気分しだいで閉めないで 〜浪漫社慰安旅行 Part4
2月11日(木)から同13日(土)にかけての、我らがバー『浪漫社』の慰安旅行。
かれこれもうあれから2週間になんなんとしているが、その連作日記第4弾。
我らにとって大事な〝体験〟だったので、しつこく続き〼(笑)
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『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』(以下、「茅ヶ崎物語」)という映画をご存知だろうか?
2017年9月16日にミニシアター系で公開されたドキュメンタリーで、多くの文化人と縁《えにし》が深く、ことに数多くのミュージシャンを輩出してきた茅ヶ崎という地について、歴史や地理はもちろん、神仏や祭事といった民俗学的アプローチも交えながら著名人との対談なども含め紹介・考察していく作品なのだが、この中心となるのが「宮治淳一」という人物。
ご存知の諸兄は読み飛ばしていただきたいが、茅ヶ崎出身のこの宮治さん。ワーナーミュージック社でディレクターなどで活躍され、音楽評論家でもあり、俺も毎週欠かさず聴いているラジオ日本の『宮治淳一のラジオ名盤アワー』(以下、「名盤アワー」)などのD.J.でもある。
山下達郎さんとも親交が深く、昨今は『山下達郎のサンデーソングブック』(以下、「サンソン」)と上記「名盤アワー」とで互いにゲスト出演をし合ったりしているのだが、茅ヶ崎がらみで何と言っても重要なのは、
「桑田佳祐さんと小中学校の同級生であり、サザンオールスターズの名付け親である」
ということ。
「茅ヶ崎物語」もそもそもは宮治さんが長年研究してきた「茅ヶ崎と芸能との関係と謎解き」を桑田さんの還暦祝いに映像作品としてプレゼントした小品だったらしい。
だが、桑田さんの感激ぶりに、映画監督の熊坂出さん、人類学者の中沢新一さんの協力を得てさらに掘り下げ拡大させ完成・一般公開に至ったという経緯とのこと。
ことに映画後半の宮治さんの思い出を再現した「ミュージシャン桑田佳祐誕生の瞬間」のドラマとそれに続く桑田さん登場のシーンは圧巻で、サザン/桑田ファンは必見だ。
例によって前段が長くなっているが、偉そうに綴っているものの浪漫社のママとマスター(女房と俺)が「茅ヶ崎物語」を観たのは、昨年秋口にお客様からDVDをお借りしたのが初めて。
本日記のPart2で紹介した『茅ヶ崎館』に泊まることにしたのも劇中で紹介されていたからなのだが、そのほかにこれこそ〝本命な目的地〟がもう一つあった。
またぞろハナシがくどくなるが、モノの順序として。
我らが浪漫社では毎月1回土曜日の15時から19時まで、『DONUTS CLUB』というお客様がたとママと俺とでそれぞれ持ち寄ったアナログレコードを順番にかけ聴きながら談笑するというイベントを行っている。
現在は密回避のため休止中だが、かれこれ4年ほどになろうか。
で、もちろんレギュラー・メンバーはそれなりにレコードのコレクターで、イベント以外のふだんの飲み席でもあそこの中古レコード屋がいいとかどこぞのレコード・コレクションが凄いらしいとかといった情報交換をしてきていたのだが、「茅ヶ崎物語」を観る前から、もっと言えば宮治さんが「サンソン」で達郎さんの代打を務めそのお名前を初めて聴いた以前から、「茅ヶ崎の『Brandin(ブランディン)』が凄いらしい」
ということは小耳に挟んでいた。
宮治さんがオーナーのカフェだ。
名盤アワーでも冒頭で、
「日本一のレコード大好き男、宮治淳一」
と自己紹介されているように、宮治さんは日本一のレコード・コレクターを自称されている。(※諸説あります)
なので浪漫社としてはいずれ絶対にそれらのコレクションを拝見・拝聴できるところのブランディンには行かねばの娘で今回の慰安旅行がその好機だったというわけだが、ここにトラップが。
冒頭で紹介した旅行の日程を決めたのが1月中旬から下旬にかけてあたり。
その頃はブランディンのサイトで2月のスケジュールが掲載されていなかったので、ママが電話をかけた。
宮治さんではなく代行と思われるご婦人が出たらしいのだがその際に、
「2月11日は休みですが、12日は13時から営業します」
と、回答されたとの由。
だからこそ我々の旅行日程も11日には茅ヶ崎に泊まり12日の箱根行きの前にブランディンへ寄ろうということになったわけだ。
で、茅ヶ崎館をチェックアウト後に同じ茅ヶ崎の『開高健記念館』を見学し、12:50頃にブランディンへ。
当然まだ案内された時間前なので「CLOSED」の表札。
ところがぎっちょん、13時になっても15分ほど経っても、いっかな開店する気配が無い。
業を煮やして何度かブランディンへ電話するも呼び出しっぱなし。遠慮がちに何度か店の呼び鈴も押してみたのだが、まったく反応が無い。
つまるところ前日とは打って変わった寒空の下45分ほど待ってからあきらめの冬。茅ヶ崎駅へと重い荷物を抱えたまま向かった。
……とまあ細かく語りたいことはいくつもあるのだが、今回は浪漫社と宮治淳一さんとは見事にすれちがったというのが今回の日記のとどのつまり。
「おっかしいなぁ〜っ!?」と思いつつ茅ヶ崎駅前の喫茶店で遅い昼餉を摂りつつ今一度ブランディンの営業カレンダーを確認したところ、当日は見事に休業日となっていた。
このことについては、
・代行のご婦人が間違えた案内をした
・ママが聞き間違えた
・ブランディンのスケジュールが急に変わった
といったような要因が考えられるのだが、個人的な反省としては、
「直近にあらためて確認する」
をすべきだったなあと思った次第。
とまれいずれにせよブランディンにはリベンジしたいし、運よくお店に宮治淳一さんがいらっしゃれば、ご迷惑省みず語りたいことは大ファンとしていっぱいだ。
懲りてはいない。断言する。
ぜひともまた、あらためて茅ヶ崎は訪いたい。
【P.S.】
「茅ヶ崎物語」で宮治淳一さんを演じたのは現代の大名優、神木隆之介くん。
その神木くんがまだ少年時代に出演したこのサザンのオフィシャルPVをご覧になって、皆さん泣いてください。
超名作です。
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