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スマッシングパンプキンズを聴いて20代半ばの「あの頃」を思い出す~ロック好きならわかるかと~
最近、CMで、スマッシングパンプキンズの曲「We Only Come Out at Night」が流れる。
聴く度に、心臓をぎゅうっと掴まれたような思いがして、歌声が耳に響く。一瞬で頭まで熱くなる。
懐かしい!
スマッシングパンプキンズはどの程度日本で聴かれたのだろう。
この曲が入っているアルバムが発売されたのは90年代半ば。
夫と出会って結婚した頃。
夫とは音楽の好みが一致していたために、すぐに意気投合した。
「表面的なものでなく、本質的なものを見ようとする」人だと、確信したのだ。
「岡村靖幸の曲が好き」と言うと、だいたいの若い男の子は引いた。歌詞がエッチなやつやろ? とか、独特の世界観に「そんなのを好きっていう女子はどうなん」とか、そんな空気を出されて、私は「わかんない人たちだな」と段々口に出さなくなっていった。
でも最初の印象で、何とも思わなかった彼には、言って引かれても良いやと思って言った。
すると「ホント?! あの良さがわかる女の人って初めて会った!」とすごく喜んでくれた。
奥田民生の曲も良いよと勧められて、私の方がハマっていった。
他におススメされたのがファンカデリックの「Maggot Brain」。
それまでエレキギターの音はあまり好きじゃなかったけど、アルバム「One Nation Under a Groove」の中の「Maggot Brain」には圧倒された。泣いているような切ない音が流れ続ける。弾き手エディ・ヘイゼルの陶酔した入り込んだ音には、苦しい気持ちさえしてくる。エレキギターってこんな音が出るんだ! こんなに表現力があるんだ! 心が揺さぶられて、エレキギターの音の魅力を知った。
(※エレキギターの音に抵抗なくてお時間ある人に限られるけど、是非聴いてみてほしい。圧巻だ。)
車移動がほとんどなので、中で聴くのはラジオ。K-ROCKというちょっと下品でハードなロックのチャンネル。
「これカッコ良いよね!!」ラジオから流れてくる曲に度々盛り上がり。
中でも二人して同じくらいの温度で気に入ったのが、スマッシングパンプキンズ。
「Tonight Tonight」や「1978」は特に。
当時、アルバム「Mellon Collie And The Infinite Sadness」を買って、繰り返し聴いた。
昨年の今頃、MCU(マーベルシネマティックユニバース)の映画「キャプテンマーベル」が公開された。
1990年半ば頃の時代設定もあって、彼女が地球に落ちてきた場所に、スマッシングパンプキンズのアルバムのポスターが貼ってあった。
映画を観終わった後、「見た?」と確認し合った。
スマッシングパンプキンズの曲を聴いていた頃。
こんなに音楽の話を共有できる人がいるんだと驚いて嬉しかった。
お互いを知り、初めてちゃんとした両思いの恋愛を楽しみ、夫の楽しんでいる趣味をあれこれ知り、仕事を知り。
知らない世界をいっぱい知った。
まだ若くて。
気持ちが不安定で危うくて。
これから自分がどうしていくのか不安で。
喧嘩するとやっぱりお互いの関係が不安で。
これからの生活も不安で。
心細くて。
治安も心配で警戒心をいつも持ち歩いていて。
でも望んで住み始めた場所。
望んで結婚した。
毎日が刺激に溢れて。
毎日が面白かった。
ずっと家にいる日も。
テレビ番組も。家の中の一つ一つも。目にするもの全部が新鮮で珍しくて。
23年も前。20代の頃は希望と不安だらけで、面白くて怖くて。夫との生活は穏やかで手探りで。
気持ちがヒリヒリしていた若かった頃。
スマッシングパンプキンズの曲は、そんな私の気持ちを表しているかのようだった。ボーカルのビリー・コーガンの声も、エレキギターのように、キンキンと耳に刺すよう。
魂の叫びと優しさが共存した歌声。
泣いているようにすら聴こえる。
今でもそれを聴くとしびれる。
CMで曲が流れる度、喜びと懐かしさと共に、切なさで気持ちがぱんぱんになって当時を思い出す。
うわあ痛い! ヒリヒリする! 「ひ~勘弁してよ」と、頭の中で嬉しそうにつぶやく。
若いってのも悪くなかったなあ~。
#エッセイ #音楽 #スマッシングパンプキンズ #1990年半ば #ファンカデリック #懐かしい #エレキギター #20代
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