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日常の中で感じる言葉や表現の面白さ~ウィスキーってそうやって楽しむのね~
ヒライテクル?
なにそれ。と聞きかけるけど、なんだか不思議なもので、ぴったり来る。
「わかるそれ!」って、言葉の感覚できっとみんな経験ある。
だから若い人たちは、よりしっくり来る言葉を使い、その概念を年上の人たちに説明するのに四苦八苦する。
私にも若い頃があって、それほど流行りの言葉を使わない地域で使わない学校で使わない私だったけど、それでも使った。
当時も、それまで盛んではなかったのに使われた言葉、ぴったり来た表現はたくさんあった。
例えば名詞に「してる」を直接付ける言い方。「学生してる」みたいに。それ以前はそういう使い方なかったのよ。
「鬼のように~」も。今は「のように」を使わないでそのまま「鬼うまい」とか使う言葉。
すごいってのは、「超ウルトラスーパー」って言葉の前に付けたし、「妙に」もよく使った。「妙な」はネガティブなイメージがそれまではあったけど、肯定的な形容詞、形容動詞を付けて笑い楽しんだ。「妙に上手よね」とか。
今の若い人が使う言葉を、「今こそそれを使ってみたい」「何だかしっくり来そう」ってタイミングがあるけれど、ほんのちょっとズレていたり、無理して使っているように見えたりだろうから、なるべく使わない。
若い頃に、年上の人たちが使うのを聞くのって居心地悪かったなあ。年上の人たちにはそんな浅はかに使わないでほしくて。自分は若いから軽薄に見えて良いような、特有なノリや内輪ウケを楽しんでいたいような感覚。
だから夫がウィスキーをグラスに少量入れて「ひらいてくるんだよ」とニカニカ嬉しそうに言った時に「ヒライテクルトハナンデスカ?」と最初思った。
でも言葉って体験を伴ってじわじわわかって使いたくなるのが面白い。外国語みたい。
最初はグラスを回しながら、目を見開いて鼻を膨らませているから「何飲むの? 何やってんの? 私もやりたい」と貸してもらった。同じようにすると「うわっきっつ!」と、強い匂いに顔をしかめる。アルコールの強さが直接鼻をキュッと刺激する。
すごいよね。と夫は言いながらまだ嗅いでいるから、アルコール度数強いからそうやってるのん? と聞くと「ひらいてくるのを待ってるんだよ」「においがね、変わってくるの。良い香りに感じるよ」と言う。
またまたお酒飲みたいからって、もっともらしいことを~と思って自分の雑用をしていた。
しばらくすると、「今、どうお?」と私にまたグラスを渡してきたので「どれどれ」と嗅ぐと、なんとお酒に興味のない私でも明らかにわかる違い。
甘い匂い! 変化している。
甘い匂いの時には必ず言う私たち夫婦の決まり文句「あーまいオイニー……ハーマイオニー!」(何も言わずに見守っていてください)と声をあげた。
さっきのキュッと来たアルコール特有の刺激臭がほとんどない。
時間が経つと香りが変わるのを楽しむんだよ。
夫は、私が驚くのを面白そうに見ながら言う。
その後、ウィスキーをグラスでくるくるやる度に「におわせて。におわせて」とグラスを借り、時間が経つにつれ何度も香りを楽しむ。
甘い香りに変わってきたら、「開いてる、開いてる!!」とハシャぐ。
ちょっと違う気がするけど。
開く前は固いって言うらしいから、花がつぼみから開いていく感覚なのだろうか。こういうのってあえて調べたくない。ある程度自分の中でこねくり回してから、そっと調べてフーンて思うんだ。
表現って面白いなあ。
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