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各作品の第1話へのリンクです。 (作者50音順) 神楽坂らせん 宇宙の渚でおてんば娘が大冒険『ちょっと上まで…』 かわせひろし 少年とポンコツロボと宇宙船『キャプテン・ラクトの宇宙船』 道具として生まれ命を搾取されるクローンたち『クローン04』 にぽっくめいきんぐ 汎銀河規模まんじゅうこわい『いないいないもばあのうち』 宇宙人形スイッチくん夫婦の危機を救う『アリストテレスイッチ』 幾つもの世界と揺らぐリアリティ『町本寺門は知っている』 波野發作 銀河商業協同組合勃興記
先月「noteの収益分配機能がなくなるというリリースがあったので、ガンズnote版を休刊にします」と告知しました。 もともとその機能があったので、複数著者の雑誌作れるなと始めたのです。なくなっちゃうと、非常に面倒な手間が発生してしまいます。なので休刊やむなし。 それで今後はどうしようかとメンバーの皆さんと相談しまして、雑誌版再起動という方向で動いております。 現在細かいところを詰めてます。本の版形とかはちょっと変わりそう。 リニューアルする『銃と宇宙 GUNS&UNI
2023年になりました。今年もこちらで作品を発表していきたいと思います。よろしくお願いします。
明るく輝くいくつものモニターの前で、私は高ぶる気持ちを抑え切れずにいた。 並ぶ画面の中の数々の数値を、一つ一つチェックする。それはいつもの手順だ。 だが状況が、いつもと同じではない。つい気になって、何度も確認してしまう。 私のような天文学者にとって、このような状況で気分をしずめろというのは無理な話だ。 何しろ今日はこれから、新型宇宙望遠鏡での初観測を行うのだから。 宇宙望遠鏡は天文学者にとって夢の観測機器だ。長年の悩みを解決してくれた。 大気は地表から宇宙に向か
私はじっと息をひそめていた。 奥の部屋で彼が原稿を書いているから。 その邪魔をしないようにソファーに座り、身じろぎもせず、じっと待つ。 音をたてるなんてもってのほか。動く気配でさえ、彼の集中をさまたげるかもしれない。 だから私は、じっと待つ。 ただ、じっと。 ひたすら、じっと。 部屋からはかすかな打鍵の音だけが伝わってくる。 彼が使っているのは古風なメカニカルキーボード。今は思考入力が当然だ。脳波から考えていることを読み取り、文章の形に整えて表示する。 だ
十四 彼もまた 長引く戦いに、リンスゥの身体が悲鳴を上げ続けている。 クロックアップし、身体の動きをプログラムに委ねている分、痛みに対して敏感になった。意識を身体を動かすことに向ける必要がなく、これだけ激しく動いている中でも冷静に状況を感じることができるからだ。 激しい息づかい、ふみこむ足音、ナイフが風を切り、時折はじきあう。そんな目まぐるしい戦いの中でも、リンスゥの意識はそれと少し距離を置いている。周囲の音は聞こえているのに、同時に静まり返っていて、リンスゥには
十三 彼女の決意が 日が沈み、夜はふけゆき、月が高く昇った。 この近辺は歓楽街のような不夜城というわけではない。一軒、また一軒と営業が終わり、通りは暗くなっていく。 街中が店じまいして人通りが少なくなるのを待って、リンスゥはシロウの部屋の窓からそっとぬけ出した。 となりの建物との間隔はせまい。逆にそれを利用し、壁に背中をつけ、向こうの壁に両足を突っ張って、体を支える。腕を使い、少しずつずらしていくようにして移動する。 これはロッククライミングで、体が入る大きな裂
十二 私がいたら 「リンスゥのベッド、シーツだけじゃなくて下の布団まで穴開いちゃったし、かえないとねえ」 話しかけたのはマリア。襲撃され荒らされたリンスゥの部屋から自室に移動して、二人の枕を自分のベッドに並べている。 「うん……」 答えるリンスゥ。破れたパジャマをぬいで新しい物に袖を通していた。気のぬけた返事。 その口調にマリアは振り返る。リンスゥはどこかぼんやりと、心ここにあらずといったふう。 それを、さっきの事態の反動だろうとマリアは受け取った。戦闘型のクロ
十一 交換可能の部品 外は嵐。夜半過ぎ。 表の荒れくるう闇とは対照的に、その部屋は明るい光に満たされていた。 単に輝度の高い照明が点いているだけではない。白い壁、白い天井、そして並ぶ機器類も白い外装をしており、ことさら明るい印象を強めている。 そこに白衣を着た男がいた。そこら中で光るモニターをのぞきこんでいる。その男がおどろいたようにつぶやいた。 「九十六号が仕留めそこなったって?」 ここは暁里(シャオリ)生物科技本社検査室。そこで様々な機器に取り囲まれるようにして
十 私たちと同じ 「え、おばちゃん出かけたの?」 買い出しに行き、寄り道してすっかり遅れて、おばちゃんに怒られるとあわてたマリアとリンスゥ。しかし店にもどってみると、当のヤーフェイはそこにいなかった。 それを伝えてくれたのは夕方早くにやってくる常連の三人、ワン、グォ、チェン。いつもの席ではなく、奥のテーブルに座っている。小太りのワンが外を指さした。 「何か急用とかで、今出てったよ。二人を待ってたみたいだったけど」 「あれー、これはかなり怒られるね」 リンスゥと目を
九 それ以上の存在 「これが街頭センサーの記録だ」 壁の大型スクリーンに映し出されているのは、東京都市部の俯瞰図。そこに一本の赤い線が描かれている。線は、あるところではまっすぐ大胆に進み、あるところでは細かく向きを変えて、くねくねと動き回っている。 新宿近郊を動き回っていたその線は、急にその場をはなれる動きを見せる。公園内に侵入したのち、さらに離脱して海へと向かう。そして海沿いの地域で、ぶつぶつととぎれ、やがて消えていた。 「全域をカバーしているわけじゃないんだな」