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HSPも、そうじゃない人も、先回りしなくて良いよ

 傷つきやすいから、言葉に気をつけてほしいなんて思っていない。普段通りにいてほしい。
 HSP(highly sensitive person 「繊細さん」と呼ばれ、それによって生活に支障をきたしているタイプの人)を前に困惑したり、攻撃したりする人を見ていて思う。本当はそんなことが言いたいんじゃないだろうけどなぁ。


※HSPについて。

「D」はdepthで、深く分析する
「O」はoverstimulationで、過剰な刺激により、周りにすぐ圧倒される
「E」はempathyで、他者の気持ちを感じ取る
「S」はsubtletiesで、ささいなことへの気づき

心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念

 そもそもHSPが、リアルの生活の中で「私、HSPなので」と伝えることなど、ほぼないだろう。よほど気を許している相手でない限りと思うかもしれないけど、それさえ疑問。だって気を許していても、わざわざ伝えるかなあ。
 初めてその言葉を知り、日々のしんどさはそこから来るのかと知った私は、当初気を許していた友人3人に「この言葉知ってる?」といった聞き方をした。親しい相手なので、「これってみんなはちがうものなの? 診断チェックやってみてほしい」とお願いした。うち1人がしっかり当てはまった以外は「まあまあ当てはまるところもあった」くらいだったので、その2人と、それからその話を特にはしていない。
 夫や息子、親は知っているけど、「だから」気を使ってほしいとは伝えていないし、多分そんなことで気を使わない人たちなので、それがむしろありがたい。

 気を許している家族や友人たちに、私たちは「腹が立った」「傷ついた」と伝えることはあるけど、HSPじゃなくても許してはいけない言葉や行為だってある。反対の立場で、相手が傷つくような言葉に気をつけるのは当たり前だし。
 だけど事前に「HSPだから気をつけて」とは思っていない。

 それにもし誰かの言動で傷ついてしまったとしても、自分が傷つきやすいからだとわかっているし、多数派はそうじゃないのだろうと知っている。気にし過ぎ、考え過ぎなのだと言い聞かせたり、家族や友人たちに聞いてもらったりなど、自分を落ち着かせようと頑張っている。
 傷ついた気持ちを受け止めながら、自分の気質を否定しないように、だけど考え過ぎているのかもしれないからと自分を鼓舞する。
 それは無駄な努力でも余計な考えでもなくて、社会を生きる上で自分に折り合いをつける方法を探る作業。その方法は人それぞれで、その人の生き方に直結するから、周りが「この人、HSPだから」と遠慮することなどない。

 HSPが、そうでない人たちに気持ちを救われていることって、どれほどあるだろう!
 どうか自然にしていてほしい。あとは相性など、個人個人の問題なのだから。

 noteで私がHSPについて書くのは、自分より若いHSPたちが少しでもラクな方に考えられたら良いな、の思いが一番。
 あとは言い訳の気持ちもあるのかもなあ。私が書く文は、内側にある思いや考えを書くことが中心だから、HSPな部分は避けられない。グルグル行ったり来たりする思考やくり返す反省を、面倒くさいと思われるのが怖い。
 noteで知り合った方とのやり取りでは、つい甘えが出て、「HSPだから」と笑い飛ばしたいニュアンスで使う。
 もちろんグレイな位置にいる人も多くて、濃淡あるのもわかっている。

 HSPではない人たちには、単にこういうタイプの人がいると知っていてほしい。
 周りにHSPかなって人がいたら、ネガティブな思いを抱くかもしれないけど、ぽつぽつそういうタイプの人がいるって、ただ知ってほしい。だからどうしてほしいのではない。ただ「ふーん。そういう人が一定数いるんだー」だけで良い。
 本当に「私、傷つきやすいんで」をアピールしている人がいるとしたら、それはHSPではなくて、接しにくい相手だろう。

 それがどうしても最近、気になったから書いておきたかった。


 その上でもう一つ。自戒のためにも。

 HSPが相手の気持ちを思いめぐらせすぎて先回りしてしまうところは、一歩でも良いから立ち止まった方が良い。

 「きっとこう言ったらとても喜んでくれる」
 「相手の喜ぶ表情が見たい」

 その思いで付け加えた一言に、自分が苦しめられてしまうことがある。

 相手が喜んでくれても自分が苦しくなるのならそれは偽善となる。
 先日、久しぶりに会う友人に「会ってお喋りできるのが楽しみ」と書いた後に「ささいなことでもどうぞメールを書いてね」と書いたけど、その部分を消してから送った。
 最近、彼女の生活が大変そうなので、少しでも気持ちを軽くしたいと思ったからなのだけどね。
 でもこまめにメールに書いてきたとして、私は喜んでそれを受け取れるだろうか。
 普段それほど連絡を取り合う仲ではないからふと立ち止まった。

 今の、この関係だから心地良いのではないか。
 そして自分を良い人と思いたいのではないか。

 HSPは、相手を喜ばせたい気持ちが過剰になり、自分の気持ちを無視してしまうことがある。

 相手の気持ちを考えた時、自分の気持ちを後回しにしていないか、ふり返ってみよう。相手を思う気持ちをそのまま言葉にするだけで良い。相手を喜ばせようとし過ぎなくて良い。誰かにとって「良い人」でなくて良い。

 何かに気づいていても、気づいていることがアピールにならないために、そして気づかない時の自分も受け入れるために。本当にそうしたいのか、ちょっと立ち止まって考えてみよう。


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かわせみ かせみ
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。