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車で出かける時にも備えておきたい

 阪神大震災を経験してから、枕元に懐中電灯を置いて寝るようになった。

 あの一瞬で家が全壊した友人は「大きな地震が起きたら全部なくなるから、備えていても無駄」と言う。彼女のそれまでのダメージに思いをはせると返す言葉が見つからない。
 でも、全壊しないケースもたくさんあるから。慌てて避難しようとする友人と電話で話したこともあった。当時、大きな地震を含めた自然災害は今ほど多くなかった。「避難することになってん。どうしたら良いんやろう!」とパニックになっていた。

 被害を受けてライフラインが一時止まったまま自宅で過ごさなければならなかった我が家は、カセットコンロや缶詰のありがたさを感じた。その頃から少しずつ、備えておく物について考える機会が増えていく。

 その後結婚し、何度目かの引っ越し先が東北地方の南部。息子には幼い頃から地震の話をしていた。揺れたら机やテーブルの下にもぐるんだよ。外にいたら車に気をつけて、塀に近づかないんだよ。幼稚園や学校にいたら、大丈夫になるまで先生といるんだよ。話しながら、自分たちで備えなくちゃとの思いも強くなっていく。

 そして東日本大震災に遭遇。原発事故の不安から、ほんの10日間ほど避難した。避難するまでの日々、スーパーが品薄になってもありがたかったのが、生協の存在。流通がスムースでなかったのに頑張ってくださった。ガソリンや品薄で大変だったと思うけれど、既に注文してあった物を届けてもらえた。そして避難する人たちは残った人たちにその品を分けるように言ってくれた。私も分けてもらったし、出ていく時には翌週に届く分を分けるように知り合いに伝えておいた。

 私たちは自主避難で両親の家に行けたため、保存食も防災グッズも使わずに済んだ。私の場合は、常備薬や持病のお薬が必要だった。何日避難するかなんて見当もついていなかったから瓶ごとや袋ごと持って出た。
 けっきょくすぐに戻れたし、私たちの住む地域は避難先として受け入れる側となった。受け入れる側だと体育館など避難所での大変な様子も耳にしている。やはり少しは自分でも備えて、一部だけでも持ち運べるようにしておきたい。

 家に置き続けている物は何日か分の飲み水と保存食。キャンプをしていた時のグッズもあるので、寝袋やシート、ランプなどは手放さず置いておきたい。
 持ち運べる物はアルミシートやペットボトル、ウェットシートやマスク。通販サイトや「非常用持ち出し袋」で検索すれば、備えておく物は簡単に出てくる。そのまま買っても良いけれど、安い物ではないし、自分で検討しながら選別し、家にある物はそこに入れておくと良い。時々チェックして使ったり使い切ったりして、新しい物と入れ替え。保存食は期限が近づいてきたら、使うタイミングがなくてありがたかった思いと共に、その日の食事の一品として味も楽しむ。いざとなっても使えないなんてことにならないようにね。あと女性なら生理用品。しつこいようだけど、何日避難しているかなんてわからないのでね。

 今も枕元には避難するための一式を入れたリュックを置いていて、ひとり暮らしを始めた息子にも引っ越し時に持たせている。

 さて。最近気になるのが、雪道。
 特に東北地方の田舎街に住むと、山越えしないと楽しめないことだらけ。映画を観るためだけでも、あの映画なら隣りの街へこの映画なら隣りの県へと、冬になれば雪道を走り山を越える。

 ニュースで見かける機会が増えているだろう。
 止まってしまって動かなくなった車の列。

 自分の地域の人たちが車のタイヤをちゃんと付け替えていても、他の人はどこから来ているかなんてわからない。タイヤを冬用のスタッドレスにしていても、うっかり滑ったり止まったりだってあるかもしれない。
 そこに巻き込まれたら。
 列の後ろの方で何が起きたのかもわからないまま、ただ止まってしまって、前にも後ろにも行けなかったら。

 最近のケースを見ていると、脱出に一日以上かかる時は最低限の救援物資も配られるので、1日分をしのげば良いと思うけど、最悪の場合は3日かかったこともあるらしい。油断はできない。

 冬に1時間以上車を走らせ市街地から離れる時には、自分の持つカバンにプラス、もう一つバッグを車に乗せる。 
 中にあるのは、体を温められるアルミブランケット。少し音がうるさいそうだけどとにかく寒さをしのぐことが一番。
 人数分のペットボトル飲料。水分は必要。
 お腹の足しにで良いからお菓子。
 スマホバッテリー。

 あと冬だとずっと車に乗せているのは、車の雪をはらうブラシ。短い時間、車を離れているだけでも、あっという間に車に積もることはある。
 他にできるだけ備えておきたい物の一つに、スコップ(関西だと「シャベル」サイズね)。雪が降る日は車のマフラーを雪で覆ってはいけないから必要。雪で埋まらないよう、こまめにチェックしなければならない。そのためにできればスマホでタイマーをセットしておきたい。つまりスマホの電池が切れないように気をつけないといけないよね。

 他に季節問わず、常に備えているのが、簡易トイレ。ひどい渋滞にはまった時にも必要だろうから。高速道路でもそうだけど、山道でもトイレはないのでね。

 そして必ず予報通りになるわけではないけど、出かける前に必ずチェックしておきたいのは、天気予報。少なくとも雨雲レーダーは頼りになるから見ておくと良い。

 全部大げさとか思われるかもしれないけど、何事もなかったら笑い話で済むのだから、備えておこうと心がけていることの一つ。



読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。