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劇団かもめんたるのハナシ

バンドとは無関係の好き勝手な内容を書き散らそうと始めたこのnoteだが、またもや宣伝になってしまう。

僕が劇中音楽を担当させてもらった劇団かもめんたるの最新公演「ソルティーなんとかメモリー」が、8月21日まで配信中である。

お笑い好きな人・演劇好きな人はもちろんマストだが、そうでない人もこれを読んでるなら何かのご縁と思って、是非観てみてほしい。

劇団かもめんたるの音楽をやらせていただくのはなんとこれで9公演目になる。さらっと「劇中音楽を担当させてもらった」なんて書いたが、今日はこれがいかに奇跡的かつ超嬉しいことであるかを諸君らに説明しようと思う。


遡ること2003年。僕は大学に入学し、夢のキャンパスライフに胸を膨らませていた。

入ってすぐに学部の新入生歓迎会があり、東国原元知事の講演に続いてお笑いサークルの先輩方がネタで我々新入生を楽しませてくれる、という流れになった。
みなさんがどういうネタをやっていたかは流石に忘れたが、「WAGE(ワゲ)」というお笑いサークルのことは後になるまでずっと覚えていた。
メンバーの一人、アフロヘアーの濃い顔の先輩が開口一番「どうも、ご覧の通りの沖縄出身です」と自己紹介をして笑いをとっていた。それを見て「うわー、やっぱサークルとはいえお笑いの人って面白いんだなー!」と妙に感動した思い出があるのだ。
僕の文章力のなさゆえ、上の文を読んでも全く面白さが伝わらないかもしれないが、多分あれは初めて生のお笑いに触れた衝撃だったんだと思う。

よく芸人の方が「名前だけでも覚えていってください」と言うが、アフロヘアーの先輩と「WAGE」はその一言だけで僕の中に相当なインパクトを残し、本当にずっと名前を覚えていた。
だから何年か後になって、アフロ先輩が髪型を変え服を脱ぎTVに登場したときも「あれ!"小島よしお"って、あの沖縄の人じゃん!」とすぐに気づくことができたのだ。


さて時は進んで2012年。キングオブコント決勝をテレビで観ていると「かもめんたる」というコンビが出てきた。(敬称略)
僕はお笑いは大好きなのだが割と保守的なタイプで、知らない芸人さんに対して「さて、どんだけ笑かしてくれんだよ?」と上から見てしまう嫌な癖がある。
「かもめんたる」についても当初同じ目線を向けていたが、ネタ前のコンビ紹介で"元WAGE"の紹介と、小島よしおさんからの応援コメントが流れたので、最初からちょっと肩入れしてしまった。

あの時サークルで出し物をしていた先輩方(後に事実確認したところ、う大さんは世代的に↑の歓迎会の時はいなかった模様)がその道を貫いていることに感動しつつネタを観た。「コンタクト」と「作文」。今まで知っているどのお笑いとも違う、猟奇的なコント。
猟奇趣味なので録画した映像を何度か見るほど好きになったが、その時点では「かもめんたる」にハマるまではいかなかった。

翌2013年、キングオブコントでかもめんたるは見事優勝を果たす。「言葉売り」と「白い靴下」。去年の衝撃をさらに超えるすごいネタで、やっとそこからかもめんたるの情報を集めだした。

そんな中で、本格的にかもめんたるに心酔したきっかけを今でも覚えている。
当時お二人は「ラジオかもめんたる」というWEBラジオをやっていて、元々ラジオ好きだった僕はKOC2013をきっかけにそのラジオを聴き漁ることになる。ある回でう大さんがいった「かもめんたるはアメリカでは"ケイモメンタル(Kamomental)"と呼ばれている」というボケに動けなくなるほど爆笑した。これがきっかけである。
「この人たちは100%僕の好きなお笑いをやってくれてる!!」と確信した瞬間だった。
※また文章力が足りず面白さを伝えられないことが歯がゆい。今文字を打ってるだけでちょっと笑っちゃうくらい好きなボケなんです。

