傷ついて傷つけて
今の住居に引っ越して2年も経つのに、ずっと家の中が段ボールであふれていた。
先日契約更新したこともあり、やっと大量の段ボールを片付けようと作業を始めてすぐ、手の平を段ボールで切ってしまい、今全くやる気をなくしパソコンに向かっている。
幸いなことに人生の中でそれほど大きなケガ・病気をしたことがない。
一度だけ入院をしたことがあるが、それは知り合いのハードコアバンドを見に行ってモッシュピットで暴れまくっていたところ(ちなみに当時もちろん童貞)、ライブハウスの柱に激突したことによる鼻骨骨折だった。ありえないくらい鼻血が出て病院に行ったら「切り傷っすね~」と若い医者に言われ絆創膏を貼られた。んなわけねえだろと別の病院に行ったら「粉砕骨折です」と言われた。
最初に行った病院はその後すぐに潰れていた。呪ったつもりはないんだけどな。
今回と同じように手を切ったこともあった。小学校3年生くらいの頃、道具箱に長い時間入れっぱなしだったカッターが錆びていて、なにを切っても切れない。
小学校まではひょうきんでお調子者だった僕は、昼休みに教室の前に出て、友達に「このカッター切れないんだぜ~」と自分の手とかに当てて男子限定のヒーローになっていたところ、押田くんという友達が「握って引いてみて!」と言った。
自ら生み出した「切れないカッター幻想」にとらわれていた僕は躊躇なくその指示を実行。昼休みの教室を血まみれの惨劇現場へと変えた。6針縫ったし、駆けつけてきた担任のジャクソン先生(あだ名・女性)に、生まれて初めて(そして多分最後)裏拳で顔面を殴られた。
今でも割とはっきり縫い跡が残っている。抜糸した後「運命線が伸びたぜ!」とかいって調子に乗っていたが、そうだとしてもこんなバカにはろくな運命待っていないと思う。
押田くんは地元でバーガー屋の店長をやっている。部下に間違った指示をしていないことを祈る。
大ケガなんて上の2つくらいのものだ。どちらも自分のせいである。
ただ、一つだけどうにも不可解なケガをしたことがある。
これも小学校のころ。家族旅行でグアムに行った。
帰りの飛行機が朝の4時くらい出発で、ちょっと特別に夜更かしなんかしちゃって最後の夜を楽しんだ後、仮眠をとった。深夜0時ごろだ。
さて、飛行場に向かうために2時ごろ起床。眠い目をこすると何か違和感があった。鏡を見てみると、額の真ん中、縦長5cmくらいの大きなカサブタができている。
え、寝る前は何もなかったのに!しかもフカフカのベッドで寝てたんだからカサブタができるようなケガなんてするわけない。しかも全然痛くもかゆくもない。
寝て起きたら(しかも2時間くらい)急にできていたカサブタだが、そこはお子様である。ペリペリっと剥がして楽しむことにした。
新しいケガのはずなのに、カサブタを剥がしても血もでず、ただカサブタのあった部分の皮膚がすこ~しへこんでいるだけだった。
今自分で書いていても全く何なのか分からない。ちなみに未だに僕の額は少しへこんでいる。
その時は知らなかったし、今もあまり考えないようにしているが、グアムといえば、太平洋戦争の激戦地である。
あんなにひょうきんでお調子者だった川口少年が、カサブタ事件の数年後から世の中を憎み、人を蔑み、誰とも交わらず孤立していったのとも、なにか関係があるのかもしれない…。
あと同世代の一般的サラリーマンより収入が少ないことや、長くバンドをやっているのに一度も女性ファンからLINE IDとかを書いたお手紙をもらったことがないのも、非常に不可解だ。やはりこの傷が関係しているのかもしれない…。
ほんとにあった怖い話、10/12(土) 21:00~放送。お楽しみに。