岡県立大学のみなさん

◼︎ 静岡県立大学 経営情報学部 4年 小倉 薫人さん

2年生の基礎演習の授業からこのプロジェクトに携わりました。神奈川県横浜市出身で、最初は正直、函南町がどんなところかあまり知りませんでした。フィールドワークや会議に参加し、あみにょん焼きの開発にも携わりました。売り方の提案をしたり、商品の陳列方法について検討したりしましたね。特に印象に残っているのは、試食会での意見出しです。実際に食べてみて、「こうしたらもっと良くなるんじゃないか」と提案するのは、すごくワクワクしました。

座学では観光の歴史や経済効果について学びましたが、実際に現地に行くと、座学だけではわからないことがたくさんありました。特に、地域の方たちの思い、函南町の景観の美しさは、現地に行かなければ感じられなかったことです。

あみにょん焼き完成後も函南町に足を運ぶ機会がありましたが、少しずつあみにょん焼きが親しみを持たれている様子が嬉しかったですね。かんなみ仏の里美術館はもちろんのこと、農業や酪農の発信にもつながると思います。僕らのような大学生は車がないことも多いので、交通の工夫などと合わせて、今後さらなる展開があると函南町をより多くの方に知っていただけるのではないかと思います。

◼︎ 静岡県立大学 経営情報学部 3年 秋本 航さん

私は1年生の冬にフィールドワークを通じて参加しました。実は最初、函南町の漢字さえ読めなくて(笑)。神奈川県葉山町出身ですが、函南町についてはほとんど知識がなかったですね。私が参加したタイミングでは既に商品自体は完成していましたが、売り方については色々なアイデアを提案する機会をいただきました。

例えば、阿弥陀如来があみだくじの由来になっているので、パッケージにあみだくじを入れて、当たったら何かもらえるとか。製造個数が1日108個なので、煩悩の数と合わせてプロモーションしたら面白いんじゃないかとか、そのようなアイデアを提案させていただきました。

実際に採用されたあみだくじの様子。現在販売されるパッケージにもあみだくじがついています

1年生の時点では、観光といえば京都や大阪のような有名な場所しか知らなかったのですが、函南町での経験を通じて、「地道に頑張っていくのが観光」という新しい視点を得ることができました。

函南町の立地の良さを活かせば、もっと多くの人に知ってもらえるはずだと思います。僕たちの提案が少しでも役立てば嬉しいです。これからの函南町のさらなる変化が私たちも楽しみです

函南町といえばあみにょん焼き!を目指して|道の駅 伊豆ゲートウェイ函南 田中さん


最後にお話を聞いたのは、加和太建設が運営に携わる道の駅 伊豆ゲートウェイ函南で駅長を務める田中 三智子さんです。

このプロジェクトが始動する前から、伊藤さんとは乳製品の副産物であるホエイ(ヨーグルトの副産物)や今回使用したバターミルクなどを使った商品開発ができないかなというお話はしていました。補助金の獲得を通じて開発のきっかけをつかみ、今回のあみにょん焼きが実現しました。

前職は菓子店だったので、商品作りについてはアイデアを出し、伊藤さんが実際の開発を行なってくださいました。ただ、バターミルクは通常廃棄してしまう食材なので、一般的な材料じゃないんです。普通のお菓子なら、バターや生クリーム、砂糖の配合比率がある程度決まっているんですけど、バターミルクを使うとその黄金比が崩れちゃう。どう動くのか見えなくて。レシピをコントロールするのに、本当に苦労しました。

今では、あみにょん焼きは函南町の新しいお土産として認知されつつあります。でも、まだまだこれからです。私の夢は、街の人が「わたしたちの町のお菓子と言えばあみにょん焼きだよ」って自然に言ってくれるところまでいくこと。そして、この町に足を運んでもらう。そんな好循環を作っていけたらいいですね。

さいごに

このプロジェクトを通じて、改めて感じたのは、町全体でのチームワークの大切さです。伊藤さんの情熱、町の人たちの率直な意見、役場の方々のサポート。みんなの力が集まって、初めてあみにょん焼きは生まれました。

これからも、このチームワークを大切に、函南町らしい、函南町ならではの取り組みを続けていきたいと思います。あみにょん焼きは、その第一歩。これからどんな展開があるか、わくわくしています。皆さんも、ぜひ函南町に来て、あみにょん焼きを味わってみてください!