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今こそ観よう「オデッセイ」~冷静さや希望を持つ大切さを知る~
「問題が起きたらまず取り組む。それを解決して、次の問題に行く。そして次」
夫がこの台詞とその台詞の前後を聴きたくて、「オデッセイ」を久しぶりに観たら、「あのシーン好きだった」「このシーン観たい」と、それぞれが口々に言い出してしまい、結局大半を観ることに。
今観るのは、なかなかタイムリー。いや、映画って何でも今の自分の心境に結び付けてしまうものなのかもしれない。
※ネタバレあります
火星に1人、残された彼がいったいどうやって地球に戻ってくるのか。
宇宙飛行士に関しては、奥さま向井千秋さんについて書いた向井万起男さんの著書『君について行こう』で少しだけ知った。他にも、いくつかドキュメンタリー番組を観て。彼らがどのように選抜されていくか、又、どういったものが求められるか。そういったものを見聞きすると、漫画「宇宙兄弟」もかなり事実に沿ったものであるようだ。
宇宙飛行士は、知識や体力以外に、自分たちに何が求められているかを察知する能力、客観的な物の見方、思考力、洞察力、判断力、冷静さ、ストレスに耐えうる心の強さ、自己管理と自己コントロールなどが求められるようだ。あとは圧倒的な好奇心。
精鋭たちが宇宙飛行士に選ばれる。
そして彼らの周りで彼らを支える人たちにも感心させられる。
NASA(アメリカ航空宇宙局)やJPL(ジェット推進研究所:NASAの運用や研究開発に携わっている)のスタッフ。宇宙飛行士と交信し、彼らの体調や精神状態、全体の様子をチェックし見守る姿も、ミッション・コントロール・センターで見られる。さらに、宇宙船、宇宙空間で働く施設、居住区であるモジュール、どこかの惑星であれば探索車、実験用の物など、を計算し考え、作る科学者や工学者とそれを形にする技術者。宇宙でのあらゆることに対応するために計算し尽す物理学者。彼らの知的好奇心だけでなく、宇宙の現場にいる飛行士たちの負担をいかに軽くするかを考え、彼らの身に何かあった時に咄嗟の判断力や知力を要求される。彼らもまた知力、思考力、想像力、判断力があり、冷静で多面的な物の考え方をする。
映画で、彼らの英知、総力を結集して、困難を打開していく様子は、爽快。
何度も危機が訪れる。主人公の宇宙飛行士、マーク・ワトニーは、その度に対処法を考え実行していく。ワトニーも、それを支える地球上の人たちも、そして宇宙にまだいる仲間たちも、まず「考える」。考える作業をやめない。打開策を考える。そして行動に移してみる。
彼らの知性をとびきり感じるのは、ユーモアがあるところ。ピンチの時や悲惨な状態の時でも、軽い感じやジョークで、その場をしのいだりする。それでどうにかなるわけではないが、泣き言いったってどうにかなるものでもない。こんな状況になってユーモアを忘れないその精神力に圧倒されるが、その気の持ち方にきっと周りだけでなく本人も救われる。ユーモアは知性だ。笑いは力になる。
要所要所でかかる音楽も、映画の軽い感じを出すことに役立っている。
特に印象に残ったのは、デビッド・ボウイ「Starman」とアバの「Waterloo」。どちらもその場面に応じて歌詞に意味があると思えてくる。決して深刻になったり、投げだしたり、感情的になったりしない。負け戦でもやるしかない。淡々と任務を遂行していくことをこの曲で表している。どちらも胸がいっぱいになるシーンだ。
この映画、好き過ぎて、原作も読んでしまった。
今観ると、「前線で精鋭たちが頑張ってくれてるんだ」、私も一つ一つ、できることをやろうって前向きな気分を思い出させてくれる。
※MCU(マーベルシネマティックユニバース)出演の人たちがたくさん出ているのも楽しいところ! MCU好きで、「オデッセイ」観ていない方は、ますます楽しんでいただきたい。
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