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消息不明のバンドを検索したら、14歳の時の夢が叶った話

わりと音楽が好きなので、誰もが知っているメジャーどころ以外にも、自分で情報を探っては新しい音楽や「誰が聴いてるんだこれ??」というようなバンドを発掘しては日々ニヤニヤしている。

この習慣は12歳ごろ(90年代後半です)から始まっていて、当時はインターネットもパソコンもなかったため、ラジオやTV、あと近所の図書館のCDレンタルが情報収集の場だった。

まだあんまり知られていないバンドを好きになったりすると、そのバンドが後にブレイクした際には「デビューのころからみてたけど売れて音楽性かわったよね」「1stが一番コアでよかったわ~」などとウザ古参ファンぶることもできるが、やはり厳しい音楽業界、あんまり知られていないまま解散してしまうバンドも多い。

そしてこれは自慢なのだが、昔から僕が好きになったバンドがあんまり知られていないままになる確率が結構高い。決して自分のセンスが悪いわけではなくて、自分以外全員がセンス悪いのだ。
(今後ブレイクしたいバンドさんは筆者の目に留まらないよう逃げてください!)

ということで青春時代にめっちゃ好きだったけど、今メンバーの方が何をしているかわからない、サブスクに音源もないからCDを引っ張り出さないと聴けない、というようなお気に入りバンドが沢山存在している。


今年の4月、ふと"NEARMISS"のことを思い出した。

ニアミス。ご存知だろうか。

Wikipediaもないので筆者がかいつまんで説明するしかないのだが、1999年にビクターからデビューした5人組のロックバンドである。

メイクをして衣装もハデだったので、当時全盛だったビジュアル系のくくりにいれられがちではあったが、音楽性は猥褻でいかがわしく、肉体的なグラムロックだった。(よくわからない人はTHE YELLOW MONKEYをイメージしてください!厳密に言うと結構ちがうけど一番わかりやすい例なので)

確か自分が最初にバンドの存在を知ったのもビジュアル系雑誌だった記憶がある。「異常接近遭遇!」みたいなキャッチコピーと共に怪しすぎる…否、妖しすぎるお兄さんたちの写真が載っているのを見て、アンテナをむずむずさせていたのだ。

https://vk.gy/artists/nearmiss/ より。妖しい…

ほどなくしてラジオで彼らのデビュー曲"RED HOT LOVE"が流れたのを聴いたのだが、これが相当衝撃的な曲だった。
攻撃力2万のパワーリフと、一度聴いたら忘れられない「HOT HOT HOT HOT LOVE」のリフレイン。(僕には「コッコッコッコッラ~」と歌ってるように聴こえた)
そして何といってもヴォーカルYU-KIさんの声は超独特、亜熱帯のトカゲのようなぬめりを帯びた歌で、今にいたるまで僕は似たタイプの声質のヴォーカリストを見たことがない。

※ちなみにNEARMISSの音はサブスクでは聴けず、YouTubeにもなく、唯一ニコニコ動画に「RED HOT LOVE」1曲違法アップされていたのだが、昨今のサイバー攻撃の関係でそれも非公開になっている。
実質現在CD以外で聴くことはできないのだ。僕が社会人じゃなかったら、法を破って匿名で全部YouTubeにアップしたかった。

あの雑誌記事と音が結び付き、はれて僕はNEARMISSのファンとなったのだ。
2nd Albumのプロモーションではあの伝説の歌番組「うたばん」に出演。
YU-KIさんのラメラメのメイクをタカさんがじっくり見て「うわぁ~」と喜んでいたことと、野球話で盛り上がっていたことを覚えている。もちろん僕はビデオにとって何回もリピートした。

その後も出すアルバムすべて傑作続きではあったのだが、残念ながらバンドは2001年に解散。
中学生でお金も勇気もなかったので、僕はNEARMISSのライブには行けないままだった。(ついでに言うと一緒に応援する友達もいなかった)


で、話は冒頭に戻るが今年の4月。
きっかけは何もなくふと「NEARMISSのメンバーさんってどうしてるんだろう」と思った。

そう思うのはこれが初めてではなく、定期的にかつて好きだったバンドについて検索したりするのはよくある。(イケイケのバンドマンがヨガの講師になってたり、人生は様々…)
NEARMISSについても折に触れて聴き返したり、何度か調べたことはあったが、解散後少し別のバンドをされてたとかなんとか、あまりハッキリした情報は得られなかった。

しかし今回は違った。

「NEARMISS バンド」と検索したGoogleの何個目かに、ヴォーカルYU-KIさんのブログを見つけた。

そしてその内容に、39歳の男は部屋で密かに震えた…。


え、復活ライブ?????????????

