一生のうちに書きたいただひとつのこと
いつもnoteにテーマも雰囲気もバラバラなものを書いてしまう。
でも本当は、一番書きたいものがある。
わたしが最終的に目指したい文章は、小学校の担任の先生から卒業式にもらった手紙だ。
クラス全員にくれた手紙で、全員に同じ内容をコピーしたものだった(最後に数行だけ、それぞれ個人に宛てたメッセージが手書きされていた)。
それでも、その手紙はわたしを何度も支えてくれた。
その手紙の内容は、先生が中学卒業から高校までにかけて経験した、とても辛い時期について語ったものだった。
詳細な内容は伏せておくが、挫折やショッキングな出来事を乗り越えて、最終的に「幸せは自分の心が決めるものだ」と気がついたというものだった。
そして、「誰にでも、誰にも理解されない辛い時期がある。でもそれは必ず終わりが来る。だからどうか、腐らず前を向いて歩いてほしい」といった言葉が綴られていた。
わたしはこの手紙にとても救われた。
高校時代、わたしはこれまでの人生でもっとも辛い時期を味わった。
それまでため込んで無理をしていたことが、耐えきれなくなりメンタルを崩してしまったのだ。
病名はつかなかったものの、5年ほど睡眠薬のお世話になった。
その時期に、先生からの手紙を何度も何度も読み返し、読むたびに「必ず終わりが来る。だからどうか、腐らず前を向いて歩いてほしい」という言葉に励まされた。
読み返すたびに涙があふれて止まらなかった。
今はもうその手紙を開くことはなくなったが、大切にしまってある。
わたしは、一生に一作品でいいから、この手紙のような文章を書いてみたい。
誰かの手元にひっそりと置かれ、支えが必要なときに読み返され、涙を流せる場所になる文章を書きたい。
それはとても大それた願いだと思う。
人を支えるのは簡単ではなく、今の自分にそんなものが書けるとは到底思えない。
先生だって、いくつもの辛い時期を乗り越え、何百人という子どもを育てた末にこの手紙を書いたのだ。
わたしにできるかはわからないけれど、しっかり生きて、たくさん書いた先に、この手紙のような文章を書けるようになりたいと密かに思っている。
手紙をくれた先生は、私が就職した年、ご病気で亡くなられた。
先生と話したいことがたくさんあったけれど、それは叶わなかった。
先生と話したかったこともひっくるめて、これから誰かの支えになるものを書きたい。
これはわたしの決意表明だ。