そこから発売されているすべてのDVDを集め、YouTubeも見漁り、「好きな芸人さんはかもめんたるさんです!」といろんなところで言い出すようになる。

同じくお笑いファンであるバンドの相方エミリにも布教した。かもめんたるは濃いネタが多いので初めての人に見せるにはネタの選別が重要である。
動きがあって分かりやすいポップなネタとして一番最初に↓を見せたところ、すぐに彼女もハマっていった。

その後どんな流れか正確には覚えていないが、エミリがSNS上でう大さんと2・3やり取りを交わしたことから「単独ライブで使う音楽とか、うちのバンドでやらせてもらえたらいいよね~」という話になった。

かもめんたるが20人くらいの小さな会場でやっていたライブに行き、お二人に直接CDを渡して「インディーズで、JASRAC会員でもないんで格安です!」と生々しい売り込み方をした記憶がある。リスペクトするお二人とどうにか関われたら、と思っていたのだ。

その後本当にう大さんから連絡をいただき、かもめんたるの単独ライブではなく、並行して始められていた劇団の方の音楽をやらせてもらうことになる。

第3回公演「ピンクスカイ」第4回公演「尾も白くなる冬」は、HONEBONEの既存の曲のアレンジバージョンを使っていただいた。

「新しく作ってもらうのも悪いから…」というお気遣いだったが、僕としてはどれだけ手間がかかっても劇にバッチリ合わせた書き下ろしをしたいと思っていて、公演終了後にそうお伝えした。

書き下ろしのチャンスをいただいたのは第5回の「市民プールにピラニアが出た!」からだ。その後第7回「宇宙人はクラゲが嫌い」では稽古の段階から見させていただき、この辺からガッツリとシーンに合う音楽を作っていくことになる。↓は第8回と第9回で作ったものの一部抜粋だ。

最近は少し慣れたが、やはりただのファンなので最初に稽古場にお邪魔する時はえらく緊張した。毎回稽古の途中で演出家・う大さんから音楽のイメージの提案がある。僕はそれを曲として具現化するのが仕事なわけだが、この指示が本当に面白い。

「海の中の都市を海面の上からのぞいてるみたいな曲」
「熱帯雨林をかきわけたら娼館があったみたいな曲」
「文明を持たない人間たちが初めて"切ない"っていう感情を知ったみたいな曲」

マジでこんな感じなのだ。でもやっぱりファンだからか、とんでもないこと言ってるなと思いつつも、なんとなく言わんとすることが分かる気がしてしまう。エミリからは「その発注から曲にできるのあんただけだよ」と言ってもらえたが、そうだといいなと思っている。
ちなみにエミリは知らない間にかもめんたる槇尾さんと飲み友達になっていて「マキちゃん」と呼ぶ仲になっていた。

さて最後にもう一度宣伝。
毎回本番を観させていただくたび「今回が最高傑作だ!」と本気で思うが、最新作「ソルティーなんとかメモリー」は正真正銘最高傑作だと、ファンの一人として思う。

「ダンス高校生」ではないが、初めての人に特におすすめである。笑いはもちろん、SF、エロ、感動など劇団かもめんたるのいろんな要素が全てバランス良く詰め込まれている。

もちろん音楽にも注目していただきたい。特に配信なら何回も観られるからね。
今回はとある泣きのシーンでかかるピアノソロが自信作だ。「熱帯雨林をかきわけたら娼館があったみたいな曲」も聴けます。


(余談)
EMILY主演・HONEBONEが音楽を担当させてもらった映画『リスタート』に劇団かもめんたるからう大さん・もりももこさん・小椋大輔さんが出演されている。
品川監督にまだ出会う前、劇団かもめんたるの楽屋に挨拶に行った際、同じく挨拶に来ていた監督を遠くから見て、エミリと「品川さんって意外と背デカいんだな!!」と盛り上がっていた記憶がある。人生って何が起こるか分からない。

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KAWAGUCHI / HONEBONE
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