「秋期限定栗きんとん事件」読了
最近アニメ化されて見ていた小市民シリーズの3作目。アニメの後の話になります。アニメを見始めた当初は米澤穂信さん原作だと全く知らずに見ていましたが、知った後に満たされる米澤感たるや。
さて、今回の秋季は小市民としての協力関係を解消した小山内さんと小鳩くんの別行動の物語。小山内さんは小市民になるため、校内新聞の魅力化に燃える瓜野くんと付き合い、手助け(暗躍)します。小鳩くんは仲丸さんと付き合い、小市民的な日常の幸せを感じていきます。もちろん、考えをめぐらせ、先回りをしながら。
そんな2人を取り巻いたのは、市内で起こる放火事件。最初は小さな放火でしたが、月に1度第2金曜日に起こることから、瓜野くんは同一犯と考えて新聞に載せ、最終的には犯人を捕まえることを目標とします。
瓜野くんは放火場所の規則性から、消防冊子に乗っている区分けに目をつけます。その区分けの掲載の逆順に、見事に当てはまっていたのです。その後、新聞で次の放火場所を予想すると、見事に的中。瓜野くんは意気込み、ますます犯人を捕まえることに熱中します。
小鳩くんは、放火事件の1件に出くわし、燃えているのが白いバンであることを確認します。夏に小山内さんが誘拐されたときに使われたものと同じでした。そこから小山内さんがこの事件に関わっていると思い、小鳩くんも調査を始めます。今までも協力してくれた堂島健吾の助けをかり、新聞部や瓜野くんの情報を集めます。そして、小鳩くんも犯人を捕まえることを決めます。
ちなみに、小鳩くんと仲丸さんは別れています。仲丸さんが二股をしているにもかかわらず、小鳩くんは特に反応せず、恋人に関心がないことから、仲丸さんから別れを切り出されます。
そして8月、最後の放火事件が発生します。ここには、小鳩くん、小山内さん、瓜野くんが大集合。瓜野くんは、小山内さんが放火犯だという推理を語りだします。放火場所の近くに出没すること、手にハンマーをもっていること、、、(犯人がいつも残す痕跡がハンマーの痕)
しかしその実、小山内さんは全く犯人ではなかったのです。裏で動き、放火場所に出てきた小山内さんは、瓜野くんを試していたのでした。完全に失敗した瓜野くんは小山内さんに「他愛ない」と評されてしまいます。厳しい。
そして、瓜野くんが去った後、小鳩くんのターンが始まります。まずは、犯行場所について。瓜野くんは消防地区の区分けだと思っていたようですが、それはせいぜい2,3回の試行回数から導き出されたもの。実際には適当だった可能性が高いです。ではなぜ新聞は予想を当てられたのか、それは犯人が新聞を見て放火場所を決めていたからです。こうなると、犯人は新聞部に近い、瓜野くんに近い人物であることがわかります。
そこで小鳩くんは、新聞にある細工をしました。瓜野くんのクラスの新聞には、ほかのクラスとは違う予想場所を書いたのです。そして、今回の犯人は瓜野くんの予想が当たることで面白がる人物、それはおそらく瓜野くんの親友である冷谷くんであるというところまでせまったのです。
同時に堂島健吾が犯人を捕まえているため、誰が犯人かはすぐにわかることでしょう。犯人の動機はどうやら、日々の勉強の憂さ晴らしだったようです。
こうして見事に犯人を捕まえた小鳩くんとそれを見た小山内さんは、お互いが今現状で最も小市民になれる可能性のあると認識し、再度2人で行動を共にすることを決めます。
ただ、小鳩くんには1点心残りが。小山内さんが動くときは、その影に復讐という目的があります。今回の復讐対象は瓜野くんですが、なぜでしょうか。小山内さんを危険に晒したことはないはずです。
小山内さんから語られた復讐の理由は、「勝手にキスをしようとしたから」でした。