きっと本当は愛されている「ラジー賞」
ラジー賞は、映画をよく観る方ならわかるだろう。評価されない方の賞。正式には「ゴールデンラズベリー賞」って、ちょっと可愛い名前。
でも何でこんなのがあるの。
かわいそうじゃないのよ。
多分一生懸命作ったわけで。脚色した人がいて、監督や美術、衣装、CGなどの映像、カメラ。などなどなど!! 私には想像も及ばないようなところまでスタッフがたくさんいて、お金もかかっていて、演じている俳優たちがいて。
今年は11部門のうち、6部門を「キャッツ」が受賞してしまった。
他を寄せ付けない、圧倒的な強さ!
とかユーモアを交えて伝えられているから、まあユーモアなんだよなあ。
本気で最低と思っている映画には与えられないものだとどなたかが書いていらした。そうだよな……。自虐ネタと一緒で、愛があるからできるんだろう。
でもやっぱり、今回に関してはちょっと気の毒なんだよなあ。
だって公開前から、けっこうな言われ様で。多分それはビジュアル的なもののために。でも観もしないであれこれ言うのは違うよな。制作者側の身になれば。
実は「キャッツ」は、少し前、私の体調が悪くて寝込んでいた時に、自由人の夫がさっさと一人で山越えして観に行った。
夫は映画館で映画を観るのが大好きなので、このような経験はほぼないはずだけど、「前半で一度眠ってしまった」らしい。
多分15分くらいだったんじゃないかなと言っていて、起きた後、何とかストーリーを追えたそうだ。
で、やっぱりビジュアルは気になったようだった。彼ら(猫ら)は、人によって(猫によって)服を着ていたり着ていなかったりするそうで。「じゃあ服を着ていない彼ら(猫ら)は裸なのか?」と気になり始めると、後半で服を脱いだシーンは、「これは裸になったのか?」ともう気が散って仕方なかったようで。
そして二足歩行だったり四足歩行だったりするので、やっぱりこれは人なんだ。と認識させられたり、いや猫なんだ。と認識させられたり。いや人が猫を演じているんだ。と認識させられたり。
いわゆる「雑(ざつ)情報」がハンパなくて、集中できなかったと言っていた。
ごめんなさい。どうしてもその報告に大笑いしてしまった。
でもそう言って良いのは、夫がちゃんと観てきたから! と思っている。さらに特筆すべき点がある。
夫はこう続けたのだ。
「でもメモリーは圧巻だったよ! メモリー聴いた時は、観に来て良かったあ~って思った」
と、ほわあっとした表情で。
そうか、良かった良かった。せっかく作った人たちがいて、観に行った自分たちがいるのだから、良い所を見つけたいものだ。
そんなで、全部セットで考えると、「キャッツ」って映画作品には、愛嬌あって良いじゃないか。と結論付けた。
ラジー賞獲ったら、そのためにさらに話題になるわけで、きっと後々まで語り継がれる。
「悪くないだろう」。