23年ぶりに?????????????????


タイミングの良さと内容にビックリして、Xでもこのように投稿。

するとDMがピロリンと届いた。ヴォーカルYU-KIさんご本人から「ありがとう」というメッセージだった。
この日二度目の震えである。

その後何度かやりとりをしていただき、自分のバンドHONEBONEの音も聴いてくれたというお言葉にまた震え。

恐らくブログから推察するに、表舞台から退かれた後は違うタイプの人生を歩んでいらっしゃるんだとは思うが、僕にとってはいまだにあのラメラメのロックスターなのだ。ライブの予約をする時ですら緊張した。


そして7月6日、横浜7th avenueで、僕は大好きだったNEARMISSのライブを初めて見た。

「異常接近遭遇!」したあの時から実に25年の時が経っていた。

この文章は、もしかしたらYU-KIさんも見て下さるかもしれないから気まずいのだが、楽しみな反面、正直な話ガッカリするかもしれないことも予想していた。というか、ガッカリしても当たり前だよなと思っていた。
なんといっても23年ぶりのライブ、舞台から遠ざかっていたバンドだし、年齢による影響もそりゃあるだろう。自分だってただの童貞だったあの時から成長し、色んな凄いライブも見てきたわけだ。
メンバーには専業のミュージシャンもいらっしゃるみたい(ちなみに当時のNEARMISSメンバーからは3人が参加)だが、大人たちがお仕事や生活の合間を縫って準備するわけだから、完璧というわけにはいかないのが普通だと思っていた。

……っていう丁寧なフリを書いたので結果はわかると思いますが、超絶素晴らしいライブだったんです。
ビックリしたのが、パフォーマンスも、あの超独特な声も(そしてスタイルも!)、当時画面越しにみていた姿と変わらないことだった。メイクは当時ほどギラギラではなかったが、それはそれで大人の渋さも加わってカッコよかった。

どれだけの努力と準備をしてきたんだろう…と思うと本当に尊敬する。


中盤で披露されたデビュー曲「RED HOT LOVE」で、39歳の男は完全に14歳に戻された。
あの当時できなかった分を取り戻すように、両こぶしを振り上げ絶唱した。
そんなタイプの曲じゃないのに、少しだけ涙が出た。

ライブ後、ドリンクのコップを返して帰ろうとすると「カワグチくんだよね?」と呼ぶ声。ヴォーカルのYU-KIさんだった。(震)
SNSを通して自分のツラを認識していただいていて、声をかけてくださったのだ…。ここでも僕は14歳の精神のままだったので、普段絶対そういうことしないのにサインと写真をねだってしまった。

お疲れのところ大変失礼しました。でも一生の宝物ができました。


あの時ふと思い出して検索しなければたどり着けなかった奇跡がそこにあった。

年齢的にも、身のまわりでやむを得ずこの世を去ってしまう人や、自ら去ることを選んでしまう人もポツポツ出てきた。
でもやっぱ、生きてると予想もつかないことが起こる、その一晩のために、たとえウンコみたいな人生だとしても耐える価値はあるかも、と少しだけ思えた。

NEARMISSはこの一夜限りでなく、今後もマイペースに活動を続けられるそうです(嬉)

となったらやっぱりサブスク解禁YouTubeへのMVアップを切に望みます。メジャー時代の所属レコード会社のビクターさんに100万通の嘆願メールを送るので、この辺でアディオス。

※ちなみに今回の復活にあたって初めてNEARMISSの周辺スタッフさん(特にサウンド関係)がBUCK-TICKと同じ座組であることを知りました。そりゃかっけえわけだ…!やっぱりセンスいいのはおれや!!!

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