6年経てば体型って変わるのね
6年半ほど前に、そのスーツを着た。ごく自然に。当たり前に。着た。
だから今回もなんの警戒心もなく手に取ってスカートに足を入れる。ごく自然に。当たり前に。
でも上げながら腰回りあたりで「あれっ。なんかちょっとキツイかも」と思った。
確かに6年半ほど前から2キロほど太った。
でも2キロだ。若い頃は2キロくらいの増減で体型はそんなに変わらなかったんだもの。
なのにホックが届くし閉じるけど、苦しい。これで座ったらもっとキツくて苦しくなるのか。
長時間座っていて、パアアーン! てはじけたらめちゃくちゃ恥ずかしいぞ。誰かに直撃したら恥ずかしいどころじゃない危険だぞ。
私の脂肪が凶器になる。
確かに昨年末の健康診断で、何故か身長が伸びた。
そして何故か腹囲も伸びた。
育ち盛りだ。
もう一度、ホックをつけてみる。
苦しい…。
外してみる。
うはあー。解放感。
静かに長時間座り続けることを考えると、ホックしない方が良いな。ジャケットを着るとホックなど見えないから良いのだ。
「ブラウスもなんかパツパツしてるけど、スカートがそれどころじゃないわ。ホックとめられない」と夫に言うと、夫が「僕はジャケットのボタンがとまらない」と言う。だってアナタは……と言いかけて、そうか私もなのかと黙り込んだ。
30年ほど前。
結婚を機に実家に置いていた服を送ったり処分したりしようとしていた。
高校生の頃よりそれなりに少しお姉さんになり、5キロほど痩せた私は、フザケて当時のセーラー服を着ようとした。だって5キロ痩せたんだから。
と思ったのに、ぱっつぱつ!!
高校生の頃は、自由にできるところを少しでも楽しもうと、セーラー服の下のスカート、ウエスト部分を少し絞っていた。
でも絞るどころか、上のセーラー服の脇の下や肩回りもキツイ。
キツイというか。痛い!
家族の前でフザけて登場する間もなく、ひっそりと制服を脱いで、母に「キツかった」と報告した。
笑ったけど自分で衝撃を受けていた。
高校を卒業して6年ほど経っていた。
今回も、前回のスーツを着た日から6年半。問題は体重ではない。お腹が出たとか足が太くなってきたとかそういう部分的なものじゃあない。全部だ。全部! お腹もだけど胴全体が。足はもちろんだけど、膝からウエスト全体が。あごもだけど顔全体が。もう全体的な肉付き。あごやひざに集まる重力も。重力は不可抗力だ。そう言えば周りの友人もみんな、太ってはいないけど顔が四角くなってきた。私にとっては皆やせているけど「太った」と口々に言う。
私だけじゃないもん。
6年経つと体型なんて変わるんだ。
そう言い聞かせつつ、姿勢を正した。姿勢を良くしておけば、お腹に力が入って少しスーツがラクだからである。
高校生の頃の私は、今の私より体重あったのに、二回りも引き締まっていたのか。
それを一週間前、何年振りかで着たコートで、また思い知る。
~つづく。いつかコートについても!~
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。