びっくりしたけど応援しているー
飛行機に乗っても機内モードでスマホが見れるようになった。
ちょっと前までは完全に電源を切っていないといけなかった。
そのもっともっと前。
イヤホンが配られ、ひじ掛けの側面に差込口があるのでそこにさすと、様々なチャンネルが聴けた。自分の聴きたいものがない時はあきらめるしかない。私は本を読んで飛行機の怖さを緩和させるのが常なのだけど、夫は当時、度々イヤホンをさして楽しんでいた。
ある日、イヤホンつけたままニヤニヤ笑っているので、「何なの」と聞くと、うかーと幸せそうな笑顔を向けてくるだけだ。
降りてから改めて聞くと「落語聞いてた」。
25年ほど前。結婚して1年は経っていたけど初めて「夫が落語が好き」と知った。普段からそれほど楽しんでいるわけではないから知らなかった。
年数が経ち息子が大きくなると、夫は落語の寄席を聴きに行きたいと言い出した。
「この中の、春風亭一之輔ってまだ僕らより若いのに、20人以上抜いて真打になったんだよ」(※真打:寄席でトリをつとめる最高の位)
へぇ。当時まだ40代入りたての私にとっては、有名な落語家さんてみんな年上のイメージ。
私、落語聴いたことないけど楽しめるだろうか。息子クン、小学生なのに大丈夫かな。
心配は取り越し苦労となった。
春風亭一之輔は、ちょっとまだ青臭ささえ残る年下の雰囲気だったし、でも話がわかりやすくて面白かった。小学生高学年の息子も大笑いしていた。
なにより本題に入る前の「マクラ」がとても愉快なのだ。世間話みたいに身近な話から、なめらかに本題に入っていくわけだけど、その身近な話からめっちゃ楽しい! 普通にゲラゲラ笑っちゃう。
マクラですでにクライマックスかってくらい大笑いして、心つかまれてしまうのだ。
そして羽織を脱いで本題に入る。
当然引き込まれ、聴き入る。
終わるとすっかり一之輔ファンになって、拍手を送る。
その後、どうやら一之輔のマクラが面白いと思うのは私たち家族だけではないらしいと知った。
その証拠に、赤江珠緒のラジオ番組「たまむすび」で「春風亭一之輔のマクラだけ話します」のコーナーが一時期あったのだった。
夫と大笑いしつつ改めて聴くとうなってしまった。やっぱり笑うし、やっぱり引き込まれちゃうし、なんだか進化している気がして。
独演会も2度ほど聴きに行った。
それが今回なんと。
笑点の新メンバーとなったそうで!
10年ほど前、『噺家が闇夜にコソコソ』というTV番組には出ていたにしても、少し気難しくポップじゃない印象で、すっごい意外な感じがしたので、夫と大さわぎした。
笑点の一之輔、想像したこともなかった。なんだか心配でそわそわしてしまう。ずっといっしょに歳とっていくんだなってことも考えちゃう。彼のことだからあれもこれも考えてきっと覚悟決めたんだろうな。
赤江珠緒も10年ほど続けた「たまむすび」をこの3月に卒業するという。
少しずつ年月は進み、番組も人も変化していく。