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声が段々大きくなってきた。世情や世間に対する何かしらの不満をまくしたて始める。 うおおぅ……って、今なら飛沫が気になるところだ。 20年ほど前。私たち夫婦にまだ子供がいなかった頃、夫の実家を訪ねると、昼にも関わらず義父はお酒を口にし、そんな風になった。 帰りの車の中、「あれでもまだマシになった方なんだ」と、夫は時々言っていた。 息子ができてから、義母が気を付けてくれていたのか、或いは義父も年齢を重ねて以前ほど飲めなくなってきたのか、そういうことはなくなっていた。
幼稚園に通っていた息子には、大の仲良しがいた。 色白で丸い顔の息子と違い、その友達は色黒で運動神経も良くて、たくさんのことが息子よりどんどんできるようになっていった。元気いっぱいのように見えたけど、あらゆる面で、気難しい息子よりずっと繊細で。 でも年中さんの途中で、彼は引っ越してしまった。その後も、時々行き来があったけど、引っ越した直後の息子の精神的ダメージは、見ていて辛いものがあった。 息子の思いを絵本にしたくて、自分で絵を描けたらと思ったけど、まず自転車に乗って