【小説】夢とりどり
星を見ることが好きだ。中学生頃から真夜中の空を見上げることだけが僕の楽しみだった。元から一人でいることが好きな質だったが、星空は僕に無類の安心を与えてくれた。だが別段星そのものに興味があるかと言われればそうではない。知っているのはせいぜい夏の大三角などの授業で習うような星だけ。流星群などのロマンチックなものに惹かれるわけでもない。星は好きだが、追いかけるほどのものとは思っていなかったのだろう。ただ唯一変わらないのは、見上げるたびに「あの星にでも行けたらな」と思ってしまうこと。