「ひと」「まち」読了

今回は、小野寺史宜さんの「ひと」「まち」を読んだ読書録です。

この小説は、家族をなくしてしまった青年が人のやさしさ、あたたかさに触れることで一歩ずつ歩き始めるという物語です。
どちらの小説も東京が舞台となっており、アルバイトをしながら自分のルーツや行く先を探し、恋愛ができるまでの道のりが描かれています。

「いえ」では、両親をなくし大学も中退してしまった主人公聖輔が、商店街のお惣菜屋さん「おかずの田野倉」に立ち寄りコロッケを買おうとします。しかし、見知らぬおばあさんにコロッケを譲ります。空腹の聖輔を見かねて、店主はメンチカツをまけてくれます。

そのおかずの田野倉にて、聖輔は翌日からアルバイトを始めます。アルバイトをしている中、母親の葬式を手伝ってくれた親戚が自宅にお金を請求しに訪ねてきます。聖輔は親戚かつ手伝ってくれたことから、抵抗はするものの強く突き放すことがなかなかできずにいました。

ある日、その親戚はアルバイト先のおかずの田野倉にも訪ねてきてしまいます。なんでも、東京に出てきたが仕事が見つからないそうです。その際、一緒のシフトだった、のちに店を継ぐ「映樹さん」がガツンと言ってやり、金輪際聖輔には近づかないようにしてくれました。

また、聖輔は高校の同級生である女性「青葉」と再会し、飲み会などを通して仲良くなってゆきます。青葉は元カレとの関係性に悩み、聖輔に悩みを打ち明けます。聖輔は基本的にはお人よしで、田野倉の跡継ぎを聖輔にしたいという話題が出た時も、映樹さんに譲る立ち回りをしてしまいます。そんな聖輔は、青葉のことについては譲らず、物語の最後に青葉に気持ちを伝えます。

「まち」については、またいつか書くかもしれませんし、書かないかもしれません。

今回の2冊からは、ひととひとの縁の大切さ・尊さと、ひとは1度立ち止まってもまた歩き出せるんだというすごみを感じ、感動しました。人生に悩んだときに、また思い出して読みたいシリーズとなりました。

シリーズ最後の「いえ」も、手に入れて早く読みたいですね。


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